表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/67

北の国の紅い蜘蛛3

「ケンジロウ君。これは、酷く馬鹿馬鹿しい問題だよ」

梅岩は新しい秘書の青年に話をふった。

木霊家が跡取り息子を、教育を兼ねて手伝いに寄越してくれた。せわしなく真面目に動き続ける青年の肉体を休ませてやろようと、声をかけた。

作業に集中していたのだろう、眼鏡をかけた丸坊主の青年は「はい?」と言ったきり次の言葉が浮かばない。腰にはみだしたベルトの先がブラブラと揺れている。


梅岩は苦笑した。これは梅岩が悪い。

「うちは人材が少ない。一方で、霊障の相談に来るものを人手が足りないといって、四大家の紹介状でもなければいつも追い返している。実に間抜けな話じゃないか?」

説明しなければ、何の話かわからないのは当たり前だ。

新人秘書は眉をひそめて言った。

「それはいけませんね。困っている人は助けなければ」


…残念ながら、的を得ない返答だ。


「それができないのは、人手が足りないからだ。

だが、霊障を受けるというのは少なからず霊感を備えているか、寄せる性質である事に他ならない。つまり、面倒な客も手立て次第では人材発掘の鍵となるわけだ」


木霊硯治郎はまだ新人だ。

帝家に仕えて1ヶ月少々。右も左もろくにわからないだろう。

そんな状況で、組織そのものが見落としていた欠陥に、僅かなヒントで気付けという方が無茶だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