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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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男と彼女と彼氏シリーズ

その後の男と彼氏とおまけの彼女

作者: 阿井 亜斗
掲載日:2026/02/12

「男と彼氏」の続き。

「あの後、亡命しちゃったよ~。」

 日本に生まれ育つ限りは、なかなか聞かない言葉を聞いた。


 日本にあるとあるカフェ。

 カウンターにいる無表情で個性のない30代ぐらい男性が店主をしており、人がまったくいない。

 店主は、こいつが教祖していた時の信者のようだ。


 そのため、男と会うときはここに来るようになっていた。


「いや~。どうにかテロリストの肩書を外そうと思って、試行錯誤を繰り返したら某国に亡命することができたよ~。」

「そうか。とりあえず、テロリストからの脱却おめでとう。」


 コーヒーを飲みながら俺は心から祝福を述べた。

 テロリストよりはいいだろう。


「いやー、いろんな国に行ったときツテでどうにかできたよー。」

「それはよかったな。」

「指名手配犯になった時に日本にいた経歴消したから、今戸籍ない状態のままなんだよね。逆にそれで助かったよ~。」


指名手配犯が冤罪となった時に、この男は経歴を戻していなかったようだ。


「お前、どうしたいんだ?」

「何が?」

「日本に戻る気はないのか?」


 その言葉に、カフェの店主のいつも無表情な顔が輝いた気がした。


「うーん、日本に戸籍戻して帰ってきても今じゃまだ少し怖いかも。」


 店主が心なしか残念な顔をした。

 長年この店に通っているおかげで、顔色が読めるようになっていた。


 この男は将来に対しての展望がないせいか、生存本能のままに生きている気がする。

 順応性とサバイバル能力は高いのだろうが。


「なかなか会えないとあいつも心配するぞ。この後、この店に来る予定だし。」

「やっと会えるー!」

「状況を伝えなかったことに、1時間説教コースかもだけどな。」

「あはっ、いいな!怒られたいかも。」

「会わないうちに何かに目覚めたのか?」


 男はにこっと笑い、


「まさか。彼女にだけだよ。」


 俺は嫌な顔をした。


「彼女だけじゃないか。君にも怒られたいなぁ。」


 誤って足の裏で害虫をつぶした時のような、渋い顔をしてしまった。


 こいつ、ストレスから何か目覚めたんじゃないか。


 男も人間だったかと思ったが、嫌なことも聞いたため、うっとりしている男の顔から目をそらしカウンターへ目線をやると、店主が羨ましそうであり尊敬しているような顔をしていた気がした。


 仕方なく、男に目線を戻した。


「亡命先にしばらくいるつもりか?」

「その予定だね。暇な時間が多くなりそうだし、いろいろ今のうちにしておこうと思ってる。」

「そうか。」


 ちりんちりん。


「ごめん!遅れた。」

「わー、久しぶり!」

「あー、やっと会えた!今まで何してたの?」


 彼女の登場でテンションが上がった男。

 さらに、問い詰められたことで舞い上がってしまっている。


「今、亡命してる!」

「はっ?」


 数分後、顔を輝かせながら彼女から説教される男を見ることになる。

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