ゲリラ豪雨中の再会
投稿した短編をChatGPT利用でレベルアップさせ、文章量を増やしてみました。
学校からの帰り道、空が見る見るうちに暗くなったと思ったら、まるで空が裂けたみたいな豪雨が降り始めた。母さんが天気予報では晴れって言っていたのはなんだったのか。
「最悪だ……」
心の中でそう毒づきながら、ずぶ濡れの身体を引きずって近くの公園へ走る。奥にある小さな東屋を思い出し、そこなら雨をしのげるだろうと期待して足を速めた。
全力疾走で東屋の下に飛び込むと、凄まじい雨の音が頭上を叩いているのがわかる。息を切らし、シャツから滴る雨水を気にしながら、 「参ったな。予報を鵜呑みにして傘なしなんて……」 と一人ごちた。シャツは重たく肌にまとわりつき、生温い風がむしろ不快さを増幅する。誰もいないのを確認して、少しシャツの裾を絞ろうかと思った、まさにそのときだ。
外からバシャバシャと水を蹴る音が接近してくる。大雨のなか、こんな公園まで駆け込む人が他にいるとは思わなかった。
「タイミング悪いなぁ、誰か来るのか……」
気まずいな、とシャツを握った手を止めて入口に目をやる。すると、雨をしのぐようにカバンを頭の上に掲げた誰かが飛び込んできた。
「はぁ、はぁ……」
息を乱していたその人物は、濡れた髪が頬に貼りつき、白っぽいシャツが肌にぴったりと吸いついていた。まるで雨に打たれた子猫のような姿だが、胸元のラインが透けて下着も見えていてかなり扇情的だ。
視線がどうしてもそちらに引っ張られてしまい、目をそらした方がいいと思うものの、男としての本能か、どうしても目を離すことができない。
「竜馬……だよね?」
聞き慣れた懐かしい声が聞こえに、俺は驚き息を呑む。顔を上げれば、小学校の頃によく見た面影がそこにあった。
「……咲月? 久しぶりだな、こんなところで会うなんて」
名前を呼ぶだけで胸が高鳴る。昔によく一緒に遊んでいた女の子で、小学校一人気者だった山上咲月だ。卒業後、別の中学校へ進んだと聞いて以来、ずっと会えていなかった。
咲月は雨でビショビショになった服を少し引っ張りながら、苦笑いを浮かべる。
「まさかこんな形で再会するなんて……。中学からずっと別のところに住んでたんだけど引っ越してきたの。今日は手続きで学校に寄った帰りだったんだ……」
そこまで言うと、彼女はシャツの袖から溢れた水滴をぎゅっと絞り、少し恥ずかしそうに視線を落とした。
「傘を持ってくるつもりだったのに、干してた折り畳み傘をそのまま忘れちゃって……。天気予報信じたらこんな大雨にやられるなんて運がないよね……」
「俺もだよ。母さんが『天気予報は晴れよ』って言うから傘は持って行かなかった。そしたらこのザマ……」
雨音にかき消されそうになりながら、咲月と互いの境遇を笑い合う。だが、そういう場面でも、彼女の濡れたシャツの下に浮かぶシルエットがどうしても視界の端をちらついてしまう。
服が透けているだけでこんなに意識してしまうなんて、自分でも呆れる。でも、悪いと思いつつ、つい見てしまうのは男の性だろうか。
「……え、ちょっと待って。もしかしてブラ透けてる!?」
咲月が自分の体を見下ろして、慌てたように両腕で胸元を隠す。頬が一気に紅潮し、恥ずかしそうに小さく身をかがめた。
「あ、いや……ごめん。目に入ったっていうか、でもそんな見えたわけじゃ……」
「そんなって……もう、透けてるなら教えてよ……」
恥ずかしそうにもじもじする彼女の仕草は、小学生の頃と変わっていない。けれど今は大人びた雰囲気が混ざっていて、なんとも言えない魅力がある。雨粒が首筋を伝うたび、妙に艶めかしい。
お互いに気まずいような、でもどこかくすぐったいような空気に包まれていると、雨の音が少しずつ弱まってきたのがわかる。ゲリラ豪雨らしく、降り始めが突然なら、止むのも意外と早いらしい。
東屋の外を見ると、雲の切れ間から夕日が差し始め、地面にできた水たまりが煌めいている。雨で冷えた体に、この柔らかな光が妙に温かく感じられた。
「……小降りになってきたから帰れそうだな」
そう言った俺に、咲月は少し寂しそうな笑みを向けてくる。
「そうだね。……でも、久しぶりに会ったし、もうちょっと話したいかも」
まさか咲月のほうからそんな言葉が出るとは思わず、どきりとする。すかさず返したいところだが、全身ぐしょぐしょのまま公園に留まるわけにもいかない。
