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北に国の紅い蜘蛛43
少年は無論のこと恐怖に怯えたが、ただ大人しく喰われてやるつもりはなかった。
駆け下りる速度を緩めることなく、二匹の怪物のもとへと突っ込んだ。
そしてスライディングの要領で、大きな二匹の間をすり抜けた。
「へっ!こんなところでやられてたまるかよ…」
少年はまんまと逃げおおせた筈だった……
少年は起き上がり再び走り去ろうとした。
だが、すぐさま転んでしまった。
ぐずぐずしていたら、せっかく逃げ切るチャンスなのに追いつかれてしまう。
でも、またすぐに転んでしまった。
何かおかしい、とおもって少年は後ろを振り向いてみた。
大猿のうち一匹が、足を掴んでいた。
何だか変だ。少年と猿はかなり離れているのに、どうして猿が少年の足を持っているんだろう?
謎々の答えは至極単純なものだった。
少年の片足が千切られていて、体にくっついていなかったのだ。
痛みよりショックの方が先に立った。
「それは俺の足だぁぁ!」
足が立たず手を伸ばしたが、どうなるはずもない。
大猿は少年の片足を口に放り込むと、ゴリゴリと美味そうに噛み砕いた。
声も出なくなった少年を、さらに四匹の猿が囲んだ。




