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北の国の赤い蜘蛛63

部屋に張られた結界が安定するまで、目を離せなかった。幸いにも、もう数分も待てばあとは定期的に見張るだけで足りるようになるだろう。


眠っていた少年が目を覚ました。

「やあやあ、おはよう。良く寝てたな。北からの時間を合計すると、半日以上寝っぱなしだ。寝る子は育つ、ってやつかな?」

梅岩ときたら、まるで数年来の知り合いのように声をかけた。なぜか、そうしたい衝動にかられた。


「どうして…俺を殺してくれなかったんだ?」

薄い顔の少年は弱々しく呟いた。


「一つ、オレが人殺しになりたくないからだ。

そしてもう一つ、『攻撃に長けた人間』が欲しいからだ」

梅岩は正直に明かした。

「君は人類最強の攻撃力の持ち主になれる可能性がある。どんな邪鬼にも負けないぐらいのね。こんなことは歴史上にも例がない、千載一遇のチャンスなんだ。見逃す手はないよ」


「なんだ…随分と勝手な正義の味方だな」

少年はそっぽを向いてそう言った。


「勘違いしちゃ困るが、オレは正義の味方なんてつもりはない。より多くの命が救われるなら、細かいことを気にしない。

それこそウチの爺やからすれば、オレは帝家発足以来の極悪当主様さ」

梅岩は笑った。何故か、この少年と話しているのが無性に楽しかった。

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