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北の国の紅い蜘蛛18

「まず一つ、カンパニーの帝家に対する敵対意識は薄い。オレたちの思うより、奴らはずっと柔軟だ。過去のことは過去のこと。先祖代々の軋轢あつれきがどうこういうより、これから先の利益の方を重要視している。

警戒心はあるし、決して信頼できる相手じゃないんだが、交渉は成立するレベルにあるぞ。

今までは西地方のトラブルは奴らに任せきりで、仮に非人道的な案件があっても干渉できなかった。そのへんを突っ込めるようになるかもしれない」


烏傘には信じられないようだった。カンパニーは勿論、梅岩の言うことも信じられないようだった。

無理はないだろうな、と梅岩は思った。


「現に今日も約束を取り付けてきた。当分の間、手練れの者を3・4人貸してくれるそうだ。

代償に一つ面倒事を押し付けられたが、また代わりにオレも条件を出した。今日中には1人がこっちに来るはずだが…」


烏傘が腰を落とした。

梅岩は老人いじめをしているようで可哀想になってきた。時代の変革にこのような葛藤は必要だと知ってはいるが、気が引けた。


「梅岩様は騙されていらっしゃる…

あれは、我々には関わりの無い話ですぞ。西の連中がした不始末が隣国に迷惑をかけたことで、我々が何かする必要は…」

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