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三度目で出会えた番 〜神龍 日本人 今世は乙女ゲームの目立つモブ

作者: おかき
掲載日:2026/05/06


魔法学園の入学式⋯⋯。


だったはず……。


壇上で第二皇子殿下が堅苦しい挨拶をしている場面を目にした瞬間、前世と前前世の記憶が流れ込んで来た⋯⋯。


気持ち悪い。頭が痛い…そう思うと同時に、それから先の記憶は私には無かった。


ベットの上で目が覚め真っ白な部屋の天井を暫くぼーっと見ていた。


(薬品の匂いがする……。)


「学園の医務室のようね⋯」


痛む頭を抑えながら、上半身をゆっくりと起こした。


「気持ち悪さで気を失ったのかしら」


ふと……。気配を感じ窓の方に視線をやると、誰かが窓枠を背もたれにし、こちらをじっと見ている。


「貴方は誰?」


尋ねてみるが返事はない⋯⋯。


逆行で顔は良く見えないが、美しい蒼色の髪を右に軽く纏めて流している。


彼は無言で近づいて来ると、私の横に無言のまま立ち私を見下ろした。


男性は間近で見ると、とても整った顔をしている。


誰か解らないし正直怖い。


じっと見ていると、彼は私に手を伸ばし彼の方に引き寄せるときつく抱きしめてきた。


「私の番。ようやく会えました。」


私の頭に頰を寄せ、スリスリしている⋯⋯。


(えっと⋯⋯。どちら様?

そして、番って言ったかしら!?まさかね⋯⋯。)


まだ混乱中の私は、上手く状況を把握出来ないでいた。


彼の腕の中でぼーっとしていた意識が急に覚醒した。



全ての記憶がはっきりすると自分の身の危険を悟った私は、抱きつく男を引き剥がし拒否の言葉を伝えた。


「どなたか知りませんが、勝手に触らないでいただけますか?

もし私を運んでくれた方なら感謝致します。ありがとうございます」


私は、軽く頭を下げるとベッドから降りもう一度頭を下げた。


「教室に戻りますので、失礼します。」


急ぎ足で保健室から出たは良いが、自分が向かうクラスが解らない⋯⋯。


ウロウロしながら、クラス分けが貼られた場所を探す事にした。


(どこにも貼ってなわね。剥がされたのかしら?)


探せど探せど、クラス分けの表が見当たらない。


すると、何やら先で揉める声が聞こえた。


「貴女!下位貴族が、殿下に気軽にお声をかけて良いとでも!?」


「学園は身分は関係ありませーん。誰と話そうと自由ですー!」


王太子殿下を真ん中に左右に女性が侍り、言い争いをしている。


王太子殿下の婚約者であるアーネット・スヴァン公爵令嬢と、聖女候補のエミリー・アーカート男爵令嬢だ。脳裏にスッと名前が出てくる⋯。


殿下の後ろに侍るのは、腰巾着の令息達。


私は顔を下に向けたまま一礼をし、横を通り過ぎようとする。


が⋯⋯。


「あ!君は式の最中に倒れた子だね!?

大丈夫だったかい?」


(チっ。殿下にお声がけされたら、無視は出来ないじゃない!)


顔を上げ、少し微笑みながら


「式の最中に倒れるなど、不作法をお許し下さい。緊張で昨夜余り眠れなかったので⋯⋯」


と、フワリと笑みを浮かべ謝罪を口にする。


その笑みを直視した全員が固まった。


(何故なら⋯⋯私の容姿がとても美しいからです!

自画自賛で申し訳ないと思いますが、本当に美しいのです。

薄い藤色の髪色にブルートパーズのような瞳に髪はフンワリ腰まであり儚げ美人が私である)


男性陣はその美しさに魅入っていた。


私は内心苦笑いするも、クラスを知りたい私は素直に尋ねてみた。


「クラス分けが解らず、探していたのです。どちらにあるかご存じですか?」


コテンと、首を傾げて聞くと男性達は、自分が!自分が教える!の押し合いになってしまった。


引いてしまう状況に二歩程後退すると、背中に何かがトンッとあたった。


何にぶつかったのか見上げると、先程の美丈夫がいた。


「私のクラスと同じですので、一緒に行きましょうか」


有無を言わさず手を引かれ、連れて行かれる⋯⋯。


後ろでは何やら喚いている声がするが、速足で連れていかれるため振り返ることも出来ない。


暫く歩くと、人気の無い中庭に来ていた。


美丈夫にグイッと手を引かれ、また腕の中に閉じ込められた。


「思い出していますよね?ミーシャ様」


「⋯⋯⋯」


「私を忘れたとは言わせません。私がきちんと神龍の役目を終えたら、私と番ってくれると約束したのを忘れましたか?」


「⋯⋯」


「黙秘をしても、無駄ですよ」


美丈夫が私の胸の谷間に手を置き魔力を一気に流し込んでくると、焼けるように熱くなる。


熱さで苦しむ私を、美丈夫は満足気に眺める。


(番紋……)


