遠距離恋愛
この夏の 海の家でのバイト先で
偶然知り合い、初めてしてしまったひとめぼれ。
きっと、叶わないと思ったら、絶対告白などしない、
ひねくれ者の私。
でも、そんな私を変えさせるほど、
あなたは、キラキラしてて 眩しくて・・・
思い切って告白しよう。
そう決めてしまった、その日の夜
私の頭の中は、断られた時の態度ばかり考えた。
結局、一睡もできないまま、翌日バイトの仕事が終わった後
思い切って告白した。
なぜか、言葉が出る前から涙が流れだし
震える声でこう言った。
「あなたが好きです。大好きです・・・」
それだけ言うのが精一杯。
彼の顔などもう見られなかった。
暫くの…沈黙。
あぁ、断られる。そう思った瞬間だった。
私の左手をグイと引っ張り、思い切り抱きしめてくれた彼。
「バカだなぁお前、それならそうともっと早く言えよ。」
私は彼の胸にしがみつき、声を殺してなきまくった。
たくましい彼の胸はいい香り。
早く、早く止まって下さい、私の涙。
うつむいていた私の頬を暖かい手で包み込み
彼は、指で私の、涙をぬぐってくれた。
「そんなに泣くな」囁くように言うと同時に
優しく重ねてくれた柔らかな唇。
もう、私の鼓動が聞こえてしまう。
恥ずかしいよ、でも最高に幸せよ。
もう私は言葉が出なくって
まるで子供のようになきじゃくるばかり。
もう一度抱きよせて
「気持ちが静まるまでなけばいいさ、俺の胸を貸してやるよ」
今まで20年間生きてきて、こんな幸せ味わったことあったかな。
もしかして、これは夢なのでは?
いや、違う、現実だ。
「あ・り・が・と」
やっと言えた短い言葉
彼は、私の髪を撫で、真白な歯をこぼしてこう言った。
「それは、こっちのセリフだよ」
少し落ち着きようやく笑顔になれた私。
気がついたら夕暮れ時。
人もまばらになった海辺を
手をつないで歩いて行った。
大好きな彼と手をつないで、
潮の香りを満喫しながら歩いて行った。
彼がポツンと言った。
「俺は今、世界一、幸せ者だぜ」
ふいにしゃがんだ彼、
何かを拾って私の手に握らせた。
見ると、うすいピンク色の貝殻が、
夕日に反射してキラキラ光ってそこにあった。
「8月7日、今日は、俺たちの記念日だ」
そう言って彼はぶっきらぼうに小石を拾うと
海に向かって力一杯投げた。
そんな彼の仕草のひとつひとつが愛しくて
私は、思いっきり、後ろから、彼に抱きついた。。。。
そして始まった、私と彼の遠距離恋愛。。。 続く。