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Color blindness  作者: グリコ
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第一章:【1】

「……あ」


 思わず後ずさり、ふとももに椅子があたって倒れこむように座る。真っ白になっていた思考を揺さぶるように、女性は話を続けた。


「大丈夫だよ少年。私は(すぐ)に君を殺したりなんかしない……安心してくれ──親や友人に何を吹き込まれているかは知らないが。いやそもそもケルディアの民は皆嘘を真実だと教え込まれている」


「……な、何のことです?」


黒い連中に会えば、直に喉をかっきられて死ぬ。そう母親に言われたのに、女性は前を向いたままで襲ってくる気配など何もなかった。それよりも女性が口にした言葉が、妙に気になる。


「しかし、もし君が逃げるような素振りをしたら──」


フォンという風の音がして、喉に剣先が突きつけられていた。思わず喉がひきつる。


「この可愛い子羊の喉を、かっきることになる…」


低い声で言った女性は、青空よりも澄んだ空色の瞳を哀しそうに細めた。一つに結われた金色の髪が、風に揺れて繊細になびいた。オレはもう、ずっと女性と見詰め合っていた気がする。そこら辺の村、いや首都にだって女性ほどの端麗さを持った人を見た事はない。研ぎ澄まされた、それこそ銀色の狼の牙のような鋭利な危うさと、この世の男──いや同性でさえも、女性には魅了されるだろう満月のような美麗な容姿。


「……逃げたり、しませんよ」


首につきつけられた刃先を、しっかりと握り下ろす。オレの行動に驚いたのか、女性は少し身を引いた。


「……どうせもう、俺は誘拐された身なのでしょう?──それに、殺されるのは嫌ですからね」


女性は口元を緩め、剣をオレから離した。そして少し遅くなっていた馬車の速度を速めるため、馬に鞭を入れた。


「物分りのいい少年は、好きだよ」


オレは後ろの背もたれに体を預けるように、椅子にふんぞり返った。ため息もでない、どうしてだろう。何でだろう。よりにもよって、"白の羊”の試験の日に、悪党によって浚われるとは。しかもただの悪党じゃない、この世で最も不吉な象徴とされる"黒い狼"のメンバーに浚われた。ケルディアの政府は彼らのことを"悪魔"だと呼んでいる。政府が言うのだから、間違いないと人は言う。しかしオレは昔から、そう何か別に──気にするほどの問題じゃないと思った。周りの人たちは"悪魔"だとか"不吉"だとか"殺人集団"だとか言っていたけれど、事実14年間生きてきて"黒い狼"がケルディアの一般の民を殺したなんて情報は全く入ってこなかったからだ。ケルディアの軍人が殺されたのは聞いた事があるけど。


誘拐されてこんなにも動揺しないのは、その思念がなすものだと思った。


「少年は、何故私を罵らない?」


「……え?」


「私は今まで何人も、私の正体に気づいた者を浚ってきた。そういうものは大体──私を罵るのが相場なのだが」


女性特有の華奢な背中を見ながら、オレは妙な気持ちが沸いて来るのを感じた。それは、そう。完璧なる同調感だった。


「貴方こそ、何故オレを罵らない?」


「──は?」


「ほら、さっきだって、オレの黒い髪を見て何か言ってましたよね?普通の人はこの黒髪を見たら"黒い狼"だって──」


「……」


"黒"。それが唯一であり、必要十分なオレと女性の共通点だった。





「少年とは、何か運命的なものを感じるな」


女性はクツクツと愉快そうに笑った。オレはそれで、もう本当に逃げる気がうせた。どうやら、いよいよ本格的に、目の前の女性が恐ろしい人なんかに見えないのだ。


「オレもです」


「……まぁ、別に、だからといって私がする行動は変わらないのだが。私の顔を見た人を母国に帰す訳にはいかないんだよ、告げ口をされると面倒だから。だから私は少年を港経由でリノへ連れて帰る」


