表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喋る犬と宇宙外交官2nd  作者: メロ
再び大戦争
5/17

再び大戦争④

「以外とあっさりだったな」コルーパがニッと笑って言う。

「戦いなんてそういうものさ」

 そうだな、コルーパが素っ気なく答える。

「お前の魂、渡しとくよ」

「ああ」

 僕の右手から青い炎の塊がコルーパに向かって飛んだ。

「ちゃんと、戻ったようだ」コルーパが舌を出していった。

「そもそも、魂をなんで切り離した?」

「護身用だよ。こんなところで死んだら意味がないだろ」

 ふーん。

「まあいいや、帰ろう」

 石の力を使うと、まばゆい光と共に、ゆらゆらとした、環が目の前に出てきた。僕とコルーパは光の中をくぐった。


 光の向こうは儀式の間だった。僕とコルーパが光からでると、周りを見回した。

「えッ?」

 首相が二人、向かい合っていた。まったく状況が読めない。

「天馬、伏せろッ!」コルーパが叫ぶ。

 と、同時に片方の首相の足下から黒い液体が飛び出して、僕めがけて飛んできた。反射的に伏せてよけると、僕の上からコルーパが飛び出して、黒い液体に向かった。コルーパは燃えていた。そのまま水に体当たりすると、水は形を変えて、よけてそのまま儀式の間から消えた。

「おい、コルーパ大丈夫か?」と僕は燃えていたコルーパが心配になって聞いた。

「いや、大丈夫」

 ふと見ると、コルーパは燃えてなかった。どういうことだろうか。

「以前、俺には喋るという能力があると言ったはずだ。実は、他にも能力がある。物質なら何にでもその形に変える事ができる能力だ」とコルーパは言った。

「で? さっきの奴は何なんだ?」

 コルーパは首相と顔を見合わせた。首相が頷くと、コルーパが話し始めた。

「天馬が、空間と空間の狭間からでたとき、そこにいたのは首相じゃないんだ。さっき、天馬の事を襲った奴だ」コルーパは驚く僕をよそに続ける。「奴は俺たち三人をまとめて殺そうとしてたんだ」

「どういうことだ? 僕は空間と空間の狭間にいるし、コルーパはあの世だ。首相だけ襲えばそれだけリスクが少ない」

「天馬、それは違う。たとえ、違う次元、空間にいたとしても、それは『死』ではない。死を受け入れ、死んだわけではないんだ。だから、生きてる。生きてれば、この次元――この世にでてくることができるから、意味がないんだ。ほら、俺は殺される事以外で死なないって言ったろ? だから、あの世に魂がついてきた」

「じゃあ、なんでコルーパはあの世に行ったんだ?」

 だんだんこんがらがってきた。でも、知りたい事もいっぱいあって、不完全燃焼だ。

「それは、私から説明します」首相が言った。「コルーパには奴から身を守るために、安全策としてあの世に行ってもらったんです」

「安全策?」僕が聞く。「最終兵器が消え去った今、何の危険があると?」

「全宇宙の星が民主制に移行になったはずが、軍事に特化した星が未だに地球を狙ってるんです。それは、『ドグラクス』。彼らは、今回の宇宙戦争の黒幕だったのです。彼らは、反政府軍を煽って、兵器を無償で譲渡し、この戦争へと導いた。が、作戦は失敗し、念のために送り込んだ最終兵器も消滅した」首相はふうと息をついて続けた。「そして、彼らは新たな策を考えた」

 首相は淡々と話しているけど、まったく分からない。でも、疑問は残った。

「どうしてドグラクスは地球に固執するんです?」

 待ってましたとばかりにコルーパが口を開いた。「前にも話したと思うが、地球は資源が豊富だ。宇宙の中でもかなり豊かな星なんだ。加えてドグラクスは資源に乏しい。しかも、軍事国家だから、兵器開発は必要不可欠。彼らは、兵器を開発し、売って、その金で輸入してたんだ。彼らは崖っぷちの状態で、最終兵器を超える火力を持った新たな生物兵器を生み出した」

「それが、さっき我々を襲った奴、ドリグランです」首相が言う。「奴が敵ならば、今の天馬さんの力では太刀打ちできない」

「石の力を使っても?」僕は聞いた。

「使ってもです」

 絶望だった。今度こそ地球は終わるのか。

 コルーパを見る。緊迫した状況だが、それなりの余裕が顔に出ている。

「だが――」コルーパが口を開く。「解決策がない訳じゃない」

 首相が頷いて後を続けた。

「奴は今地球に潜伏中。しかし、所詮兵器。命令に従っているだけ。そこで、天馬さんに新たな仕事を頼みたいのです」

「新たな仕事?」

「ええ。命令を出している人物――すなわち、ドグラクスの最高司令官、タウチーを暗殺する事」

 暗殺・・・・・・暗殺って、人殺し? それは、犯罪だし、僕もしたくない。ふと首相の顔を伺う。さすがに、やるせない表情だった。

「非常に言いにくい事ですが・・・・・・天馬さんは多数のドグラクス星人を殺している」

「えっ」

 それは驚愕の事実だった。僕はそんなことをしていない。

「最終兵器が責めてきたとき、軍艦も一緒だった。その軍艦やUFOはドグラクス星が出した援軍。天馬さんは見事に破壊していったけれども、中のドグラクス星人は死んだ・・・・・・。天馬さんはもう、殺戮者なのです」


いつも読んでいただいてありがとうございます。

 

感想、アドバイスお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