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北の国の紅い蜘蛛2

帝梅岩(みかどばいがん)


国内の退魔師のおよそ半分以上を束ねる帝家(みかどけ)の若き当主である。


まだ二十歳の誕生日を迎えたばかりの若殿は、黴臭い古書が山積みになった書斎で調べものに明け暮れていた。

秘書の若者がせっせと書を運び整理するのを尻目に、床に胡座をかきながら近年の人事について書かれたものを熟読していた。



帝家はある問題に直面していた。

人材が少なすぎるのだ。

退魔師には祓い屋・拝み屋・符書き・憑護・退治屋と分類されるわけだが…

魂外しの事件で多くの人材が失われたことが、ここ10年で大きく響いていた。特に退治屋と呼ばれる、前線で邪鬼に相対するものが足りない。梅岩自身を除外したとき、その次に戦える他の使い手がいない。


梅岩は人材不足の原因を探った。そして、それは実に根本的なことだった。

帝家に仕える、霊感を生まれついて持ちやすい4つの家系。木霊家(こだまけ)、円角寺、龍崎家、月森家。この『帝四大家』以外に人材発掘する選択肢がほぼ皆無なのだ。

人足りなくなるのは、至極当然な現象だったわけだ。


一方で、帝家には霊障に困らされた人が相談に来る。

彼らは大抵は門前払いにされる。何故なら被害妄想や精神疾患などで幻覚の類を見ている人間の方が、圧倒的に多いからだ。初見でそのような偽物と本物を見分けられる者など、そうそういない。精査するにも絶望するほど人手が足りない。

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