入学と試合Ⅰ
入学式というものはとても面倒くさい。
まったく面白くもなく記憶に残らない話を聞いているだけの時間でしかないうえに寝ることも許されない。
いやもう本当に。
「俺に感謝しろよ。ブレザー貸したんだから後でジュースな。」
「…………」
「感謝しろよ。」
「うるせえよ。念で話しかけるなよ。」
念というのは能力を扱う時に使うエネルギーのようなもの。
物体を浮かせたりパンチなどの威力を上げたりなど、基礎的な能力のことをまとめて念と略すことが多い。
この遠くから直接脳内に話しかける能力も念と略されている能力の中の一つである。
まあ、知ってると思うがテレパシーというやつだ。
「誰に説明してんの?」
「死ね。」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーである。もちろん学習もしっかりしてもらうが、これからの学校生活を存分に楽しんでいただきたい。入学おめでとう。」
長いんですよ、校長先生。
「それでは新入生のみなさんは自分の教室に移動してください。」
やっと終わった。
まじ開放感やばい。
「新、早く二組行こうぜー。」
「悠雅てめぇ。うるせえんだよ。」
「まあまあ、怒んなよ。おかげで退屈しなかっただろ?」
「はあ、まあ、お前と一緒のクラスで良かったよ。」
「おいおいそこの君!新くーん。私の存在忘れてないかな?ねーねー。」
もう一人面倒くさいの来たし。
こいつは春川衣玖
俺と悠雅と一緒に入学した幼馴染だ。
「はいはい、春川と一緒のクラスで嬉しいよ。とりあえず教室に行こうぜ。」
ーーーーー
「みなさんこんにちは。一年に組の担任になった桑原雛です。よろしくね。」
…………ざわ……………
ざわざわ……………
まじかよ。あの人本当に先生か?ちっさ……。
いや、俺168cmくらいだけどあの先生15cmくらい小さいんじゃね。
中学生かよ。
「はい。そこの君と君と君と君。あと君と君。私のこと中学生って思ったでしょ?」
「な、なんだ?能力なのか?」
「あ、能力ではありませんよ?ただみなさんを観察しているだけです。」
と、俺の顔を見ながら話し始めた。まじかよ……。流石は先生。
「あ、一週間後に五月分の食券をかけたトーナメントがあります。三人チームなので参加したい人はグループを作って是非参加してみてください。」
食券か……。
なかなか面白そうじゃん!
悠雅と衣玖と一緒に参加しようかな。
「さて、これからのことを説明して行きますね。まずは今日、貴方たちの今の実力を測るために試合をしてもらいます。その結果を元に個人個人にこれからの課題を教えていきますね?では、訓練場に移動しましょうか。」