青い空だけはそのままに、辺りは砂利道に入った。


「リノ……って、もしかしてリノ島ですか…?」


「ああ、それ以外に何がある」


思わず倒れそうになった。リノ島。ケルディアの政府が言うには、"黒い狼"の巣窟である島。そんな場所に、オレはこれから連れて行かれるのか。それはやはり、困る。ここでオレはようやく、頭の隅に母親のことを思い出した。


「やっぱり、家には帰してくれませんか」


「当たり前だ」


女性は、そのような可能性があるわけないとばかりにピシャリと言った。


「絶対に、貴方のことは言いません」


身を乗り出して、女性の肩を握る。誓約を誓うように。


「信用できないな」


しかし丸い金髪の後頭部は、少し揺れただけで興味がなさそうだった。


「絶対にです!絶対、誰にも言いませんから!オレ、"白の羊"に入りたいんです!親孝行したいんだ!!」


うるさいとばかりに肩を捻ってオレの手を離させると、女性はこちらを睨んで唸った。本当に鋭い目つきに睨まれると、それだけで萎縮してしまいそうだ。


「だから何だ!少年の都合など私には関係ない!黙っていた方が身のためだと思うが!」


「いやだ!オレは絶対…」


騎士団に入った俺を、心から喜ぶ母さんの顔がよぎった。


「騎士団に入らなきゃいけないんだ!貴方なんかに付き合ってる暇はないんだ!」


荒く息をして、目の前の女性を睨む。そうだ、そうなんだ。オレはもう、確固たる思いがあるんだ。


「……どうして、そんなに"白の羊"が好きか……?」


氷のような冷たい口調で女性は呟いた。口を引き結び、必死に何かに耐えているようだった。その手には剣が握られている。


「白の羊が好きなわけではありません。ただ、オレは母親を楽にしてやりたいんです。何の職もない、ただ馬に乗って剣を振り回すのが好きなだけのオレが、活躍できるのは騎士団しかないんだ」


「──」


女性はそれを聞いて、少しばかり口の引き結びを緩めた。そのまま向き直り、手綱を握る。剣は収めたようだ。


「……無理だ」


それを聞いて、項垂れる。どうやら、もう、本当に家には帰れないらしい。


馬車は軽快に飛ばし、どんどん日が沈んでいく。家に帰りたいという交渉以外、オレと女性は一言も会話を交わさなかった。それもそうだ、誘拐犯と親しげに話す被害者など、居ないだろう。


「……」


どんどん、薄暗くなる景色と共に瞼も重くなってきた。手を(かざ)して目を閉じる。深く息を吸い、ゆっくりと吐き出すと、肺の中の不純物が全て出て行く気がした。カタカタと揺れる感覚にも慣れてきて、どんどん体は沈み込むように重くなった。夜の暗闇に包まれる前に寝てしまおうと思った。暗い中では、不安が押し寄せてきそうだったから。


「……少年…眠いのか…?」


微かな意識の隅で、誰かの声が聞こえた。考える事をやめた脳は、適当に相槌を打つように差し向ける。


「…はい…」


すると誰かが困ったようにため息をついた。そして静かに上下振動がゆるやかになる。涼やかな、夜独自の冷えた空気が心地よい。


「……困った奴だ…本当に私が怖くないのか……」


そう耳元で囁かれた気がする。最後に覚えがあるのは、誰かの優しい手がオレの頭を撫でたこと。







「……」



 目を開けると、頭上の木の枝に止まった二羽の小鳥が鳴いていた。栃葉色の丸っこい体を揺らしながら、楽しそうに掛け合いの歌を歌っている。しかし木の枝は流れていった、ということは馬車は相変わらず走っているわけだ。のろのろと体を起こすと、自分に毛布がかかっているのに気がづいた。そして──白い背中が見えた。一瞬、白の羊かと思うが、すぐに脳は記憶を呼び出し、その人は誘拐犯だという事を知らせる。


