表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/67

北の国の赤い蜘蛛49

少年には何を言われているのかさっぱりわからなかった。

どうして邪鬼と間違えられるのだろう?心当たるものを探すところから始めなければならなかった。

記憶を辿り、少年が邪鬼と誤認されそうな可能性を探ると…


心当たりと言えそうなものが見つかった。

あの白昼夢が夢でなかった可能性に行き着いた。


ただし、そうだと考えても辻褄が合わなかった。

あれが夢でなかったとしたら、今こうして生きている理由が説明できない。少年の体は明らかに生存不能なほど食い尽くされていたのだから……


「シラを切るのもいいだろう。どこまで無様に人の振りができるか、見ものだがな」

住職はせせら笑いながら両手で印を結んだ。

「妖怪変化め、正体を現せ!

()ァァ!!」


住職の指先から、白い光弾が飛んだように見えた。

その刹那、少年は腹部に打たれたような衝撃を感じて、激しい吐き気に見舞われた。


「えうっ!」

少年の喉をぬめりつくようなものが走り通った。


吐き出したのは吐瀉物ではなかった。

百足のような無数の足が蠢く、体の長い緋色の蟲だった。少年は蟲を吐き出しきることが出来ず、口から蟲がはみ出たまま立ち竦んだ。


周りの小僧たちが絶叫した。

誰もが仰天していたが、一番ショックだったのは自分の口からグロテスクな生物を吐き出した少年自身だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