表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

それぞれの朝

朝起きると、セリナの姿は見えなかった。


布団はまだ温かい。

そんなに時間は経っていないはずだ。

……トイレかな?


二度寝していると、部屋が騒がしくなる




「おはようナギ」


髪をとかしながら、セリナが声をかけてきた。

「にゃにゃん」【もう大丈夫なのか?】


「昨日は、そのまま寝ちゃってたからね。館の人がお風呂を用意してくれたんだ」


ベッドに腰をかけ、三つ編みを編むセリナの太ももに乗る。


「心配かけたね」


覗き込んでくる顔は、どこかハルカスに似ている。何か言おうとした、その時――


ぐぅ。


セリナの腹が鳴った。


「あ……ご飯も食べてなかったね」





支度を終え部屋から出るとメイドさんが案内してくれる。


広間の扉を開ける時、何か中と話し合ってる。


なんだ、中に誰かいるのか?



扉が開くと、ワラで編んだタワーがあった。


人間の俺でも頑張れば入れるくらいの大きさだ。



どうやら、畑で俺がスライム退治しているのを見て、農民がお礼に作ったものらしい。


1階は広々スペースと爪とぎができるリビング。

中から上がれる2階はトンネルが多く、遊べる。

さらに3段目は外周を歩けるキャットスペース。



大人たちの本気を見た。



キャットタワーを存分に堪能していると、またローズさんに抱っこされる。


すごいニコニコ笑ってるけど、俺知ってる。


子供がイタズラする前の顔だ。

広間から出ると、さっきまで寝ていた部屋ではない場所で下ろされ。


バイバイっと小声で手を振りながらローズさんが扉を閉めた。

カーテンがまだ開いていない薄暗い部屋のベッド銀髪のかみが垂れてる。


そう、メイリーがねている。


つまり、ローズさん公認の寝起きドッキリが開催される


さて、ベッドに登る。


普段のきりっとした騎士姿はどこにもなく、

完全に力の抜けた寝顔だった。


昨日の戦いの疲れを癒しているのだろう。


ただ、静かな寝息だけが聞こえる。


さて、布団から足が少しだけはみ出している。

……これは、完全に無防備だ。


その隙間から、失礼します。



腹の上が1番安定しそうなので、そこで丸くなるとする。


乗るとメイリーの声が漏れたが、かまわず登る。


ふむ。鍛えられたら腹筋も寝ているときには柔らかい。



丘が2つ見えるので、前足でふみふみ。



ふみ。


ふみ。


ふみ。



……あ。



メイリーの声が、もう一度漏れた。


これはダメなやつだ。



ごめんなさい。 おとなしく寝ることにした。



少し寝ているとセリナの呼ぶ声が、廊下の向こうから聞こえた。


俺はベッドを降り、扉の前で軽くカリカリと爪を立てる。


すぐに気づいたのか、扉が静かに開いた。


「そこにいると思った」


セリナは苦笑しながら俺を抱き上げる。


どうやら、ローズさんの目論見はここまでらしい。


廊下を離れる前に、ちらりと振り返る。


メイリーはまだ眠っていた。深く、何も知らない顔で。


……まあ、起こさない方がいいだろう。



結果として被害者は出なかった。



俺はセリナの腕の中で丸くなり、食事に向かう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