力が抜けてしまい彼の胸の中でへたり込む。


彼は私を抱きかかえると歩き出す。


(思い出してるわよ!

前前世も、前世もね!!)



胸の番紋が馴染むそれは、体中を熱が這い回り体が熱くそして痛みが酷い。


逃れたくても体の痛みで動くことも出来ない。


私は逃げる気力もなくなり、美丈夫の胸に体を預け痛みと熱に耐えきれずに意識を手放した。


彼の胸に身を任せたのが気に入ったのか、一度立ち止まるとミシェルを食い入るように眺める。


美丈夫はミシェルをギュッと抱きしめ、再び歩き出した⋯⋯。


「やっと巡り合えたのです。逃がすわけないでしょ?ミーシャ様。」


そう呟くと転移して二人は消えていった。




〜私は転生者〜




前前世は神龍として、全ての龍の頂点にいた。


数千年を生き、代替わりの龍の卵が神龍ミーシャの前に運ばれた。


その瞬間に感じてしまった⋯⋯。


この卵の龍こそが、ミーシャの番⋯⋯。


この卵が孵化すると、私は神龍としての役目を終える。



神が入れ替わるから。



私は数千年生きた⋯⋯。



番を心の奥底で待ち侘びていたのは、千年くらいまでだったか⋯⋯。


龍達を、世界を纏める事に不満は無かった。


ただ番がいれば、寂しく無かっただろう⋯⋯。


やっと見つけた番とは添い遂げる事は不可能。


思考の沼に嵌っていると。


「新しい神龍様の誕生だ」


その声と同時に卵から勢い良く龍が飛び出した。


「我が番っ!!」


若い龍はミーシャを番と認識すると、身体をミシェルに巻きついてきた。


「神龍様。この方はミーシャ様で、前神龍様となります」


「前神龍様⋯⋯」


若い龍は理解している。


入れ替わるとは、前神龍は役目を終え死に向かうのだと⋯⋯。


「駄目だ!!番が居なくなるなど許さない!!」


神力を爆発させ、怒り狂う。


若き、蒼き龍⋯⋯。


「蒼龍よ。我が番⋯⋯。入れ替わりは否定出来ぬ摂理じゃ。我とて番をずっと待っていた。このような定めの出会いなどしとうなかった

蒼龍よ。いつか再び出会えたら、次こそは番となり添い遂げようぞ⋯⋯」


自身の神力が無くなるのが解った。


体が透け始め、蒼龍も体を巻きつけられずにいた。



「嫌だ⋯」

蒼龍はポロポロ涙を流し泣いていた。


私は蒼龍の額に口付けを落とし。


「神龍様。良き神になるのです」


その瞬間。一度目の私の命は消えた⋯⋯。




  ゆらゆら⋯⋯  ゆらゆら……




誰かに抱えられ、ゆらゆらと揺れている。


心地良い揺れの中、ゆっくりと目を開けると人間がいた。


私は生まれ変わったのだと、直ぐ様理解した。


人間の世界で生きるならば、神龍の記憶はあってはならない!