「そうだな……。じゃあ、LINEでも交換する? 小学校の頃はお互い携帯持ってなかったから、連絡先も知らないままだったよな」
「うん、ぜひ! せっかく再会したんだし、今度ちゃんと会おうよ。……こんな濡れ鼠同士じゃなくてさ」
軽く笑い合いながら、スマホを取り出してお互いのQRコードを読み取る。画面には水滴が残っていて反応しにくいが、なんとか登録が完了した。
交換が終わると、咲月はスマホを胸に抱えて少し照れくさそうに言う。
「それにしても……、やっぱり濡れると寒いね。早く帰ってシャワー浴びたい……。そういえば竜馬、家は近いの?」
「まあ、そう遠くはない。咲月は?」
「私も遠くはないよ?でも帰ってもまだ荷解きとかバタバタで忙しいんだ……。割と時間かかるんだよね。もう少し頑張らなきゃ!」
再会の余韻を楽しみつつ、雨が止みかけた外へ足を踏み出す。冷えたコンクリートの上を歩くと、水たまりが所々で眩しく光り、空気はむわっと湿気を帯びている。先ほどまでの土砂降りが嘘のようだ。
「じゃあ、これで……。また改めて連絡するから」
「うん。私も後でLINEするね。あ、風邪引かないようにね?」
最後に向けられる咲月の笑顔は、やっぱりあの頃のまま。だけど、女性としてかなり魅力的になっていて、濡れて透けた服のせいで余計にドキッとさせられる。
家に着く頃にはすっかり雨が上がっていた。シャワーを浴び、寝る前にようやく色々と落ち着いたところで、スマホの通知を確認する。
咲月から早速LINEメッセージが届いていた。
『お疲れさま! 無事に帰れた? 今日はほんと大変だったね……でも再会できて嬉しかった!』
既読をつけながら、俺も嬉しかったと心の中で呟きながら返信する。
『うん、お疲れ様。無事帰って今シャワー浴びたところ。まさかあんなに濡れるとは思わなかったけど……、久しぶりに会えて俺も嬉しかったよ』
すぐに返信が返ってきた。
『でも、透けたの見られちゃったのは恥ずかしかった……まじまじと見てたでしょ?』
やっぱり気にしていたらしい。あの透け具合は正直、見てはいけないラインを攻めていたような気もする。思い返すだけで、こっちまで体温が上がってくる。
『……正直に言うと、しっかりと見てました。ごめん!でも、本能的なものだから許して欲しいです(土下座のスタンプ)』
正直に白状し、謝りながら許しを請う文章を送った。彼女はどう反応するだろうか。すると、想像以上にあっさりとした返答が来た。
『ふふ、恥ずかしかったけど……正直に謝ったから許してあげる。特別だよ?……そうだ、せっかくLINE交換したし、今度ちゃんと遊ばない?』
俺としては「遊ぶ」じゃなくて「デート」がいいかな。でも、ちょっと勇気が必要だ。
『もちろん。いつが都合いい? 最近部活もそんなに忙しくないし、ほとんど空いてる』
スタンプが返ってきて、続けざまにメッセージが表示される。
『今度の土曜日はどう? 午前中で用事が済むから、午後からなら空けられると思う』
『いいね。じゃあ、昼過ぎくらいに駅前で待ち合わせしようか。映画でも見る? それともショッピング?』
LINEのやりとりだけなのに心が弾む。画面越しなのに、さっきの濡れて扇情的だった彼女の姿が頭から離れない。
『映画もいいし、買い物もいいよ。……あ、でもせっかくならご飯も行きたいかも。昔、竜馬がよく行ってた店とかあれば教えて』
咲月の言葉に、「デートだな」というフレーズが頭に浮かぶ。思わず特別な意味を込めたくなるのは俺だけじゃないだろう。
『もちろん任せといて。じゃあ、デートってことで、土曜日楽しみにしてる。』
ちょっと照れくささを押し殺して送信。しばらく返事がないのは、彼女が返し方に迷っているのかもしれない。数秒後、既読マークがつき、スタンプが届く。
『了解~! 私も楽しみにしてるから(ハートマークのスタンプ)』
まるで心臓の鼓動が聞こえてしまいそうだ。携帯画面の向こう側にいる咲月の表情を想像し、自然と頬が熱くなる。
雨で散々な目に遭った一日だったはずなのに、こんなにわくわくした気持ちで夜を迎えることになるなんて思いもしなかった。
「……ゲリラ豪雨も悪くないかもな」
そう呟いて布団に潜り込む。何度も頭の中に彼女の姿が浮かんできて、なかなか寝つけそうにない。
そんな夏の終わりの夜だった。




