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テイスティング

「お前、いびきうるさいんだよ!」

ティムはゴードンに言う。

「いびきだけじゃないわ。寝言でサタンだって何回も言ってるのよ。寝る時くらいその癖変わってくれれば良いのに。」

レジーナも言った。

「人工中絶は悪魔の行うことだ!」

「自分が何言ってるのか分かってるの?」

「もう、うるさいな。お前らがうるさくてこっちまで寝れないだろ。君達のような低レベルな人間に付き合ってられないだよ。」

「何だと?」

プレイヤー達は全員起き上がり、口論になった。

「ジム、お前いつも偉そうに仕切ろうとしてムカつくんだよ。」

「こんな使い物にならない年寄りなんていらないんだよ!」

クリスティーナとヘンリーは様子を見た。

「早速仲間割れね。自分達が似た者同士だなんて気がついてないようね。」

「ゲーム運営楽しみだな。」

「ちょっとは機械使えるようになって。」

「分かってるって。」

「こんな馬鹿と合同任務なんて私の成績に響くじゃん。」

二人はゲーム当日また操作室に集まった。

「ゲームマスターは?」

「二人で激しくしてるんじゃないか?」

「何だよそれ?禁欲押しつけて、自分達はそれなのか?腹立つな。」

禁欲と言っても自慰行為を禁止するわけではなく、プレイヤー同士の性的接触を禁止するだけだ。

「ゲームマスター出てこい!早くゲームをはじめて俺等をここから出してくれ!」

モニターがつく。

「うわビックリした!」

クリスティーナがカメラの至近距離で映ってたのでプレイヤーは驚いた。

「ゲームマスター、顔が近いんだよ!」

「その程度で驚くようじゃこのゲーム耐えられず、一生ここに暮らす人生じゃないかしら?」

クリスティーナの仮面は不気味さがあるのでプレイヤー達はそれを見てさらに驚いた。

「うわ、何してるのよ!」

ヘンリーがうっかり操作室を傾けるボタンを押した。

「あんたね!このボタンは操作室の角度が変わるとボタンなの。」

クリスティーナは怒りつつも説明した。

「うっかり押してしまった。」

「うっかりでもここは絶対押さないで!」

「何かまた喧嘩してるな?」

「新入りちゃんに腹を立ててるのか?」

「そんなに怒ったら新入り辞めるかもな!」

プレイヤー達はクリスティーナを挑発した。

「プレイヤー達の前ではドジなんてしないで。」

「分かったから、このチョコレートケーキ食べてよ。」

「あー、もう私が好きなのはレモンケーキよ!」

クリスティーナはヘンリーを見てイライラした。

「魔女が怒るぞ!」

「ゲームマスターキレるか?」

プレイヤー達は彼らの喧嘩を楽しみにしていた。

「何を喋ってるのかしら?これからゲームがはじまるというのに準備もろくにできてないようね。それと私を侮辱した罰として、大音量のクラップ音を聞いてもらうわ。」

耳が壊れるくらい大きな音で聞き終わるとプレイヤー達は倒れ込んだ。

「ゲームマスターに逆らったりしたら罰を与えるの分かったかしら?それではゲームをはじめるわ。」

ロボットがたくさんプレイヤー達のもとに来て準備をした。

「今からゲームを行ってもらう。最初に行うゲームは『テイスティング』よ。」

ヘンリーは遠隔でロボットに指示を出した。

「やっと準備終わったよ。」

「どんなゲームなんだ?」

「テイスティング?ワインとか?」

「ルールは簡単、ワイン、コーヒー、お茶をテイスティングして貰うのよ。ゲームは6セットあるわ。テイスティングが合ってれば次のセットに進めるけど合っていなければ次のセットには通過出来ない。ルール説明は以上よ。」

「ちょっと待て!」

ティムがクリスティーナとヘンリーを呼び止めた。

「俺、お茶嫌いなんだけど!そんな俺に飲めって言うのか?」

「ゴミのような水を飲んで暮らす人が世の中にどれくらいいるか知ってるかしら?あんた達みたいな人のことをコントロールして人生をめちゃくちゃにしてる人間が安全な飲み物を飲んで、未来のある人達が危険な水を飲んで死に絶えてるの社会はどっちを恨むのか一目瞭然よね。」