 馬車は、緑の木々が鬱蒼(うっそう)と茂る森の中を走っていた。右も左も知らない風景は不安を駆り立て、唯一の頼りである(かなり不本意だが)目の前の女性に尋ねる。女性の片手にはランプが持たれていた。


「……あの…」


女性の肩が少し跳ね、すぐに気をとりなおすかのように何本もある手綱を調節した。


「何だ」


「ここはどこなんですか?」


「…バイス(抜け道)街道」


そう聞いて、首を傾げる。そんな街道聞いたことない。それを横目で見ていたのか、女性は口角を不自然に歪めた表情で笑った。白い霧かかった森の中で、馬車馬の蹄の音だけが響く。


「少年が知らないのも当たり前だ。ここの道は一般には公表されていない、昔忌々しいケルディアが、黒を持つ人々を隔離した地域へと続く道だ」


「──…どういう意味です?」


 真っ白な馬車馬が、森の中では場違いな程に綺麗だ。この森は何か──神秘的で厳かな空気を帯びている。暖かい気候にも関わらず、地面を栗色の落ち葉が覆い尽くしている。あまりに木々育ちすぎたせいだろうか、空から降り注ぐはずの眩しい光は届かずそれどころか、こげ茶色の幹も枝も、緑の葉も、表面に雫が溜まっている。


「黒、つまり私や、お前のように、かつてケルディアには黒い目・髪・肌を持った人々が少数ながら暮らしていた。前の国王の時は、皆平和に暮らしてんだ。そう、お前の友人の様な裕福で白い奴らと同じに。しかし…」



女性は言葉を区切り区切り、噛み締めるようにして言った。


「現国王になってから、黒の連中がどう扱われているのか、少年君なら分かるだろう?」


 そう問われて、沈黙する。オレはこの世に生れ落ちてから、この黒い髪にいい思い出がない。村にはあまり子供が居なかったから、そこまでの苦しみはなかった。クラムのように、親がオレを嫌っていても話しかけてくれる(少し嫌味な奴だけど)奴だって居た。

 だけど、その分母さんがどんな思いでオレを育ててきたのかは、分かってる。差別と、偏見。大人の世界は、子供のそれよりずっと陰湿だということは、知ってる。


「知っています。だからオレは、周りの人を見返そうとして、騎士団に入るつもりだったんだ!なのにあんたが」


その時馬車馬が大きく尻尾を振るっていなないた。


「少年。気持ちは分かるが、それは根本的な解決にはならない。それでは結局、自分を見下してきた相手の傘下に入る事になる」


そう言われてハッとした。それもそうだ。何だか誘拐犯に説得された気分になり、下唇を噛む。やがて森の木々は少なくなり、あまり舗装されていない獣道のような粗い砂利を馬車は進む。そして女性の口笛と共に、馬車馬は歩をゆるめていった。


「……」


そこは、静かな空間だった。完全に停止した馬車から降り、地面に降り立つ。森の中に一つの村があった。馬車が止まったのは村の入り口で、背の高い木から、"黒の住みか("A black home)と描かれた木の看板が吊ってある。


「……少年、そういえば私は君の名前を聞いていなかったな」


女性はオレと同じくらいの目の高さだった。凛とした空色の瞳が、こちらを見た。角度によって、女性の目の色は薄い青から、コバルトブルーまで変わった。睫毛がとても長い。


「アル。アル・ライトといいます、14歳です」


「私はエレス・ウィア。年齢は…秘密だ。じゃあ行こうかアル少年」


何故年齢を言わないのか、それはエレスさんの自由だ。スッと伸びた綺麗な背中を見ながら、オレは急に冷えた外気に震えた。一歩踏み込んで、すると村の中央にある井戸で三人の農夫が話し込んでいた。継ぎ接ぎの汚れた服を着ているが、別にオレと代わりがない気がした。


