表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】同居人は異世界の女神さま!? 男に逃げられ、金も尽き、運まで消えたら、女神に振り回された件について  作者: yururitohikari


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/96

【もう大丈夫×大丈夫】妖精さんの屍を越えてゆけ

 「成長したな」


 結城課長のそのひと言を思い返しながら、杏は歩いていた。

 向かうのは、佐々木さんがいる取引先の事務所。

 転職の誘いをしてきた会社だ。


 言葉にするだけで、少しだけ何かが変わった気がする。

 たぶん、レイネに背中を押されたことも大きい。

 でも、最後に口を動かしたのは自分だ。


 レイネ、あーちゃん言えたぞ。


 今日は、佐々木との会議が終わったら、ちゃんと話そう。

 ずっと引き伸ばしていた『転職』の話。

 聞くべきことを聞いて、それから決めればいい。

 会議室に向かうエレベーターの中で杏はもう一度確かめる。


 ──ちゃんと話そう



* * *



 取引先の会議室。

 苦手だった甲田さんの姿は無い。

 佐々木さんのほか、従前からやり取りのあるメンバー数名が参加している。


 今年度の業務方針の説明が終わり、会議が一段落する。

 空気がゆるみ、佐々木が椅子から立ち上がった──そのとき。


 「佐々木さん!」

 杏は、勇気を出して声をかけた。


 「先日いただいたお話なんですが──」

 「ああ、あの件ね」

 佐々木は杏の言葉を途中で遮った。


 「あれ、もう大丈夫だよ。連絡なかったから、興味なかったんだろうと思って。うん、今年度もよろしくね」

 佐々木はニコっと微笑む。


 え?もう大丈夫?

 

 「ごめん、次の会議始まっちゃってるんだ」

 そう言って、足早に部屋を出ていった。


 「あ、はい……」

 杏は、その背中をただ見送るしかなかった。


 会議室に、杏一人だけが残る。

 ぽっかりと空いた時間と沈黙。


 ──間に合わなかった。


 タイミングを逃した。

 あと少し早ければ。

 あと一歩踏み出せていれば。


 頭ではわかっていたのに、どうしても怖くて、迷って、先延ばしにして……。

 ようやく「聞いてみよう」と思った時には、もう選択肢そのものが消えていた。


 決められない間に、物事は流れていくんだな……。

 さっきまで胸にあった小さな自信が、まるでシャボン玉みたいに、静かに弾けて消えた。


 杏は、自分の手を見つめる。


 レイネみたいに強くなれたと思ったのに。

 やっぱり自分は、こんな程度よね……。


 自分の判断の遅さに、嫌気が指す。

 どうしてこうも上手く行かないのだろう…

 ため息が出そうになる瞬間、杏はその癖を止めた。


 一度吐いて、大きく吸う、だっけ?


 杏は、深呼吸をする。


 吐いて


 吸う……


 幾度か繰り返す。


 ──大丈夫。また次、がんばろう。


 悔しさもあった。

 後悔も残る。

 でも、今日は立ち止まったままではない自分が、確かにいたはずだ。


 幸せの妖精さん、ため息ついてないぞ。

 杏はそう思いながら、レイネになんて話そうかなと呟いた。


■ボツネタ

杏「いまどき、セル結合だよ?ありえないでしょ!(わかんないと思うけど)」

レイネ「ヴォエエエエ!!」

杏「ほんと、吐きたくなるよね!(通じた!!)」

レイネ(ドラゴンボールのセルのマネなんだけど……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