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【第一部完結】同居人は異世界の女神さま!? 男に逃げられ、金も尽き、運まで消えたら、女神に振り回された件について  作者: yururitohikari


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一進一退

 異世界人。初めての外出。


 杏とレイネが玄関から出て最初の難関は、エレベーターだった。

 7階建て6階にある部屋からエントランスに行く過程、普段通り杏はエレベーターの下ボタンを押す。


 「なに?光った」

 点灯した(下ボタン)にレイネは興味をかれたようだ。

 「あ、エレベーター呼んでるの」

 エレベーター知らないよな、と杏は思う。


 「呼ぶ?召喚的な?」

 異世界人は首をひねり

 ──召喚て、なに?

 杏も首をひねる。


 エレベーターのドアが開く。

 「うわ、扉が開いた。すごッ」


 「ささ、乗って」

 杏は、中に入ると、開くボタンを押しレイネを待つ。

 「えー?箱だよ?行き止まりだよ?」

 「大丈夫よ、これで1階まで行くから」

 レイネが乗ると、閉じるボタンを押す。


 「すごー、扉がしまった。──うわ、なんか揺れる。落ちてない?」

 「落ちてないよ、大丈夫」

 あえて説明しない方が、ちょっと面白いと杏は思った。

 「たしかに、自由落下にしては制御されてる。どうやってんの?これもカガク?」

 「そうね、科学よ。電気で動いている」

 そう言っている間に一階に着き、扉が開く。


 「ほぇぇ……階段なしで降りてる……これ、人間界ヤバい!」

 「エレベーター、便利でしょ」

 レイネの挙動がが大げさで思わずニヤニヤしてしまう。

 「便利すぎでは!? これ常備されてるの? 全員使えるの? 無課金?」

 「はいはい、常備、全員、無課金。行くよ」


 「あーちゃん、もっかい乗ろうよー」

 レイネは、エレベーターを降りるなり、杏の腕を引っ張る。

 「いや、帰りも使うし」


 「えー、びゅーんってもっかい!」

 興奮冷めやらぬレイネが腕をぱたぱた振りながら主張する。


 「アトラクションじゃありません」

 そんな杏の静止を聞かず、エレベーターに戻ろうとするが──ガゴンッ!

 「あイタっ!」

 自動的に閉まるドアに挟まれる。

 「あーちゃん、痛い…」

 「だ、大丈夫!?」



 エントランスを出て数歩──



 今度はマンション脇のゴミ捨て場で立ち止まった。

 「この緑の箱なに!?  宝箱?...... ミミック? それとも爆発するやつ?」

 「ただのゴミ箱だから。 ミミックってなに?」

 RPGもやらない杏には、完全に未知の単語だった。


 「開けたら噛み付いてくる魔物です」

 「なにそれ、こわっ」

 「そうでもないよ。頭突っ込んで、暗いよー、怖いよーって遊ぶのが玄人プロ

 レイネは真顔で答えた。


 杏は一体何のことを言っているのだろうと思いながら、なぜかちょっと大人の事情を感じた。



 少し歩けば今度は──



 「この柱、いっぱい立ってるね。なんで?」

 電柱のそばに立ち、見上げるレイネ。

 杏は電柱の上を指差した。

 「上に黒い線、電線あるでしょ? 電気とか電話線があるの」

 「電話線?なにそれ?何に使うの?」


 ──想像以上に、質問攻めだ。


 なお、これでも抜粋なのである。

 レイネの好奇心は尽きることがなく、その度に杏の足は止まる。


 一歩あるけば、3つの質問が飛んでくる勢いだ。

 ランチの予約時間が気になりながらも、杏は我慢強く説明を続けた。


 ──まるで2歳児のなんでなんでだ…と、甥っ子の事を思い出す。


 一歩進んでは立ち止まり、一歩進んでは立ち止まる。

 その度に杏は「ああもう、早く行きたい」と心の中で呻く。

 レイネの『質問攻撃』に付き合いながら、杏は心の中で叫んでいた。

(いや、今日ランチ予約してるんですけど!? 時間! これ、絶対間に合わないやつ!)


 と、そこでまた一言。


 「ねぇ、あれなに?」

 指をさすレイネ。

 「どれ?」

 指さす先には──男物のパンツがベランダに干されている。

 「うん、パンツだね。男性用。パンツ。人の家、(ひとんち)見ない」

 「でっか」

 「……うん、“でかぱん”だね」

 「でかぱん!」

 声がでかい!

 杏は顔を真っ赤にして、そっと加速した。


 「もう行くよー!」

 杏はそう言って振り返った。


 ──あれ?


 レイネの姿がない。


 ──え、どこ?って。


 今度は見知らぬ10歳ぐらいの男の子としゃがんで、地面を見つめている。

 「これは? このまるっこいの」

 「ダンゴムシ! で、こっちがクロオオアリ!」

 男の子は元気に答えた。


 「アリ? ちっちゃい……え、これで『オオ』なの? 私の世界では人間ぐらいあるよ? しかも二足歩行。ギッチョンギッチョンってしゃべる」

  「は!? そんなのアリえねー!」

 「信じるか信じないかは──あなた次第です」

 「都市伝説かよ!」


 なにその会話。

 ツッコミが追いつかない。


 「レイネー!  限定ランチなくなっちゃうー!!」

 杏が半ば絶叫すると、レイネは「あっ」となって男の子に手を振った。

 「またねー」


 「じゃーねー、とんがり耳のお姉ちゃん!」

 「おう、まるっこい耳のこどもー!」


 耳の形であだ名が成立した。

 杏は、もうツッコミが追いつかないと諦めながら、レイネの手を引いた。


 ……頼む。ランチ、残っててくれ。

ちょっと後書き


>頭突っ込んで、暗いよー、怖いよーって遊ぶのが玄人プロ

フリーレンネタなんですけど、伝わってますかね?

いや、レイネはフリーレン知らないですけど。

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