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【第一部完結】同居人は異世界の女神さま!? 男に逃げられ、金も尽き、運まで消えたら、女神に振り回された件について  作者: yururitohikari


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ありがとう


 代車に乗り込み、薫風荘を後にした二人は、弘前を目指して走っていた。

 車内には、Official髭男dismの軽快なメロディが流れている。


 「座敷童だよ、あの子」

 道すがら、さらっとレイネは言った。

 「ええ? 妖怪をこの目で見る日が来るとは……冷蔵庫から人が出てきた時点で、人生のビックリピーク頂点だと思ってたのに」


  ──座敷童って、幸運をもたらすって言われてる子じゃん……

    私、めっちゃ悪態ついてたけど!?


 「あと、お風呂にいた八尺様も妖怪だよ。ぽぽぽ」

 「えぇ!?」

 杏は驚きすぎて、思わずレイネを見る。

 「わ、前見て!ぽぽぽ」

 「ご、ごめん!」


 「気づかなかったの? レイネより1メートルくらい大きかったよ。白くて、髪がだらーんって。ぽぽぽ」

 にこやかに言うレイネ。

 「まじか......」杏は背筋に氷水を流されたような感覚に襲われた。

 「……眼鏡外してたし、湯気もあって……っていうか、その“ぽぽぽ”ってやめて」

 必死で冷静を装う杏。

 「で、その八尺様ぽぽぽは、どんな妖怪なの?」

 少しだけ希望を込めて聞いてみる。

 「もしかして、恋愛の味方とか? 座敷童的な?」


 「ううん、好みの男を誘惑して、まるっと食べちゃうぽぽ」

 「えーっ!」


 ──喰ってしまえばいいのよ。


 「そっちの意味だったんかーッ!!」

 あのセリフの真意を理解した瞬間、杏の全身に冷や汗が走った。


 * * * 


<弘前城公園の成り立ち(作者によるまとめ)>


 弘前城公園は、津軽藩の居城であった弘前城を中心とした公園である。

 明治時代に一般公開され、今では年間200万人もの観光客が訪れる日本屈指の桜の名所として知られている。


■桜の歴史

 弘前城の桜の歴史は古く、1715年に津軽藩士が京都の吉野山から桜を取り寄せたことに始まると言われている。

 その後、1882年には「青森りんごの開祖」として知られる菊池楯衛がソメイヨシノ約1,000本を寄贈・植樹。これが現在の桜の礎を築いたとされている。

 現在、園内にはソメイヨシノを中心に、シダレザクラや八重桜など約52品種、約2,600本の桜が咲き誇る。


■弘前城公園の桜の特徴

 弘前城公園の桜が特別な所以は、植木本数が多いからだけではない。

 長きにわたり受け継がれてきた独自の管理方法によって、他の桜とは一味違う魅力が生み出されている。


■「弘前方式」による管理

 りんご栽培で培われた剪定技術を桜に応用した「弘前方式」で管理されている。

 これにより、桜本来の生命力を最大限に引き出すことができ、通常60年とされるソメイヨシノの寿命を大幅に伸ばしている。

 園内には樹齢100年を超えるソメイヨシノが300本以上も現存している。


■「七輪咲き」と花つきの良さ

 一般的に1つの花芽から3~4輪の花が咲くのに対し、弘前の桜は4~5輪、多い時には7輪咲くこともある。

 このため、空が見えないほどボリューム満点の桜並木を楽しむことができる。

 特に、1つの花芽から7輪の花が咲く珍しい「弘前七輪咲き桜」は、「《《見つけると夜の夢が叶う》》」という言い伝えがある。


■「花筏」と絶景

 桜が散る時期には、外濠に花びらが集まって、まるでピンクの絨毯のような「花筏」が形成される。

 散り際の桜の赤い色素が特に鮮やかに見えるこの光景は、「世界の絶景」にも選ばれるほど。散り際まで美しく、訪れる人々を魅了する。


■「桜守」の存在

 弘前城公園の桜が、これほどまでに立派に育っている背景には、「桜守さくらもり」と呼ばれる専門家たちの存在がある。

 彼らは独特の剪定技術を代々受け継ぎ、桜の植樹や育成を計画的に行っている。

 一本の桜を剪定するのに、まるで木と対話するような集中力が必要だと言われ、その地道な努力が弘前の美しい桜を守り続けている。

 桜守が「桜は弘前の魂」と語るように、弘前の桜は単なる観光資源ではなく、津軽の歴史と誇りの象徴でもある。


* * *


 杏とレイネは、連綿と想いを受け継がれてきた末の弘前城公園にいた。

 空はどこまでも深く青く、桜がその青を淡く染める。


 風が吹くたび、花びらが雪のように舞い、ふたりの髪や肩をそっと撫でては、堀の水面へと吸い込まれていく。

 やがて、その花びらは水面を埋め尽くし、壮麗な絨毯となって広がっていく。

 花筏にかかる朱の橋に佇み、しばらくその光景を見つめていた。


 「来てよかった。ありがとう、あーちゃん」

 我を忘れて見つめるレイネの声は、静かに祈りのように響いた。


 ありがとう


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