北の国の紅い蜘蛛24
「梅岩様が仰るのも間違いではありません。百重の一門も、生き残りは私で最期ですよ」
笑顔を崩さない百重の言葉を、梅岩は全ては鵜呑みにしまいと思った。
梅岩は懸念していた。もし助っ人に使えない者を寄越されていたら、色々な意味で厄介なことになっていたからだ。
依頼をこなせないだけなら、まだいい。青麗の誠意が足りないとケチをつけて依頼を断ることだって出来る。
ただその場合、西側との同盟は破綻する。青麗は梅岩の期待を裏切り、東側との交流の意志がなかったことと認識せざるを得ないのだ。
ただし、それは杞憂だった。そして、別の問題を発生させていた。
「それにしても青麗殿も豪気だな。まさか百眼の末裔を貸してくれるとはね。君なら、一人で帝家殲滅だっていけるかもしれない」
梅岩は探りを入れた。
「滅相もありません。帝家の結界は完璧です。私の瞳術はここでは全く働きません。私の拳術も、貴方の柔術には通じないでしょう」
百重は笑顔を曇らせもせず、言い切った。
これは真実だろう。
同時に、梅岩の僅かな立ち居振る舞いから武術の技量を看破するほど、百重も鍛錬を積んでいることがわかった。そして妖の術さえ使えれば、梅岩の言った冗談を実現できることを否定していない。