「そんな話をしてないだろ!」

「そうだ!俺はコーヒー嫌いなんだぞ!」

ジムも言った。

「このゲームを運営するのは私達よ。ゲームのことをコントロールしたいのなら自分の過去の行いを改めることね。無理だろうけど。」

ロボット達は会場を出る。

「ロボットを使う時は正確に指示を出して操作するのよ。私は自分で遠隔操作した方が楽だけど。」

ヘンリーがプレイヤー達に話しはじめる。

「これから1セット目をはじめる。1セット目はお茶だ。当ててもらうお茶は蓮の葉茶、中国産のジャスミン茶、スリランカ産のウヴァチャ、これらを当ててもらうわ。」

カップが10カップ並ぶ。

「1セットはじめだ!」

「お茶は得意分野よ。よく会員に販売してたわ。」

フェリシアはかつてただのお茶を特別な霊気が入ってると騙して会員からお金を取りまくっていた。

「悪徳業者がここで役立つんだな。」

ティムは言った。

「あなたには関係ないことよ。少なくとも私の力で救われた人間はいたはずよ。これはダージリンね。」

お茶を飲みながら言った。

「ダージリンくらいしか分からんな。」

「不味すぎ。お茶なんて人間の飲むもんじゃない。」

ティムはお茶を吐き出した。

「おい、俺に向かって吐くな!」

ラファエルはティムをビンタした。

「何すんだよ!お前がそこにいるのが悪いだろ!」

「吐いたものを俺に向けるなって言ってんだよ。頭悪いのか?」

「頭悪いのはお前のほうだろ!サイコパスをステータスとしてるのか?あ?」

ティムはラファエルを殴る。

「ふざけんな。テメー。」

二人は取っ組み合いの喧嘩になった。

「やめろ!お茶がこぼれるだろ!」

ピーターはテーブルを叩いて言った。

「これは何のお茶?」

ゴードンはお茶の区別が分からなかった。

「これがジャスミン茶ね。あんた達こんな簡単な問題も解けないのかしら?」

フェリシアは言った。

「そうやって、自分がレベル高いと勘違いしてるのね。」

レジーナがお茶を飲みながら返した。

「これはダージリンね。」

「これがジャスミン茶か。」

「何だこれ、苦すぎ。一番不味い。」

ジムはお茶を少し吐いた。

「フェリシア・ファーマン、得意分野のようね。」

クリスティーナは言った。

「うわ、蓮の葉茶不味すぎるだろ。」

ヘンリーは蓮の葉茶を捨てた。

「私もこのお茶は好きじゃないわ。体には良いんだろうけど。1セット目は楽に設定してあるのよ。これからはこんな甘いもんじゃ無いわ。」

プレイヤー達は一通りお茶を飲み終わった。

「10カップのうちどれが、蓮の葉茶、ウヴァ茶、ジャスミン茶なんだ?」

ジムが他のプレイヤーに聞いた。

「まずナンバー3のカップに入ってるのはジャスミン茶よ。蓮の葉茶は飲んだこと無いから分からないわ。」

フェリシアは言った。

「あとは分かるか?」

「ナンバー7が蓮の葉だ。」

マットが言った。

「味で分かるのか?」

「違う。このカップだけそこに答えが書いてるあるんだよ。」

マットだけはこの仕掛けに気がついていた。他のプレイヤーもナンバー7のカップを確認した。

「本当だ。」

「こんな所見てたのか。」

マットの観察力はゲームマスター達も知らなかった。

「あんた少しは役に立つじゃないの。」

レジーナは彼に言った。

「残りはウヴァ茶のだな。」

「ウヴァ茶はどれか分かるか?」

ゴードンはフェリシアに聞く。

「当然ナンバー8ね。まず色が濃いオレンジ色よ。それにウヴァ茶独特のメントール臭がするわ。このままより、ミルクティーにしたいくらいね。」

彼女はウヴァを飲み干した。

「ナンバー9がダージリンね。これは色が鮮やかだからオレンジペコね。」

「答えはそれで良いのか?」

ピーターが聞く。

「お茶の知識はあんた達よりあるのよ。」

「ゲームマスター!」

ピーターはスクリーンを見て言った。

「おい、ゲームマスター!」

「どういうことなんだ?」

「ゲームマスター、出てこい。」

モニターがついた。そこにはクリスティーナとヘンリーもいない。プレイヤー達はさらに怒鳴り出した。

「おい、聞こえないのか?」

「何のようかしら?」

ようやくクリスティーナが顔を出した。

「答えを言いに来たんだよ。」

モニター越しでラファエルは言った。

「答えは蓮の葉茶はナンバー7、ウヴァ茶はナンバー8、ジャスミン茶はナンバー3だ。」

ピーターが言った。

「それがお前らの答えで良いんだな?」

「ああ。」

しばらく沈黙が続いた。

「全部正解よ。」

「第1セット通過だ。」

プレイヤー達は喜んだ。

