北の国の紅い蜘蛛28
並んだ面子にマルコヴィッチがいたので梅岩は軽く会釈したが、丁重に無視された。
スーツを着た一人がなにやら激しい口調で捲したてた。
女性に訳を頼むと
「あなた達から授かった悪魔は6つの村をビチ○ソのように切り刻まれていただきました。
どのように責任をとらせておもらいになりますか。お返事によってはキン○マぶち抜かせてもらいますが、いかがいたしますか」
とても大胆かつ上品かつ難解な言葉で返してくれた。
おそらく、彼らの言い回しを和らげることもなく忠実に直訳してくれたのだろう。
「なるほど。残念ですが、我々は政治家ではない。賠償責任を問われても承諾しかねます。
蜘蛛は責任を持って始末するが、それ以上はできない。
納得頂けないようなら、このまま帰らせてもらいます」
梅岩はしれっとしてそう言い切り、通訳を頼んだ。
気に入られないのは予想の範疇のことだった。
しかし交渉というものは、このくらい強気でなければ成功しにくい。
スーツの男の一人が何か喚き散らし、腰からトカレフを抜いた。これはさすがに、少し予想外だ。
(距離があるな…)
梅岩は銃に対抗できる体術を修めているが、拳の届かない相手に何かできるわけがない。やや分が悪いか、とおもったときに百重が動いた。




