破壊と裏切り②
「おじいちゃん、石は?」
僕はなるたけ落ち着いて聞く。おじいちゃんは聞かれてはっとしたのか、首を捻りながら周りを見る。
「ない!」おじいちゃんが叫ぶ。
僕は、目の前の男が石を握っているのを見た。
「ドリグランか?」
僕は目の前の男に聞く。
男は僕の質問に答えずに、駆けだした。僕を左手で突き飛ばし、家の壁を体当たりで突き破って外に出た。僕は両手で受け身をとり、くるりと後ろ向きに回転して地面に足をつけた。
「コルーパ! まずい事になった。奴が外に出た!」
「分かった。天馬はすぐに追いかけろ!」コルーパはもぞもぞと起き上がると叫んだ。「天夢は危ないからここにいろ!」
僕は、ドリグランが開けた穴を通って、追いかけた。ふと後ろを見ると、コルーパと首相もついてきている。前に視線を戻すと、ドリグランは加速して視界から消えた。
「見失ったぞ!」
奴が大都市にいったら、被害は甚大になる。早く食い止めなければ。
「都市部で奴の生命反応を確認した。急げ、天馬」
わかったと頷いて、僕は加速して、ドリグランを追いかけた。
瞬時に、ビルが建ち並ぶ都市部に到着した。僕はてっきり、ドリグランが石の力で街を破壊しているのかと思っていた。実際は、これから地球が滅ぼされるかも知れない恐怖が微塵も感じられないほど平穏だった。
コルーパと首相が遅れてやってきた。
「どういうことだ?」
僕と同じ事を思っていたのか、コルーパが聞いてくる。
「わからない」
「奴の生命反応はここから出ているな」
変装しているのかも。と僕は思った。来るときは普通の若い男だった。
「とりあえず、奴は地球の生活に慣れてない。ボロがでて来るはずだ。怪しい奴は見張るべきだな」
コルーパの言葉に僕は頷いた。
ゆっくりと人気のない路地裏に降り立った。しかし、都市部とだけあって、凄い人混みだ。この中から探すのはかなり骨が折れる作業だろう。
コルーパと首相も路地裏に着地した。首相はもう既に、どこにでもいるような若者の姿に変身していた。
「よし、行こう」
僕らは大通りに飛び出だした。
どんどん更新していきますよーっ