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【第一部完結】同居人は異世界の女神さま!? 男に逃げられ、金も尽き、運まで消えたら、女神に振り回された件について  作者: yururitohikari


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乗るしかないッ!!女神の加護とビッグウェーブ!!


 定食屋をあとにし、杏とレイネは並んで歩く。

 向かった先は、商店街の福引会場。


 レイネが買い物で貯めた福引券を手に、杏は思わずつぶやいた。

 「最近さ……なんか、ツイてる気がするんだよね」


 レイネと出会ってから、流れが変わった気がする。

 金塊は売れなかったり、炎上プロジェクトがあった。


 だが!


 転職の誘い、ナンバーズ的中、アクセサリーの大ヒット。


 ──これはもう、引き寄せ体質ってやつじゃない?


 違いない!


 杏は福引のガラガラを手に取り、深呼吸をひとつ。

 景品一覧をにらむ。

 そこには商店街の福引とは思えぬ豪華ラインナップが掲げられている。


  1等:10万円分の旅行券

  2等:横浜中華街1泊2日ペア宿泊券

  3等:商店街商品券5万円分


 「当たれ……!」

 目指すは、1等旅行券。


 これがあれば、レイネを旅行に連れていける。

 気合いを込めて、一回目。カラカラ、コロン──末等のオレンジ玉。


 ま、そんなもんだよね。


 二回目、コロン。


 ──末等のオレンジ玉


 そそ、そんなもんです。

 まあ、結局そんな都合よく当たらないよね。

 それこそ3回目で、参加賞以上当たればいいよね──


 そして三回目──。


 白い玉がころん、と落ちる。


 「おめでとうございまーす! 2等、出ましたー!」

 福引のおばさんの明るい声とカランカランと鐘の音が響く。


 杏の動きが一瞬止まる。

 目が、白い玉と景品ボードを交互に見つめた。


 「……えっ、マジ?」


 え?しろい。

 白い玉だよ。


 一拍置いて、杏の歓声が弾けた。

 「やったーー!! レイネ、2等当たった!! 横浜中華街よ!泊まりよ!」

 「ゎーい!」

 レイネと杏はハイタッチ。


 ぱちん!


 杏は2等の旅行券を握りしめ、ひとつの確信を得る。


 ついている。

 やはり、私は何かついている。


 乗らなければ、このビッグウェーブに!


 そして、決意を口にする。

 「レイネ、私、懸賞生活始めるわ!」

 「うん、頑張ってね! 新しいことを始めるのはいいことだよ!」

 レイネは全力で笑顔。

 杏も満面の笑みで頷いた。


 空は青く、未来もなんだか明るく見える。

 当たった旅行券の紙が、風にふわっと揺れた。


 ──これは運命が味方してる。

 そのときの杏は、心の底からそう信じていた。


* * *


 数日後。平日の昼下がり。


 ──え……


 ひとりリビングでスマホを見つめていたレイネが、肩を落とす。

 「懸賞生活ってこういうこと?」」

 ポチポチと検索結果を見つめ、固まる。

 「あーちゃん、努力の方向性がズレてるよ……」


 杏が意気揚々と「懸賞生活始める」と言ったとき、意味も知らずに「うん、頑張ってね!」などと背中を押してしまった。


 ああ、しまった。


 レイネの心の中で、ため息が一つ、静かに漏れたのだった。


 何を目指してるの、あーちゃん……


 天を仰ぐが、やはりいつもの天井しかなかった。



 * * *


 ──レイネ、私、懸賞生活始めるわ!


 あのときの杏の宣言が、今もレイネの脳内でリピート再生されている。

 レイネはレジン細工の手を止めて、ため息をついた。


 「懸賞生活って、まさかそんな意味だとは……」

 手をぎゅっと握る。

 思わず心の声が漏れた。


 「なにが、『がんばってね!』よ……レイネのバカ……」


 言った自分も悪い。

 でも、あの時は杏がやる気満々で、つい乗ってしまった。


 だが意味を知って思う──努力の方向性がズレてる!


 「ああ、もう。いっそのこと『デバフ』かけた方がいいのかな……」

 本来なら、回避・回復・幸運・浄化といった加護(バフ)が意識せずに周りに作用するレイネ。

 だが、それに影響されることで、かえって杏の判断がおかしな方向になっている。


 「回復できるから無茶する。ツイてるから雑になる。バフって……万能じゃないのよね」


 自分の世界で何度も見てきた。

 回避バフで突っ込んで、全滅する勇者。

 回復バフで防御せずに、全滅する勇者。

 幸運バフで無策に突撃、全滅する勇者。


 ──万能加護は、油断と紙一重。


 ってか、これじゃ何人いても足りないよ、勇者。


 「結局、問題は本人次第……」

 バフもデバフも、扱う者次第。


 レイネはそっと深呼吸して、隣で棚を片付けているブラウニーに目をやった。


 「ねえ、どう思う?」

 ブラウニーはチラッとこちらを見るが、すぐに作業に戻る。


 「……うん。そうよね。あなた、意思なかったわ」

 レイネは小さく笑って、ぽつりと呟く。

 「いつも、ありがとね」


 ちらりとレイネの方を見るブラウニー。

 また、いそいそと働き始める。


 しばらくその背中を見ていたレイネは、深呼吸をして作業に戻った。



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