敗北の銃弾
何処からだ?
一体何処から撃ってきた。
「森の奥だな。多分森の中心にある一番のでかい木。」
「あの木か……」
結構距離があるな。
衣玖は狙撃銃を使う。
だから接近戦になればこっちが有利なはず。
どうやってあの木まで辿り着くかが勝負だな。
「新、新は正面から全速力で突っ込んで。俺がお前の盾になる。」
なるほど。
片方が攻撃、片方が防御を全力でするわけか。
面白いな。
「乗ったぞ悠雅。」
「行くぞ………GO!!」
合図とともに全力で走り出す。
距離1Kmってところか。
そろそろ撃ってくるな。
「……きたぞ!!」
「ああ、わかってる。」
1、2……4発。
悠雅は大丈夫なのか?
……いや、信じる。
悠雅は強い。
キーーーン……
「安心して任せろって!」
一撃で4発全てを……。
「ああ、今安心した。」
残りは700mくらいか。
……きた。また4発か。
キーーーン……
「サンキュー悠雅。」
残りは400m。
なっ!また4発だと?
おかしい。確実におかしい。
悠雅に4発じゃ足りないことくらいわかったはずなのに。
キーーーン……
「…………」
悠雅も気付いたか。
これは何か狙ってるのか?
それとも単純に4発までしか撃てないのか。
考えても仕方ない。
弾は悠雅に任せよう。
残り100m……。
衣玖は……見つけた!
やっぱり、中央の一番でかい木の上か。
残り50m。
きた!また4発か。
「悠雅!」
「ああ!突っ込め!」
キーーーン…………キューーーーン
「しまっっ……!」
今、後ろの音が今までと違った。
何が起こった?
「振り返るな!そのまま突っ込め!」
悠雅の声が聞こえた直後、後ろから爆音が響いた。
なるほど、このために4発ずつしか撃たなかったのか……。
4発というのは悠雅が一撃で切れる弾の数か……。
やるな。
でも俺を爆発に巻き込むことができなかった。
近距離になればこっちの勝ちだ!
「これで終わりだぁぁぁあ!」
が、衣玖を狙って向けた剣に何かが当たって軌道がそれた。
「残念賞だね新?」
なっ!もう一人いたのか。
くそ、やられる……
ピーーーーーーーーーーー
「そこまで!終了!」
終わった……?
ゲホゲホという咳をしながら悠雅も俺たちの所に来た。
「まさか衣玖だけじゃなくてもう一人いたとはな。やられたよ。」
「くっそ〜、負かしてやろうと思ってたのに。」
ふふん!というドヤ顔をしながら俺を見てくる。
いらつく……。
けど……負けたから言い返せない……。
「あ、手伝ってくれたこの子は葉風 みくちゃんだよ。」
「よ、よろしく……」
「ああ、よろしくな!」
「では皆さん。訓練場の入り口に集合して下さい!」
先生の放送が入る。
「ふう、行くか。」