虚酒
お酒は駄目だお(・д・)
いつもより少し早く目が覚めた。
喉の渇きをおぼえて、彩子はふらふらと冷蔵庫に近づいた。
冷蔵庫に辿りつき、扉を開ける。運悪く冷蔵庫の中に麦茶はない。
力なく扉を閉め、ぺたりと冷蔵庫の前に座り込む。
膝を抱え、顔を埋めた。
昨日、バトミントンの試合があった。当たりが悪かったんだと思う。
一回戦敗退だった。
中学一年生の子に、惨敗した。今までにない惨敗だった。
その子は全国大会の常連で、強いってのは分かってた。私はそんな子と一回戦で当たった。
自分が、相手に及ばないのは分かってた。
でも、自分だって10年近くバトミントンに打ち込み続けてたのに……。
思い出すと、力が抜ける。
なんだか、色々なことに対する気力が湧かない。
それだけじゃない。部活のこと、勉強のこと、人間関係のこと、好きな人のこと……。
心配事はたくさんあるし、バドが忙しくてやりたいことはおろか、勉強すらできない。
それから暫く、何も考えることなく冷蔵庫の前で三角座りを続けた。
一体どれほどの時間が経ったのだろうか。
気付けば、薄暗かった窓の外はすっかり明るくなっていた。
突然、喉の渇きを思い出した。
もう一度冷蔵庫を開けて中を確認する。
冷蔵庫の扉の、ビンなどを立てておくスペース。
琥珀色の液体が入ったビンを見つけた。
吸い寄せられるようにして手を伸ばす。
ゴールドラム
ラベルに踊るアルファベットはそう読めた。
すでに栓は開いていた。
最近カクテルに凝っている母が飲んだのだろう。残りはほんの僅かだ。
彩子は一瞬停止してから、手に持ったビンに口を付け、傾けた。
そのまま一気に呷る。
強い衝撃が脳天を直撃した。思い切り噎せ返る。
アルコール度数40度は、酒 というものを知らない少女には強すぎるほど強すぎた。
それでも彩子は、ラムを呷り続けた。
その半分以上が口から溢れ零れおち、顎を滴る。
遂にビンは空になった。
ゴトリと音を立てて、ビンが手から離れる。
彩子は放心したように笑い出した。
キッチンには、狂ったような笑いと、冷蔵庫の警告音が虚ろに響いていた。
書きためてあるので、近々出せると思います。
eveningとかもなんとかしてあげたい。。。