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北の国の赤い蜘蛛50

「あああ、悪霊退散!」

頼みの綱の住職さえも、予想以上の事態に怯えて役に立たない。


少年は必死に叫んで助けを求めたが、蟲が邪魔で声を出すことさえ出来ない。

パニックに陥った少年は、両手をばたつかせた。完全に錯乱していて、自分が何をしているのかさえわからなくなっていた。

ただ、意味もなく暴れただけだった。


なのに、住職は倒れて動かなくなった。

胸から血を吹いて動かなくなった。


動かなくなったのは住職だけではなかった。他の小僧たちも胸や腹や口から血を流して動かなくなった。

何がどうなっているのか、さっぱりわからなかった。


少年はしばらく呆然とした後、頭の中を整理しようとした。

しかし、何もわからなかった。考えても考えても、みんなが襖や壁に寄りかかったまま息もしなくなった理由はわからなかった。


ふと顔をうなだれて下を見て、一つだけわかったことがあった。

少年のお腹から、何本もの黒ずんだ昆虫に似た足が生えていた。

少年は、自分が人間ではないものになってしまったことだけはわかった。

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