強く願うと記憶に蓋をされた感じを受けた。


安心して、また再び眠りに就いた。


藤崎 美々(みみ)として警察官の夫婦のもとに生を受けた、


両親の影響も強く正義感の強い女性に育つ中で、剣道も柔術も警察官になる為に必死に頑張っていた。


無事に両親と同じ警察官になり、夢をかなえた私は仕事を一生懸命に熟した。


仕事が終った帰り道に、目の前でお婆さんから鞄をひったくるのを目にした美々は犯人を捕まえた。

捕まえたまでは良かったのだが、犯人の抵抗で所持していたナイフで刺されてしまった。


人として生きた私の最後。


二度目の生が終った。





温かさに包まれて目覚めると、美丈夫の腕の中だった。


「ミーシャ様。目が覚めましたか?」


「ミーシャではないわ。今はミシェルよ。似た名前だけど」


ミシェルの言葉に美丈夫は頷き


「ミシェルですね」


ミシェルの名前を口にすると嬉しそうにニッコリ笑った。


「ところで美丈夫さん。貴方の名前を聞いてないのだけれど」


彼は今気が付いたみたいで、ハッとしていた。


「ミシェルに会えた嬉しさで、うっかりしていました。私の今世の名前はイーシャです。よろしく」


「番紋を付けたわよね。イーシャは大丈夫!?」


「私は貴女に付けた側なので、大丈夫なのですが⋯⋯。貴女にだけ負担が行くだけで申し訳ない⋯⋯」


「番と認識しても紋を付けるなんてイーシャは嫉妬深いのね。ちょっと危ないわ⋯⋯」


「危ないとは?」


ミシェルは心の声をポロリと口にしていた。


「えっと……体調気を付けないと、また倒れたら危ないなぁーって!」


「そうですね。高熱で丸一日寝込んでいたのですから、気を付けないといけませんね」


「一日も寝てたなんて、気を付けないと。

  ……って!一日も寝込んでたの!

クラスに行ってないし、寮にも行ってないわ!」


「とりあえず、帰りまっっ!」


背後からイーシャにギュウギュウに抱きしめられ動けない。


「帰しませんよ。ミシェルは私とこの部屋で暮らすのですから。

側近が全てやり終えてますから大丈夫です」


(⋯⋯。大丈夫とは!?何が大丈夫か解らない。グゥゥゥっ抜け出せない。)


腕から逃げ出そうと暴れるミシェルを全く気にせず、口を開くイーシャ。


「とりあえず、ゆっくり話し合いをしましょう。」



お父様、お母様。


学園生活は波乱万丈で始まりました。




(あぁ~。乙女ゲームの世界に転生か⋯⋯。)前世の私、美心が嘆いた⋯⋯。



ミシェルがベットから起き上がると、直ぐにイーシャがお姫様抱っこでソファーへと移動する。


(歩かせる気はないのかしら?甘々なのは、番への執着ね)


「ミシェルは何を考えているのですか?」


ご機嫌な笑みを浮かべてイーシャは膝の上に乗せたミシェルの頭をなでなでしている⋯⋯。


(甘々ですね)


「歩かせては貰えないなぁーって思っただけよ。

それより、お互いの事を話しましょう!?私、貴方の事を何も知らないわ」


「そうですね。でも、私はミシェルの事なら全て知ってますよ?」


「??」


「私は産まれた時から記憶がありましたし、ミシェルが同じ世界にいるのも解りましたからね。探して、調べましたよ」


ニッコリ笑ったその笑顔は、綺麗だ。


綺麗だけども、なんだろう⋯。怖い⋯⋯。


とりあえず、笑っておこうかな?


ニ、ニッコリ❀


(絶対に笑えてないわっ!)


「私は竜人国の第一王子です。この国には留学の名目で来ています。

父である皇帝陛下には、ミシェルが番である事を既に伝えていますし婚姻の許可も得ています。」


(根回しが早すぎるのでは?)


「趣味は、ミシェルですね。ミシェルの為に行動するのは楽しいのです」


爽やかな笑顔で頭をなでなでされながら言われると、何だか照れてしまう⋯⋯。


「あ!ここから通うってどういう事かしら?まさか、私もここで寝泊まりする⋯⋯とか?」


「勿論!」


即答ですか。


「ちゃんと寮に入らないと、両親に報告が行くわ。心配させたくないから、駄目よ!」


親に迷惑は掛けれない。そう伝えると。


「言ってませんでしたね。

ミシェルの両親には10年程前に全て話してありますし、ミシェルと私は二年前からは正式な婚約者同士ですから。何の問題もありません」


(はぁー⋯⋯⋯。諦めよう⋯⋯)


「私の知らないとこで、色々とやってくれたわね!事後報告は絶対に駄目よ!!

知らないうちに何もかも決められるなんて、少し不愉快なのよっ!」


プイっとそっぽを向くミシェルは少しだけ怒っている。


婚約だって、釣り書きが届いて相手を想像して顔合わせをする。

緊張しながらも、お互いを知るために知ってもらうために探り探り会話をする⋯⋯。


そのむず痒い行程を楽しむ事が出来ない!


婚約しちゃってるし⋯⋯。ブツブツ⋯⋯。


「ごめんね、ミシェル。婚約するまでの行程をそんなに楽しみにしていたとは知らなかったのです」


ションボリしたイーシャをミシェルは驚いた顔で見ていた。


もしかして心の声が漏れてた⋯⋯?


