破壊と裏切り⑦
僕たちは道路の真ん中に出現した。転送されるとき、体中がムズムズして変な感じだったけど、こういうものなのか、というのが小さい頃から描いていた転送装置の感想だった。それよりも――と僕は周りを見る。
「みんなどこへいったんだ……」
街はもぬけの殻だった。それどころか、破壊し尽くされた街とは思えぬほど静かだ。
「みんな、奴隷にされまいと逃げたのかもしれない」
コルーパが道路に落ちていた写真を見ながら言う。
「早く見つけなきゃ。スタンガンの支給準備もできてる」
「スタンガン?」
コルーパが不思議そうな顔で聞き返してきた。
「ドリグラン対策だよ。電気で機能が一時的に停止するなら、スタンガンがあった方が便利だろ? それさえ持っておけば、ドリグランに拘束される心配はない」
なるほど。コルーパは納得したように頷いた。
「この近辺での生命反応を探ってくれ。、もちろん、地球人の」
「わかった」
そういうと、コルーパは座って黙ってしまった。
さて、コルーパが生命反応を確認している間に考えなきゃいけない事がある。それは、どうやって世界中の人たちにスタンガンを配るか、だ。考えつかなければ、ドリグランをここに集中させる方法を考えなきゃいけない。世界中のドリグランをここにおびき寄せて、被害を最小限に抑える必要がある。
「確認できた。最も大きい集団は地下だ。あそこのビルの地下」
といって、斜め向こうのビルを顎で指した。
「地下? なんで、そんなところに」
「先の戦いを受けて、企業でも地下シェルターを作ったんだ。もちろん、サイザンフ星人も宇宙人だからばれないようにこっそりとね。だから安全だったわけだ」
へぇ。とりあえず、その人達にスタンガンを配らないと。
僕らはボロボロになったビルに入っていった。なかのソファーや窓ガラス、エレベーターはぐちゃぐちゃになっていた。
「で、どうやって地下に行くだ」
「そうだな。壊すのが手っ取り早いが、いざというときに壊れていると困るだろう。手分けして入り口らしいところを探そう」
わかったと頷くと、僕は受付を覗いてみた。そこは比較的きれいだったが何もなかった。いや、何かカードのようなものが落ちている。拾ってみると、それは社員IDだった。僕はIDをポケットにしまうと、受付の床にたまっている埃をはらった。
「おい、コルーパ」
僕はコルーパを呼ぶと、受付の床を叩いた。カンカン! という音がする。だが……。
「ちょっと聞いてくれ」
入り口付近の床を叩くと、コンコン! という音がした。他の場所も叩いて見たけど、受付の裏だけが、カンカン! という音がする。
「ここだな」コルーパが床を見下ろして言う。「だが、どうやってあけるんだ?」
「そうだな……」
僕は床をもう一度よく見た。受付のカウンターのすぐ横で、これといって開けれるようなところはない。僕はカウンターの裏を見る。そこには、カードをいれるようなスリットがあった。もしかしたら。と僕はポケットからIDを取り出すとスリットに差し込んだ。
ピピッという音と共に床が持ち上がった。
「正解だな」コルーパが満足そうに微笑む。「中の人たちに刺激を与えないようにするんだ」
床の下にはハシゴがあって、僕らはそこからゆっくり降りた。といっても、僕はコルーパを抱きかかえながら降りないといけなかったけれど。
ハシゴを下りた先に廊下があって、さらにその奥には扉があった。
扉にはドアホンがついていた。僕がボタンを押すと、ピンポーンという音が響いた。中からは何も聞こえない。もっとも、聞こえるようではシェルターとして役に立たないが。
しばらくして、ようやく声が聞こえた。
『どちらさまでしょうか』
若い男の声だった。
「僕は地球人の空野天馬と言います。お話があってこちらにきました」
しばらくの沈黙の後、
