6結婚
それからすぐに城中に結婚すると触れ回り仕立て屋を呼んだ。ウエディングドレスを仕立てるためだ。採寸をしてデザインを決めてドレスの色を決める。好きな色にしていいと言われたので白を選んだ。オリヴェル様は黒でも赤でもないのかとガッカリしていたから、あなたの色に染まりますって意味なんですよと教えてあげたら元気になった。
結婚式の準備をしている間にも勇者パーティーはやってくるのでオリヴェル様は全員別々の場所に転移させて対応していた。特に聖女を遠くの街に飛ばしているらしい。今回は女の足なら魔界まで一月はかかる場所だそう。いっそ全員まとめて湖の真ん中にでも飛ばしてやればいいのにと思ったが口には出さなかった。だって私はオリヴェル様の可愛い花嫁だから。
オリヴェル様は忙しいだろうに毎日私に会いに来てくれる。恋人同士ってこんな感じなのかなと私はふわふわ考えている。結婚の約束をしたっていうのにね。そんな感じで三ヶ月過ごして今日はとうとう結婚式の日なのである。
オリヴェル様がなにをお召しになるのか知らなかったけど黒いテールコートに白いシャツ。タイとベストも白だった。普段は下ろしている髪を一つに結んでいる。格好いい。普段のシャツとズボンでも格好いいけど正装の破壊力は半端じゃない。ベルタさんに綺麗にしてもらったけど彼と並ぶと月とスッポンだ。もちろん私がスッポンである。正直並びたくないけど結婚式は始まっている。結婚誓約書にサインして指輪を交換するのが魔界流らしい。私がやりたかったのでブーケトスもやらしてもらった。恐ろしい争奪戦が発生したのは想定外だった。そうして私はオリヴェル様にお姫様抱っこをされて会場を後にした。で、そのまま初夜である。これも魔界流らしい。魔界の結婚式は夜にやるものだとは聞いていたけど、そういうことなのね。
初めて入ったオリヴェル様の寝室のベッドの上に下ろされて、緊張しながらも私は口を開いた。
「オリヴェル様」
「なんだ、ルアーナ」
「いっぱい抱いてくださいね」
それからの時間は濃密で、死んでしまうかと思うくらい心臓が脈打って、とにかく熱かった。二人の体温が混ざり合って溶けてしまいそうなくらいに。
結婚後の私たちは暇さえあれば互いを求め合った。そんな日々にも終わりが訪れた。勇者がまたも魔界に攻め込んで来たのだ。
魔王様の手を取って転移に同行させてもらう。
「勇者よ、いい加減にしてくれないか? 私は新婚なんだ。お前たちの相手をしているほど暇ではない」
「お前が死ねばなんの問題もなくなる!」
「お前たちが諦めればすむ話だ」
その後はオリヴェル様の圧勝だった。勇者パーティーをウルリナ王国の王城に飛ばして私たちも転移した。
「ウルリナ王国の皆様はじめまして。私が魔王だ」
玉座に座る国王にそう挨拶すれば近衛兵が斬りかかってきたが一瞬で全員地に伏せた。オリヴェル様が瞬殺したらしい。私の夫が今日も強い。
ウルリナ国王の命もさくっと刈り取り私たちは魔界に戻った。
その後のウルリナ王国は傍系から新たな王を立てたらしい。オリヴェル様は今回の賠償金として領土を取り戻してほくほくである。
ちなみに勇者パーティーがどうなったかというと、国から渡された路銀の尽きた彼らは野盗まがいの行為をしていたそうで全員鉱山送りだそうだ。いや本当に魔界に逃げ出してよかった。




