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北の国の紅い蜘蛛30

再び車に乗った一行は、雪原を走っていた。


「百重、行動は感謝するが、あの発言はダメだ」

梅岩はこれは言っておかなければならないとおもった。


「…何のことでしょうか?」

百重は不思議そうに訊いた。


これは難しいと、梅岩は思い知らされた。

人間と邪鬼とでは、思考回路が異なる。

殺人や相手を侮辱することが悪いとかいう以前に、助けたことだけは感謝されているところからしてわかっていないだろう。


(見た目は人化できても、中身は人化できないということか…)

梅岩は後悔し始めていた。やはり、邪鬼に邪鬼を裁かせることは到底不可能なことに思えてきた。



「最後に蜘蛛野郎が目撃されたのは、この近くです」

ガイドの女性がワゴンを停めた。


「そうか。しばらく、離れていてくれ」

梅岩は瓶と共に車を降りた。


「どうされますたか?」

また微妙な言語で女性が訪ねると、百重が代わりに答えた。


「ここにいれば、あなたは死ぬ。終わったら連絡するから、離れたほうがいい」


女性は素直にワゴンを走らせた。曲がり角でまた滑って転倒しかけたが、襲われてもいないのに自爆する事態は幸運にも避けることができた。

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