「…でな…あっ!おい、あれ見ろあれ!エレスさんじゃねぇか!!」


30程の健康そうな農夫が始めに叫んだ。それに伴い、傍に居た二人の農夫が心底驚いたような顔で叫んだ。


「…お、おお!おい、見ろよ!エレスさんだ!エレスさんだぞーーー!」


大声で叫んだ男の声は村中に響き(といっても極小さな村だが)、家から一気に人が出てきた。それでオレは、目の前のエレスという女がどれだけこの村では有名人かを知った。代わりに白い制服を着たオレを、農民達は穴が開くほど凝視した。


「おい、誰だい?その後ろの少年は」


最初に叫んだ農夫は、クワを肩に担ぎ不思議そうにこちらを見た。思わず会釈すると、驚いたように会釈し返してくれた。


「見たところ髪が黒いぜ、仲間じゃないのかぃ?」


「わかんねぇな、でもエレスさんが連れてくるんだ、間違いねぇ」


うんうんと頷く農夫に、何が間違いないのかと思ったが、案内役がどんどん進んでいくので付いていく。周りを取り巻くように、農民達がついてくる。


やがてエレスさんは一軒のボロ屋の前で立ち止まった。いや、オレの家もこんなもんだったか。板を釘で貼り付けただけのような、ボロ屋。強風が吹き付けるだけで倒れそうだ。



「……ノッド叔父さん、居るんだろ?私──エレス・ウィアだ。"黒の連中"だよ、開けてくれ」


コンコンと、手の甲で木の戸をノックしながらエレスさんは(なだ)める様に言った。すると小屋の戸が静かに開き、中から口周りに黒ひげを蓄えたおじさんが出てきた。頭には髪がない、意図的に剃ってあるようだ。訝しげに堀の深い目元を細めていたが、じきにタレ目になるほど満面の笑みを浮かべた。


「ああ、エレス!久しぶりだね…ああ、少し痩せたかい?ちゃんと食べているんだろ?」


腕を伸ばしてエレスさんとノッド叔父さんと呼ばれた男は抱き合った。本当に、愛しい人を抱くようだった。


「もちろんだよ叔父さん。"黒い狼"は"白の羊"と違うからね。叔父さんこそ──少しやつれたみたい」


「大丈夫さ……それより、後ろのおまえさんは誰だい?」


エレスさんはようやくオレを思い出したみたいに、慌てて紹介した。


「ああ、この子はアル・ライト。私が連れまわしてる少年」


誘拐という二文字を柔らかくしてエレスさんは紹介した。いちいち反抗するのも面倒なので、そのまま軽く頭を下げる。


「おお、なんとも礼儀正しい少年じゃないか。近頃は村の子供でさえ礼儀がなってない子が多いからな。目を合わせて頭を下げる。これだけのことなんだがな…ああ、そんなとこで立ってないで、入りたまえ」


そう小屋の中へ導かれて、入る。どうやらこのノッド叔父さんと言う人は、中々に優しい人と見た。叔父さんと言うぐらいだから、エレスさんの血縁の人かな。小屋の中は案外広かった。床や天井、壁にまでさまざまな生物の皮がぶら下がっていた。部屋の中央にある丸い木のテーブルへ促されて、切り株をそのまま椅子にしたような四角形の固まりに座る。


「……それで、エレス──わざわざこんな偏狭まで来て、何か合ったのか?」


ノッド叔父さんは広い背中をこちらに向けて、何かの飲み物を(こしら)えている様だった。チュレルの実を磨り潰した時の様な、香ばしい匂いが小屋に充満する。


「ああ。別に、本当は用事なんてなかったんだ──ただ、様子を見にきただけ。母さんは?」


「エリスは…村の奴らと一緒に森へクルの実を採りに行ってる。帰ってくるのは日が暮れる頃になると思うが…」


運ばれてきた木の器を受け取り中を覗く。するとそこには黒い液体が入っていた。これは一般的な飲み物だ。オレもよく飲んでた。やはり磨り潰していたのはチュレルだったのだ。喉が痺れるほど苦いけど、健康にいいんだ、この飲み物は。


