復興の目処と次の目的地
流石にやりすぎたので反省はしている。
館のメイドに「荒ぶるナギ様」と呼ばれてしまった。
穏やかだからナギと付けられたはずなのに。
「あらあら、やりすぎちゃいましたね。メッですよ」
ローズさんは、今日も天使。
セリナには仰向けにされ、延々撫でられた。
「迷惑かけちゃダメよ」
【良い勝負だった】
「あのバトラーさん元英雄候補だったみたいよ」
なるほど、強敵なわけだ。
メイリーはゲンナリしてるな、またバルガスと揉めたかな。
そうこうしてると、中庭がなんだか騒がしい。
どうやら、畑の復興の目処が立ったようだ。
まだ日暮前なのに、随分と盛り上がっている。
酒盛りが始まったようだ。
中心で上半身裸の男が踊ってるな。
ジョーだった。
アイツも随分ここに馴染んだな。
聖職者としてはすごいが、半裸なのはどうなんだ。
まぁいいか。
バルガスの姿は見えない。
やつも思うところはあるんだろう。反省してれば良いけど。
「明日には、水源の上流目指して動くよ」
セリナが俺を撫でながら言う。
トロールやオークの生きてる時の足跡がさらに見つかったようだ。
英雄候補として挨拶周りも兼ねて、山脈の深い場所。
獣人の国へ向かうようだ。
「私はメイリーとお風呂行くけど、ナギも綺麗にする?」
人間の俺なら即答でいくが、猫の俺は濡れるのがだーーーい嫌いだ。
謹んで、お断りする。
見たくないわけではないが、猫の時は優先事項が下がるんだよな。
太ももに執着するのは寝床としてだし。
セリナが風呂へ行くと、入れ替わるようにローズさんが入ってくる。
また、いたずら笑顔で俺を探している。
風呂場に入れてメイリーと鉢合わせるつもりだろう。
そうはいかない。
メイドのスカートに隠れて移動する。
こないだの一件で慣れたのか、メイドさんも協力的だ。
上は見ない。俺は紳士だからな。
せっかくだから、中庭を見てこよう。
酔っ払いたちを避けながら、ジョーの様子を見にきた。
すでに酔ってると思ったのだが、その目は何かを探っているようだった。
だが、すぐに酔っ払いのジョーに戻る。
アイツ酔ってないのか?
気がつかれる前に、移動する。
あたりは、すっかり暗くなっていた。
中庭の喧騒とは逆に、夜の街は静かだ。
セリナたちのお風呂は長そうだ。
人間に変身して、魔法の制御でも練習しておくか。
変身?猫が長くて、人間に戻るって意識じゃないな。
あれ、ひょっとして猫が本体か?
そう思うと体が少し冷えた。




