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北の国の紅い蜘蛛14

怪物のスペックを計りきる前に、処分するには犠牲を伴う敵であると青麗は判断した。

青麗は陣を用意した。


対象を遥か彼方へと転送する術式だ。

獣のような知力しかない怪物は、青麗の罠に簡単にかかった。あっさりと陣に足を踏み入れ、国外のどこだかわからぬ所に飛ばされた。

周りを海に囲まれた島国のこと、怪物は海に落とされて溺死するはずだった。


しかし怪物は悪運が強かったらしい。陸地ないしはその沿岸に落ちたのだろう。

北の隣国の使者が言うには、蜘蛛の怪物に村を三つ全滅させられたという。

蜘蛛の化け者がこの国の言葉で

「殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ…」

と連呼していたので出自がわかった。


こうして蜘蛛が海を渡った来たものであると知った高官たちは、怒り狂って青麗に文句をつけに来たというわけだが…

(それにしたって酷い話だ)

マルコヴィッチはいきなり梅岩のところに来てもおかしくなかったのだ。その場合、全く事情がわからず手の打ちようがなかった。

この国では東の帝家と西のカンパニーが勢力を二分している。たまたま西の方に文句を言ったから、まだ言い争いになったわけだが…

(それか、もしくは…)

烏傘老人がマルコヴィッチに「そんな話はうちには関係ない」だとか言って追い返したことが、目に浮かぶようだった。

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