「そう、ならいい、叔父さんだけでも、相談できるから」


横目でエレスさんを見る、少し表情に落胆の色が見える。青い瞳は深い色を持っていた。


「そうか…で、何だ?相談って」


ノッド叔父さんは、全くと言っていいほどエレスさんに似てない。黒い髭に黒い瞳。俺よりもさらに黒が濃い人だ。


「この、アルって子についてなんだけど」


そう言われて、瞬きをする。オレについての相談って……何だ?急に、チュレルの香りが強くなった気がした。


「この子、ほら──ティア嬢に、凄く似てない?」


指をくるくると回しながら、エレスさんは思い出すように言った。ノッド叔父さんは俺を見つめた。いや、なんだか濃い顔に見つめられると変な汗が出る。小屋の窓から先程の農夫たちが我先にとばかり押し合いながら小屋の中を覗き込んでいる。


「……そうだな……目元・口元が似てる…かもな。しかし、それがどうした?」


オレはティアという人物がどういう人なのか無性に知りたくなった。そう、無性に。まるで欠けていたピースを求める、子供の様に。


「いいえ…ただふとそう思っただけ。名前も違うし、全くの部外者よね」


何かを断ち切るように大きく息を吐くと、エレスさんは立ち上がった。それを見て、自然に足が動き自分も立ち上がる。まるで犬みたいだな、と苦笑した。ノッド叔父さんはおろおろと目を泳がせ、小屋の入り口を塞ぐように立った。突き出た腹が、とても邪魔だ。


「なんだよエレス!もう少しゆっくりしていっても……」


「いいのよ叔父さん、急がないと。この子の友達を振り落としてしまったの、もしかしたらケルディアに告げ口されている可能性がある。いやその確立が高い。だから一刻も早くこの村から去って、ケルディアを出ないと」


 オレはクラムの顔が浮かんだ。あいつなら帰って直に親にこの女性のことを話すだろう、そして自分が馬車から落ちてどれだけ痛かったか、などを喚き散らして──親父さんは即、ケルディア政府に問い合わせ……まぁ、追っ手が来るのは時間の問題か。いよいよオレは肝が冷えるのを感じた。


「そうか……なら仕方あるまい」


ノッド叔父さんは丸太のような太い腕を下げ、もう一度エレスさんを抱きしめた。序でに挨拶代わりとばかりに頬に唇を当てた。


「気をつけろよ」


「分かってる…そっちこそ気をつけて」


意気揚々と小屋から出て行ったエレスさんを見送って、次いで出て行こうとするオレをノッド叔父さんは捕まえた。農夫たちはやれやれとばかりに窓に張り付くのをやめた。小屋の中が静かになる。相変わらず、チュレルの実の匂いがした。


「な、何ですか?」


「……アルとか言ったか、おまえさんは確かに、ティア嬢にそっくりだ。だから、お前さんを見込んで頼みがある」


逃げられないようにがっしりと掴まれた肩に、さらに力が込められ竦む。


「エレス、あいつは本当に勇気があって、気高くて、私の誇りだ。しかし──あいつの勇敢さは時に無鉄砲となる。だから、お前…そう、中々筋肉のつきも良い。エレスにもしもの事があれば、あいつを助けてやってくれないか?」


「……」


ふざけるなと思った。オレはあの人に誘拐されたんだ。誘拐犯を守る被害者なんて本当に矛盾もいいところだ。しかし…何故か頷いてしまっているオレが居た。


「そうか、物分りの良い少年は好きだよ、じゃあ頼んだぞ」


どこかで同じセリフを聞いたなぁと思いつつ、小屋を後にした。














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