表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】同居人は異世界の女神さま!? 男に逃げられ、金も尽き、運まで消えたら、女神に振り回された件について  作者: yururitohikari


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/96

微塵にも希望は無いあの言葉


 「……ああ、宝くじでも当たらないかな」

 杏は天井を見上げたまま、ぼそりとつぶやいた。


 世間話(せけんばな)しより軽く、ため息と一緒に流れていくような空気のセリフ。

 年末ジャンボのCMを見るたびに誰もが口にする「当たったらマンション買おうかな」的な、あのノリである。

 希望を語るようで、微塵にも希望は無いあの言葉。


 「宝くじってなに?」とレイネが言う。

 「運試し。お金を払って数字の札を買って、当たればお金がもらえるってだけ」

 「へぇー! すごいね」

 「いやいや、簡単に当るもんじゃないから」


 杏は苦笑する。

 宝くじとは、確率と現実の挟み撃ちに遭う、夢と幻想のコンテンツである。


  ──夢を買うためのいくばかりかのお金で、もやし5袋が手に入る。


 それが庶民のリアル。


 しかし、レイネはタブレットを使い、宝くじを調べ始めている。

 「ねえ、あーちゃん。買ってみよう? “ナンバーズ”ってやつが良さそう!」

 「ナンバーズって……自分で数字選ぶやつ? それって、さらに当たらないやつじゃ──」

 そんな夢より、『5袋のもやし』と杏は思った。


 「えーお願い!ナンバーズ4買おうよぅ」

 「もっと当たらないやつじゃん、ダメ」


 いいかい、レイネ。

 私たちは、食べていくのもやっとなんだよ、

 もうここは現世うつしよ


 世知辛い、罪深い世界なのだよ。

 夢なんか見ちゃダメ、そんなことより『5袋のもやし』。

 生きていくための、食べるための200円。

 と杏は思った。


 「レイネ、なんばーず、ほしい」

 さっきまで豚(熊)のジャージを着ていた美女が力なく呟く。


 その光景は『お姉ちゃん、アイス欲しい』と袖を引っ張る小さな頃の妹を思い出させる。


 ──ああ、もう。妹に借りるか。情けないお姉ちゃんでごめん。


 泣きたい思いを跳ねのけ、杏は起き上がる。

 「一回だけだからね!」

 夜職に売り飛ばそうと、一瞬でも変な気を起こした杏は、せめてもの罪滅ぼしと思い、『5袋のもやし』を諦めた。



 杏はスマホを取り出す。

 宝くじ公式アプリにアクセス。

 「ナンバーズ4」を開き、数字選択画面を表示した。


 「で、どの数字にする?」

 「えーとね……これ!『1・1・4・5』!」

 レイネは即答した。


 ……なんでその番号? しかも即答。

 もう少し悩むとかしなさいよ。

 悩んだとて意味はないけど。


 杏は腑に落ちなかったが、数字を入力し、購入ボタンをタップした。


 『ご購入ありがとうございました』

 というメッセージが画面に表示される。


 いえ、どういたしまして。

 さよなら、200円。さよなら、『5袋のもやし』。


 これが『どぶに捨てる』でなければ何だというのか。


 「はいはい、買ったよ。これで満足?」

 もはや、投げやりだ。

 スマホごと投げ飛ばしてやりたい。


 「うんっ! あーちゃん、ありがとっ!」

 レイネは、目を輝かせてお礼を言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