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エピローグ

 浦尾靖が暗殺されたと言うニュースが飛び込んできたのは、江崎が死んだ三日後だった。

 恐らくリーズがほとんど壊滅したためだろうとリンネは言った。

 江崎はボディーガードとしても優秀で、あらゆる危険から浦尾靖を守っていたと言う。

「だから江崎はリーズを意のままに操る事が出来たのだ。しかし、崩れる時はあっけないものだ。リーズも、江崎も、浦尾も」

 プリミティだって。リンネはこの言葉だけは飲み込んだ。

 プリミティは同志達を集めると言う。そのためには精神感応者がいた方がはかどるので、瀬良太達はリンネとサトリと共に全国を行脚する事になった。

 落ち着けば好きな事をさせてくれると条件付きだ。

 央利は精神感応者である事を伏せて、恋人作りがしたいと言った。

 竜清はこの縫い目がどうにかならないかと言った。

 瀬良太はプリミティで正義のために働きたいと言った。

 今、瀬良太、竜清、央利の三人とリンネとサトリは、ピクニックも兼ねて景色のいい山へと来ていた。

 観光客も多く、プリミティを探すにはまずますの場所と言う訳だ。

 プリミティ探しに一番協力しているのは央利だ。出会い頭に心を読み、プリミティかどうか、不思議な力を持て余していないか探るのだ。

 瀬良太は棒きれを振り回して遊んでいて、竜清は重装備に身を包みよっこらよっこら歩いている。不機嫌そうに見えるが、この行脚を楽しんでいる。超能力の検査もなく自由になれた気がするからだ。

 山の頂上へ着くなり、瀬良太はヤッホー、と叫んで、やまびこが返ってくるのを面白がっていた。

 竜清は心地のいい空気を堪能する。央利は見知らぬ人の心を読みに行く。

「さあ、お昼にしようか」

 リンネがそう言うと、子供達はワッと喜んだ。

 手作りのお弁当、とはいかなかったが、スーパーや総菜屋をいくつも回り、好きなお弁当を買ったのだった。

 リンネがカラシを大量につけてお弁当を食べているのを見て、瀬良太は興味津々で「それ、おいしいの」と言った。

 リンネは水筒に水がたっぷり入っている事を確認すると、少し意地悪したくなり「食べてみるかい」と瀬良太にカラシのたっぷりついた唐揚げを食べさせた。

 かぶりついた瀬良太は火を噴いた。

 顔を真っ赤にさせてヒーハーのたうち回る瀬良太に、みんなは大笑いした。

「プリミティの人、ここにもいなかったね。ねえ、サトリさん。何か予知出来た?」

「あぁ。素敵な未来が見えている。今、このひとときのように、みんなが笑ってる、そんな未来がね」

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