『どうぞ、お入りください』
という声が聞こえて、ドアが開いた。
ドアの向こうは鉄の部屋だった。とても大きく、食料、水も見えた。その鉄の部屋に五十人ほどが入っていた。
部屋に入ると、スーツ姿の男が、こちらですと案内してくれた。僕らはそこに座ると、さっそく男は話を切り出した。
「それで、お話とはなんでしょうか」
「ええ。僕たちは敵に対抗するための武器を持ってきました」
周りから、歓喜の声が上がった。
「その武器とはなんですか」
「敵の生物兵器に有効なスタンガンです。それを使えば一時的に機能が停止します」
「それは、生物兵器のみですか?」
「いや、もちろん普通のサイザンフ星人にも有効です」
部屋にいた全員が安堵のため息をもらした。
「それはどこに?」
「今から出します」
今から? と男が不思議そうに首をかしげる横で、僕は手のひらをしたにして石の力を使った。床が青く光ると、大量のスタンガンがわき出てきた。それを見ていた人たちは、あんぐりと口を開けていた。
「食料は足りてます?」
「ええ、まあ」
信じられないという顔で男は僕を見ている。
「水も?」
「大丈夫です」
「じゃあ、僕たちは行きますね。上の入り口の所にスタンガンで満たしておきますから、生存者にあったら渡してください」
僕らは、部屋から出て行った。ドアが閉まる前にコルーパが
「みなさんお元気で」
なんて言うもんだから、部屋の中からは悲鳴に似た声が響いた。
ハシゴを登り、床を元に戻すと、僕はさっそくスタンガンをフロアいっぱいに満たした。
「天馬、こい」
コルーパが小声で僕を呼んだ。外を見ると、サイザンフ星人が銃を構えて歩いていた。
「あいつからどこで会議をやるのか聞き出さないと。荒っぽい手でもいい、行ってきてくれ」
「わかった」
僕は、瞬時にサイザンフ星人の後ろに移動すると、首を叩いて気絶させた。道路の真ん中だと目立つから、ビルの中に引きずっていった。
サイザンフ星人の耳に指を当てると、石の力を使って記憶を引き抜いた。
その瞬間、いろんな映像が流れた。
今からそう時間が経っていない。バンバルジが、サイザンフ星人達に各惑星の代表者をサイザンフ星の宇宙会議塔に呼べと命令している。バンバルジが船に乗り込んだ。その後を黒い液体がついていった。あれが、ジャックポントというバンバルジの側近だろう。
そこで映像は途切れた。
「コルーパ、サイザンフ星の宇宙会議塔だ」
「今行けば間に合うな。船を奪うぞ」
僕らは体を低くして、ビルとビルの間を往復しながら、サイザンフ星人の船に近づいた。船の裏に隠れると、作戦を練った。
「天馬はできるだけ奴らの注意を引きつけてくれ。その間に俺は操縦室を占拠する」
僕は頷くと同時に、船の前に瞬間移動した。すると、サイザンフ星人が僕に銃を向けた。後ろをちらりと確認すると、コルーパが液体化して船の中に入っていった。
スパン! 鋭い音がした瞬間、僕はジャンプして、弾を避けた。空中で一回転し、サイザンフ星人の顔の上に着地し、石の力を使って他のサイザンフ星人の足下を爆破させた。
そのころ、船の中からボロボロになったサイザンフ星人が出てきた。
入れ替わりに僕は締まりかけているドアにジャンプして船内に入った。操縦室に向かうと、見知らぬ男が操縦していた。
「誰だ!」
「俺だよ」
コルーパの声で男は答えた。
「犬や液体の状態じゃ操縦できないだろ」
船はいよいよ加速して、大気圏をあっという間に突破して宇宙空間にでた。
「こっからは二時間弱だ。寝ていけ」
「そうするよ」
とてつもなく眠い。一日にいろんな事がありすぎて疲れもピークだ。
気がついたら僕は眠っていた。
もう、気力が無いのがおわかりですかね。。。
最近やること多いし、疲れてるし、
なかなかかけてないのが現状です。
がんばります。




