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猫と魔導師

ハルカスの外見を「老女」から「幼い外見の魔導師ロリババァ」に変更しました。

ナギとの関係性や物語の流れは変わりません。


EP4にナギの人間姿の描写を少し追加しています。


横穴が今回できたものだという証拠に、至る所で木の根が剥き出しになり、湿り気を帯びていた。


セリナも根を避けながら進んでいる。


俺のことまで気にしていたら、かえって歩きづらいだろう。

予定を変更して、フードから飛び出す。


「気をつけてね」


俺の意思を察したのか、セリナはそれだけ告げ、光の魔法で周囲を照らした。


少し先では、メイリーが慎重に歩いている。


根をかき分けて進むと、さらに大きな空間があるようだ。


「その先……何かいます」


開けた空間に出る直前、セリナが呼びかける。


肉体強化を使い、俺はメイリーの前に出た。

「待て、ナギ」


その先にいたのは野犬


いや、スライムに寄生された犬の群れだった。


「群れだ。ナギはセリナの元へ戻れ」


メイリーが氷を放つ。


だが凍ったのは寄生していた一部のスライムだけで、野犬そのものは動きを止めない。


追いついたセリナが、メイリーの鎧にスクロールを貼り付けた。


「数分ですが、重さは感じないはずです」


何それ、便利すぎる。


「ナギ、ファイアーボールはまだ待って」


俺に指示を出しながら、セリナは紙に何かを書き記していく。


ハルカスのところで見た魔法陣と同じだろう。


俺には理解できなかったが、ハルカスはそれを魔術の設計図だと言っていた。


並の魔導師なら完成までに数時間はかかるスクロール。


それを即興で書き上げているセリナは、魔導師として明らかに規格外だ。


ハルカスの元にいたせいで、

それが当たり前だと思っていた。

……ごめんよ、セリナ。



書き上がったスクロールが発動する。

氷の壁がせり上がり、やがて

氷のドームが、俺たちと野犬を包み込んだ。


「まずは、この中のを全滅させる。

 ナギは、メイリーが切ったスライムにトドメを。爪でやれるよね」


畑での対応もそうだったが、判断がとにかく早い。


英雄候補に選ばれたのが、身内贔屓ではなかったことがよく分かる。


メイリーは危なげなく、野犬の足を切り飛ばしていく。


胴体だけになっても、スライムがそれを動かしているが、足がない分、動きは明らかに鈍い。


俺は切断された足に取りついたスライムにトドメを刺す。


畑でスライムを潰しているうちに分かったことがある。


こいつらは透明で見えにくいが、確かに内臓がある。


そこにだけ爪を立てれば、あっさりと絶命していく。


一方、メイリーは胴体へ剣を突き立てているが、どうにも決め手に欠けている。


内臓を正確に捉えきれないのだろう。


そのため、凍らせて動きを止める戦法に切り替えているようだ。


順調に数は減っている。



だが、ドームの外にはさらに野犬が集まり始めていた。



氷魔法の影響で、空気が目に見えて冷えてくる。


正直、このままだと俺が一番先に限界を迎えそうだ。


「ナギ、戻って」


セリナがフードをはためかせる。


助かった。


その首元に戻り、ようやく暖を取ることができた。


一息つこうとした、その瞬間。


「ナギ、ドームの外へファイアーボール」


なんと人使いの、いや、猫使いの荒い指揮官様だ。


セリナはドームの一部を開ける。


その隙間から、雪崩れ込もうとするスライム野犬たち。


俺は即座に身を乗り出し、ファイアーボールを叩き込んだ。


【おお、一網打尽】

と思ったが、撃ち漏らしがいる。

驚いたのか警戒してるのか動きが止まる。



「ファイアーボール」


セリナがそう呼んだ瞬間、指輪から、針状に収束した火が連続して放たれる。


狙いは正確で、無数の針がスライムの内臓を射抜いていた。


俺のファイアーボールより規模は小さい。


だが、その分数が多く、なにより魔力消費が少ない。


効率の塊だ。


うちの指揮官、まじ優秀。





「よくできました。ナギのおかげで動きが止まったから狙いやすかったよ」


そう言って、セリナが俺の喉元を撫でてくる。

……ご褒美まで用意されているとは思わなかった。


よきにはからえ。



「ナギ!すごいな!正直見くびっていた。すまない」

メイリーも片付いたのか寄ってくる。


謝罪しながらも俺に触れそうとするので、フードの奥に隠れた。


「ああっ」


メイリーが悲しそうな声をを出している。


【キンキンに冷えた甲冑はやだ】


多分伝わらない。

セリナはクスクス笑っている。


「...ちょっと期待しただけだ...」


戻ったら、なでても良いから、そんなに落ち込むな。




ようやく一仕事終えた。そんな気分になった、その時だ。


氷壁が、砕け散る。

巨大な影が、氷を割りながら近づいてくる。



トロール。



いや。


スライムに寄生された、巨大なトロールが、そこにいた。

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