「仕方ないけど、今度からはちゃんと話し合ってからにしてね。約束だからね!」


そう伝えると機嫌が戻り、なでなでが再開される。

イーシャが私の腰に手を回し私の瞳を覗き込む。


「ミシェルはとても美しいでしょ?

きっとご両親の育て方が良かったのでしょうね。性格も控えめで聡明で⋯⋯。釣り書きが沢山届いてたのですよ。誰かに先を越されたら、その者を消す事になりますからね」


(消す⋯⋯。本当にやりそうだから、怖いわ)


「解りました。婚約の事は納得しましたが、私は子爵家の娘よ?身分差があり過ぎるわ。」


(私はゲームに名前すら出ないモブですよ?)


「それは大丈夫です。竜人は番至上主義ですから、平民だろうと結婚出来ますので安心して下さい。

それに、父は私が前世が神龍だった事とミシェルが前前世の神龍だった事も知っていますからね」



開いた口が塞がらないとはこの事かしら⋯⋯



「はぁ?!

そんな事まで話す必要はなかったでしょ?私が神龍だった事は、今世は全く関係者ないじゃない!」


私が叫ぶと、イーシャが真剣な眼差しで私を見た。


「関係はあるのです。私が神龍となったあの場にいた神官の龍が、私には番が存在するので必ず添い遂げさせるようにと、皇帝陛下に全てを伝えました。

私がきちんと神龍の務めを果たす代わりに、ミーシャ様と来世で番わせると約束をしたのですから」


イーシャが説明してくれるが、いまいちピンと来ない……。


眉間に皺を寄せる私をイーシャがクスリと笑い、詳しく話てくれた。


「ミーシャ様が消えた時に、私の神力が暴れ回り神界はめちゃくちゃになりました。

それも仕方ないのですよ?何よりも大切な番が消えたのですからね。

その時、神官から提案を受けました」


イーシャの話はこうだ。


番紋がミーシャの魂には刻まれているので、それをイーシャが常に感じれる様にする。

そうすれば、世界は違うが番との繋がりを持てる。


ミーシャの魂は時間のずれが大きく異なる異世界に転生させる。

次にミーシャが転生するのは、イーシャと同じ世界で番わせる為にこの世界に転生させる。


つまり、番う為の転生だと……。


(神官がする事とは思えない!私の魂を勝手に扱いやがって!)


話を聞いていたミシェルが、頬をプクっと膨らませた。


ミシェルは怒っていた。


イーシャはそんなミシェルの姿を見て感動していた。


「可愛すぎるっ!!」


イーシャがミシェルを抱きしめ、至る所に口付けをし始めた。



ミシェルは驚いて、イーシャをバシバシ叩いた。


「変態!離れろ!番でも手を出したら許さないからー!!」


イーシャの口付けを嫌がりジタバタ暴れても、それはそれで可愛いと思ってしまうのは番として長い時を一人で過ごした反動だった。


イーシャがギュッとミシェルを抱きしめ、髪に顔を埋めた。


「やっと貴女に触れる事が出来た……」


震える声でそう呟くとイーシャはそのまま黙ってしまった。


肩を小さく震わせるイーシャは、番を今世こそ腕に抱ける喜びで泣いていたのだ。


(そうよね……。長き時を一人で過ごしたのよね。私が一番解っていたのに)


ミシェルも番う事なく、一人寂しく過ごした神龍時代を思い出す。


「そうよね。蒼き若き龍に私は次に会えたら番うと約束したものね?」


ミシェルはそうイーシャに伝えるとミシェルの髪に顔を埋めたままのイーシャの頭を撫でた。


イーシャはミシェルの言葉を聞き顔をあげると、美しい泣き顔を見せる。


そっとミシェルを抱きしめ直し、ミシェルの胸の中で暫く泣いていた……。


「私はミシェルとの学園生活を楽しみにしているのです」


突然イーシャが話し始めた。


「ミシェルのいた異世界の話に似た世界がこちらにありました。ミシェルが読んでいた本なのでしょう?神官達がどの世界を選ぶか、悩んでいた時にミシェルを覗いていた神官からこの世界の話が出たのです」