「第2セットは1時間後よ。それまでに昼食を取るように。」

味のないパンが支給された。

「おい、またパンかよ!クソが!」

マットが怒鳴る。

「最悪、パンかよ。俺は偉大な聖職者なんだぞ。」

ピーターは言った。

「性犯罪起こしておいて、聖職者とかよく言うよな。」

「何だと?お前だって、悪魔崇拝してるだろ!性的に乱れてる人間達にものを言われたくない。私は聖職者として禁欲を守ってる。」

ラファエルに言った。

「お前らふたりともサタンなんだよ!」

ゴードンが言った。

「私をサタンと一緒にするんじゃない。」

ピーターとゴードンは取っ組み合いの喧嘩になった。

「おい、やめろよ!」

一部のプレイヤー達が二人の喧嘩を観戦するが、ジムがとめに入る。

「馬鹿なんじゃないのか。」

ピーターとゴードンをぶっ飛ばした。

「暴力沙汰とかやめて欲しいな。俺達まで死んだらどうするんだよ。もっと考えて行動しろよ。」

ティムが言う。

「そうよ。あんた達の面倒にこっちは付き合ってられないのよ。ただでさえゲームマスターが頭おかしいサイコパスなのに。」

レジーナも4人言った。

「それより、何でこんなパンしか食べれないのよ。」

フェリシアも不満をもらした。

「俺達を何だと思ってるんだ!クソ!」

マットも怒る。

「おい、ゲームマスター!」

「ゲームマスター!」

「出てこいよ。どう言うことなんだよ。このパンだけとか頭おかしいんじゃないのか?」

「そうだ!こんなの家畜のご飯だろ!」

クリスティーナがモニターに登場した。

「私が作ったご飯にケチかしら?」

「そんなのご飯じゃないわ!」

「そうだ!まともなメシをくれ!」

「刑務所の実態を知ってるかしら?」

クリスティーナは表情を変えること無く言った。

「虫の入ったご飯に、残飯同然で人間の食べるものと言えないわ。それに比べると私があんた達に提供した食パンは虫もついていないし、カビが生えて腐ってるわけでもない。残すなんてもったいないんじゃないの?もしくは刑務所のような食事をしたいのかしら?あんた達のレベルに見合う食事なんてせいぜいこれくらいしか無いのよ。そんな事も分からなかったのかしら?」

クリスティーナはプレイヤー達を見て笑った。

「クリスティーナ、食事パンだけなんて鬼畜じゃないか?」

ヘンリーが言った。

「全然そうは思わないわ。あう言う人間が惨めな暮らしっぷりを望んでる人も一定数いるんじゃないかしら?人の人生を奪ったような奴らには味のない食パンがお似合いなのよ。死のうがどうでも良い人間なのよ。」

「本当にそう言う人間ばかりなのか?俺はそうは思わない。どんなに極悪人でも死を悲しまない人が一人もいないわけじゃない。」

ヘンリーは下を向いて言った。

「その証拠はあるの?」

「はっきりとした証拠はない。だけどどんな人間でも死を悲しく思う人間だっているはずだ。」

「そんな余計なことに時間を費やさないで。あんたがこのプレイヤー達の心配した所であんたの人生が豊かになるわけじゃないのよ。」

クリスティーナはヘンリーにそう言って機械の操作に戻った。

「ケイジ、遠隔操作の仕方を教えるわ。まずは頭を全集中して。」

モニターにクリスティーナとヘンリーが出て来た。

「第2セットは1分後にはじめるわ。」

彼女は遠隔操作しながら話した。

「遠隔操作はパソコンでも出来るし、ここの操作室の機械でも出来るのよ。まずは楽な方法は操作室の機械ね。」

どんどんコーヒーカップが並べられる。

「何だこの量は!」

プレイヤー達は驚きを隠せなかった。

「この量を当てろってわけ?」

カップは30カップ並んでいた。ヘンリーが話す。

「これから30カップのコーヒーの中からグアテマラ、東ティモール、タンザニア豆のコーヒーを当てること。ミス出来るのは一回のみだ。第2セットスタートだ。」

スタートともにプレイヤー達はコーヒーを飲む。

「グアテマラコーヒーはよく飲むけど、どれがどれなんだか。」

「コーヒー得意なやつはいるか?」

ジムが聞いた。

「誰もいないのかよ。役に立たない連中だな。」

「文句ばかり言ってないで味を当てろ。」

ティムは言った。

「これかな?フルーティーで美味しいわ。」

レジーナは言った。

「食レポか?今は味を当てないとこのクソみたいな会場から出れないだろ。」

「どれがどれなんだかわからん!」

プレイヤー達はカップが多いのでかなり混乱した。


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