館のフワフワ
食って飲んで騒いでる。
水害被害で途方にくれていた農民たちは、さぞ嬉しいのだろう。
力を借りたとはいえ、自分たちの力もあり復興の目処が立ったのだ。
そんな面々を残して、メイリーはセリナを辺境伯の館へ連れて行く。
ここ数日は宿屋だったが、館ならメイド長が手当を手伝えるからだという。
「メイ!心配したのよ」
館に入るなりローズ夫人が、近寄りメイリーをいたわる。
「すまない姉上、少し厄介になる」
「何言ってるの。遠慮なんかしないで」
辺境伯はギルドとの相談などで出かけているようだ。
俺が、散歩をと歩こうとすると、バトラーに目で追われる。
バトラーにしては目つきが鋭い。
セリナにも部屋があてがわれ、俺のケージも置かれている。
セリナを寝かし、布団をかけてメイド長は出ていく
「少し休めば大丈夫です」
だそうだ。
セリナの脇で俺は丸くなり、今日のことを考える。
バルガスの勝手に始まり。パーティ分断。
セリナの才能が見れたのは良かったが、その後の危機。
今回解決と思っていたが、何かが狂った理由はあるはず。
それに対処しきれなかった、まだまだ俺たちは弱い。
ジョーの強さは未知数だけど。
俺の人での活動も1時間持たなかった。時間というより、体力魔力で短くなるのかもしれない。
今回、雷の出力ミスったしな。すごい疲れた。いくら強くても当てになる戦力じゃないな。
そういえば、バルガスの報告に、通りすがりの英雄候補の存在は入れなかったな。
メイリーにも思惑はあるのだろう。
【通りすがりの英雄候補なんて言葉が出なくて安心はした】
誰にいうでもなく俺は呟く。
偽名、考えとくか。
ナギ、ネギ、モギ?
ダメだ、頭が回らない。
夕食まで寝る。
茹でた鶏肉を所望します。
◇◇◇
夕食に呼ばれたが、セリナはまだ休んでると言い。布団の中に潜っていた。
お腹は空いたが、どうしたものかと悩んでいると。
ローズ夫人に抱っこされる。
「にゃにゃん」【毛がつくよ】
拒否じゃないが、せっかくのいい服が、毛だらけになるのは忍びない。
だが、ローズ夫人は気にした様子もない。
「静かに寝かせておきましょう。君はお腹が空いたよね」
なんか胸の暖かさと、上質な布の感触。
そして包容力。
ハルカスやセリナの安心感とは違う。
なんというかフワフワだ。
俺は大人しくローズさんに抱っこされて広間に行く。
「あああ 姉上」
メイリーがローズさんに抱っこされる俺を見て、声を上げる。
「どうしたの?メイちゃん」
「いや、なんでもない」
いとも簡単に俺を手なづけている姉に羨望と嫉妬をぶつけているな。
どうも、姉の前では子供っぽいなメイリー。
辺境伯も帰ってきたのか席に座っている。
俺は、ちょっと離れたところに、鳥の茹でたのが置いてあるのを見つけて、ローズさんの胸から飛び降りる。
「ふふ、慌てなくても大丈夫よ」
茹でた鶏肉は小さく切られて、ほろほろだ。
うまし。
テーブルでは、メイリーと辺境伯が難しい話をしている。
「おかわりいる?」
ローズさんは俺の皿を見るなり、優しく問いかける。
ローズさんまじ天使。
俺ここの子になる。
食って、寝た。