イーシャの話に、また驚く。


わざわざ乙女ゲームに転生させたのは、前世の自分の趣味のせいだと知って恥ずかしいやら……。しかも覗かれていたと知り、心の中がモヤモヤする。


「でも、ヒロインや悪役令嬢?となると、ミシェルが目立ってしまいます。ミシェルを人目にさらす気はないのです。

ならば、一般人にしてしまえば良いと決まったのです」


「一般人って……。ヒロインも悪役令嬢も嫌だから、モブで構わないけれど……。」


ミシェルの呟きに「それ!モブです」


イーシャはモブの単語が出て来なくて、一般人と言ったのだ。

可愛らしい行動にミシェルはクスリと笑ってしまった。



「モブならば、目立たないでしょう?楽しく過ごしましょうね?!」



イーシャの言葉に、ため息を吐くミシェル。

イーシャはミシェルのため息の意味が解らず、キョトンとしている。



「あのねー。目立たないでしょう?じゃないわよ!私のこの容姿も、イーシャの容姿もめちゃくちゃ目立つでしょうが!ヒロインや悪役令嬢より上の容姿にしてどうするのよっ!」



ミシェルが人差し指をイーシャに向け、説教をする。



「ミシェルが神龍の時の姿が美しかったから、もう一度見たかった。それに、ミーシャ様と過ごせなかった時間も同時に過ごせる気がしたから……。」


イーシャの強い願望で決められた容姿らしい。


ミーシャとして過ごしたかったのは、ミシェルも一緒だった。


前前世で共に過ごせなかった、愛しき番。


次に出会う事が出来たら番と約束していた。


「色々考えてくれていたのね、ありがとう。でも、これからは私にも相談して欲しい。私の意見も聞いて欲しい。共に生きるって、そういう事でしょう?一人で決めないで。

次に勝手に何かしたら、私も同じように勝手にするからね?」


ミシェルに見限られるのは駄目だ!

と、焦るイーシャはブンブン首を縦に振る。


「ごめん。ミシェル……。」


しょんぼりするイーシャは可愛らしい。

ミシェルは美丈夫の落ち込む姿がおかしくて、クスクス笑い出した。


「これからよろしくね。イーシャ。」


ミシェルが笑顔でイーシャに手を差し出したが、イーシャはミシェル手を握るとそのまま抱きかかえ寝室へと走り込む。


驚く間もなく寝室へと連れ込まれたミシェルは、理解する間もなく側近が助けに来てくれるまでイーシャに甘やかされてしまった。



寝室から助け出されたミシェルに数日間無視されたイーシャ。

捨てられた子犬のようにしょんぼりしながらも、ミシェルの後をついて回る。


そんな姿に絆されて、何だかんだと赦してしまうミシェル。


ようやく出会えた番としての生をお互い大切にする事を誓い合った。




学園生活は楽しくもあり、波乱も沢山あった。


男爵令嬢のエミリーがイーシャに粉をかけ、イーシャが面白がって相手にしたためミシェルの怒りをかってしまう。

ミシェルは宣言通り好きにする事にし、イーシャを放置し好きに過ごし番解消寸前までの修羅場となったり。


王太子殿下達が「ミシェル様を女神と崇める会」を設立し、王太子殿下とイーシャが毎日喧嘩をしたり。

その会の会長が悪役令嬢のアーネットであったり。


と、乙女ゲームは始まる以前に崩壊していた。


ミシェルとアーネットは無二の親友となり毎日二人で過ごすため、イーシャがアーネットに嫉妬してミシェルの取り合いを始めたり。


ドタバタ学園生活は楽しい思い出となった。


ミシェルは卒業後は竜人国へと嫁ぎイーシャとの間に双子を授かる。


ミシェルが夜会に参加すれば、ミシェルの美しさに番のいない竜人が言い寄るのは毎度の事で、最終的にイーシャと決闘まで始まるのはよくある事。


男性にモテるミシェルを女性達が嫌うのか、とはならず。

イーシャが決闘でミシェルの側を離れた隙に、女性達がミシェルを囲いお茶会へと連れ去ってしまうのだ。


人族のミシェルは美女で妖艶な容姿ではあるが竜人よりとても小柄なため、可愛いものが大好きな竜人に大人気であった。


一度目は神龍として役目を果たしたが、番とは離れてしまう。


二度目は異界で記憶の無いまま過ごす。


三度目でようやく出会えた番との楽しい人生を、ミシェルもイーシャも大切に過ごしていく。


四度目……。また番として出会えるのか、別々の世界で生きるのかは解らない。


何度目になろうと、また巡り合う事を二人は信じている。


誤字報告ありがとうございます❀

訂正しました❀

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