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北の国の紅い蜘蛛27
一行の向かった教会は、想定したよりも辺鄙な場所にある小さな建物だった。大国でありながらあまり豊かではない土地なので、無理もないのかもしれない。
凍結した路面を再び滑り縁石に乗り上げてワゴンを止めた後、梅岩より背の高いガイドの女性に連れられて二人は教会に入った。
中では燭台に囲まれて、20人ほどの男性が円卓を囲んでいた。半分は牧師らしく黒いローブを羽織っていたが、対面に並んでいるのはスーツ姿。その強面から察するに、堅気の者ではなさそうだ。
梅岩がガイドに小声で質問してみると
「マフィアなわけありませんだろ。自警団の方々でござります」
ガイドの女性は難解な言葉を用いて説明してくれたが、何のフォローにもなっていない。
しかしながら、有事の際にはわだかまりを置いて手を組める彼らが、梅岩には少しだけ羨ましかった。




