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喋る犬と宇宙外交官2nd  作者: メロ
最後の抵抗
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最後の抵抗③

「今ここに」バンバルジが静かに声を放った。「今ここに、宇宙非武力連合への攻撃を宣言する」

 バンバルジの周りに大量のドリグランが現れ、縦横無尽に飛び散った。席は全て破壊され、各惑星代表者は転送装置で自分たちの星へ帰って行った。

 バンバルジの右側にいたドリグランがすさまじいスピードで僕の席へ向かってきた。瞬く間に破壊され、僕は席と一緒に落下していった。

 ヒュオオ、という音が耳を切り、ドリグランと一緒に塔の下に落ちていった。僕とドリグランはつかみ合いながら、離れたり、近づいたりしていた。くるくると落ちて、どっちが上か下かなんてまったくわからなくなったとき、ふっとドリグランが消えた。と思っていたら、僕はそのまま地面に激突し、上から迫り来るドリグランに押しつぶされた。

 すさまじい衝撃で、地面は波のように浮き上がり、砂煙が塔の中に充満した。

 ドリグランは僕を掴みあげて、投げた。僕は力なく、されるがままに飛ばされ、塔の壁を突き破った。背中と腕を激しい痛みが襲う。

 コロコロと転がった、僕の前にドリグランは立ちはだかった。

「地球人には奴隷がふさわしい」

 ドリグランが嘲笑した。

「ジャックポットか」

「貴様の質問に答える許可は下りていない」

 そのドリグランが、僕を掴もうとしたとき、遥か頭上から、人型の何かが落ちてきた。その何かはドリグランに衝突した。

 その後、次々とドリグランが降り注いでくる。僕はかろうじて避けると、よろよろと立ち上がった。すると、どこからともなくコルーパが現れた。

「ドリグランの機能を停止した。動いてるって言う事は、ジャックポントだな」

「フン」

 ジャックポントは鼻で笑うと、液体化して、地面の中に潜り込んだ。

「天馬、お前はバンバルジを捕まえに行け。奴は塔の最上階の発着場に向かってる」

 コルーパが言った。

「じゃあ、コルーパはどうするんだよ」

「こいつと決着をつけるさ」

 そういったとたん、地面が大きく割れ、中から出てきた針の様な黒い物体に、コルーパは突き飛ばされた。コルーパは猫のように着地した。

「いいから早く行け!」

 僕は大きく上下する地面の上を飛びながら、塔の中に入った。ふと後ろを振り返ると、白と黒の液体が入り乱れて、激しく、絶え間なく移動している。僕は、石の力を使って塔の上に向かった。ちょうど真ん中当たりまで来たとき、壁を突き破って黒い液体が入り込んできた。黒い液体はクルクルと回転しながら僕を狙ってくる。

 黒い液体が僕の足下に迫ってきたとき、真横から塔の壁を破って白い液体が入ってきて黒い液体とぶつかった。黒い液体は、コルーパに邪魔されてもなお僕を狙ってくる。白い液体をするりと避け、僕の真下まで来ている。そこに白い液体が交わり、クルクルと回転する白黒の液体となった。

「天馬、急げ!」

 白い液体から声がした。そういわれても、この速さが限界なんだ。

 あと少しと言うところで白い液体は塔の下に落ちていった。

「コルーパ!」

 僕は思わず止まってしまった。次の瞬間、下から来たジャックポントに突き飛ばされた。発着場に倒れた僕は、横目に、宇宙船に乗ろうとするバンバルジを見た。

「待て!」

 立ち上がろうとすると、ジャックポントが上にのしかかって来た。動けなくなった僕は、ジャックポントの顔を殴った。石の力を使って、渾身の力を振り絞った一発だったのに、ジャックポントはびくともしない。

 ジャックポントは僕の体に乗ったまま、右手を振り上げた。顔を右にそらし、なんとか重たい一撃をかわした。それと同時に、石の力を使って体を跳ね上げ、ジャックポントを吹き飛ばした。

 すぐさまに僕は立ち上がり、石の力で宇宙船を吹き飛ばした。

 バンバルジは驚いた顔でこっちを見る。

「もう終わりだ、バンバルジ」

「まだ終わってない!これが始まりなんだ!」

 視界の外から飛びかかってきたジャックポントと一緒に、僕は塔の下に落下した。

 頭から落ちていく中で、ジャックポントを蹴り上げた。

 僕とジャックポントが離れたとき、下から白い液体が上がってきた。液体は、変形してジャックポントと同じ姿になると、手を剣に変形させてジャックポントに切りかかった。ジャックポントはそれを素手で受け止めると、コルーパの片手を掴んだまま、体を引き寄せて膝蹴りをした。一度だけでは飽きたらず、何回も何回も繰り返していた。

「やめろ!」

 ぐったりとしたコルーパが僕の方を見る。その瞳の奥には光があった。

 どうしようもなくただコルーパを見つめていると、キーンという耳鳴りに近い音がして、突然、巨大な宇宙船が塔の内部に現れた。塔の壁を突き破って、そのまま塔の壁でバランスを取る形で壁を崩しながら落ちてくる。

 このままでは僕たちは宇宙船の下敷きだ。

「コルーパ、上!」

 コルーパとジャックポントが上を見上げる。宇宙船はすぐそこに迫ってきていた。これはもう、僕が行くしかない。僕は上昇して、宇宙船の船底を両手で押し上げた。

 塔の半分以上を崩して宇宙船は止まった。

 船の扉が開き、中からゲンシャがでてきた。

「天馬君、早く乗りなさい。バンバルジは我が国の警察が取り押さえる」

「だめだ! コルーパが戦ってるんだ」

 僕は食い下がった。

 僕は下方を見る。二色の液体が飛び交っている。

「天馬!」

 白い液体から声が聞こえてきた。

「君は早く地球に戻れ! 早く!」

「でも……!」

 ゲンシャが僕の腕を掴んだ。

「さあ、行きましょう!」

 待って! まだだめなんだ!

 警察とゲンシャに囲まれ、僕は船に連れて行かれた。

 

 船の窓から外を見る。多くの宇宙船が止まっていて、多くの宇宙人が、みんながみんなバンバルジを探している。

 宇宙船が浮かび上がった。どんどん地面と遠くなっていく。

 宇宙に飛び出すとき、街が明るくなった。


もうキャラの名前を忘れてしまいましたね。

次が最後となります。

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