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北の国の紅い蜘蛛41
それはまだスドウ少年が人間だった頃のことだった。
両親に捨てられるように寺に放り込まれた少年は、当然のように不幸せを感じていた。
親と離れたのが寂しかった。代わりに恐ろしいものに遭うことがなくなったが、得たものより失ったものの方が多く感じた。
剃髪され、毎日の作務を当てがわれ、ご飯もお腹一杯には食べられない。与えられた作務衣は薄っぺらくて、冬場となるとダジャレみたいに寒い。テレビゲームだってできない。不満は徐々に募るばかりだった。
しかし寺を逃げる気には、なかなかなれなかった。縄を張られた敷地の外には決して出てはならないと、怖い顔の住職にきつく念を押されていたからだ。
ある日、少年はついに我慢が出来なくなった。
座禅の時間にトイレに行くことが許されず、小水を漏らしたら叱責を受けたのだ。
帰りたい
郷愁にかられた少年は、ついに禁を破ってしまった。
越えてはならないと釘を刺されていた縄を、とうとう越えてしまったのだ。




