プレイヤー紹介
「サタンがここにいる!近づくな!」
「何でもかんでもサタンとか頭おかしいんじゃないのか?」
「あんたどこかで見たことあるわね。」
プレイヤー達は早速言い争いになっていた。
「モニターのボタンはここよ。」
ヘンリーはクリスティーナに言われてボタンを渋々と押す。
「あの女が出てきたぞ!」
「おい、どういうつもりだ!出せよ!」
「早く俺達をここから出せ!ぶっ殺すぞ!!」
「魔女だ。火炙りにしないといけない。」
クリスティーナは数分間無言だった。
「おい話聞いてるのか?」
彼女は答えない。
「クリスティーナ、はじめないのか?どういうつもりなんだ?」
ヘンリーが小声で言った。
「これからが面白いのよ。ここを押すと…」
雷の音が鳴った。
「おや、ビビっちゃってるようね。あんたらが色んな人を洗脳したぶん私がたくさん楽しませてあげる。」
「お前は誰だ!」
プレイヤーは怒って聞く。
「そんな口調で良いのかしら?」
雷の音を大音量で50回鳴らした。
「うわー…何だよこれ!ふざけるな!」
「追い込まれると怒りっぽくなるんだ。面白い。もっとその調子で怒鳴ったら?あんた達が喉を壊しても私達は何もしないのよ。」
「耳が壊れるかと思ったぞ。」
「耳が…」
「何だよ、この音。」
プレイヤー達はクリスティーナに対して続けて怒鳴り散らす。
「こんな喋るゴミが世の中に存在するわけね。唾を会場中にばら撒く気?汚いわね。ゴミがさらにゴミを吐き出すわけね。罰としてもう一度雷の刑よ。」
雷の音がまた響く。プレイヤー達は耳をおさえる。
「これで分かったかしら?あんた達は私達が思う存分遊べるジャンク品のおもちゃだってこと。ジャンク品でも死ぬまで最後まで使わないといけないでしょ。」
このゲーム会場にはプレイヤー達に人権というものは無い。ゲームマスターが彼らの人権を剥奪する。
「しょうがないから下僕どもの為に私の名前を紹介してあげるわ。私はこのゲームを運営するゲームマスターよ。クリスティーナ。隣が一緒にこのゲームを運営するゲームマスター、ヘンリーよ。」
プレイヤー達は仮面をつけてる彼らをスクリーン越しで見る。
「よう!お前ら!俺はゲームマスターのヘンリーだ。このゲームを運営するのは初めてでワクワクだ!上司のクリスティーナからたくさん教えて貰うから俺の成長を見届けてくれよ!」
ヘンリーは何も考えずにプレイヤー達に言った。
「ヘンリー!この馬鹿め!」
クリスティーナは彼の頭を引っ叩き、胸ぐらを掴んだ。
「あんたね、会社の情報をペラペラとプレイヤー達に話してるんじゃないわよ!この間抜け野郎!」
クリスティーナはいつもと違い、イライラしていた。
「もう何だあれ?さっきの威勢はどこにいったんだ?」
「マジで笑わせくれるよ。あの女と男コントしてるのかよ?」
「もっと楽しませてくれよ!」
プレイヤー達が調子に乗り出した。
「ゲームマスターに新入りとかあるんだな。笑わせるよ。」
「ヒヨコの成長が楽しみね。おかしすぎるわ。」
「新入りめ!たくさん可愛がってやるよ。」
プレイヤー達の笑い声が会場中に響き渡る。そしてモニターは消えた。
「あんたゲームマスターとしての威厳をちゃんと見せなさい。そんなんだとゲームが成立しないわ。」
「いやー、そりゃあプレイヤー達と仲良くするのも面白い思ってフレンドリーな対応をしたんだよ。」
「あんたね。ここの会社は普通の会社とは違うのよ。仲良しこよしするような場所じゃないの。極悪人が私達のことをなめて態度を改めなかったら、ゲームが成立しないの。会社のことをペラペラ話さないって誓約書にも書いてあったでしょ。」
ヘンリーの誓約書を顔に押しつけた。
「何で俺のを持ってるんだ?」
「あんたの上司だから私が管理してるのよ。」
「クビにするのか?」
「次やったらどうなるか分からないわね。」
クリスティーナはイラつきながら、モニターをまたつける。
「笑ってるのも今のうちよ。これからたくさんの理不尽なゲームに参加してもらうから。これから行う9つのゲームをクリア出来ればあんた達は脱出出来る。その前にあんた達の紹介を私が代わりにしてあげる。」
8人のプレイヤー達はお互いの顔を見た。
「一人目のプレイヤーはジム・ジョンソン。46歳。『平和寺院』と言うカルト団体の教祖。動画配信サイトで信者を虜にして巧みに信者を騙している要注意人物ね。信者の自殺をほのめかすようなこともしていて、自殺してる人数では計38人。これは調査してるデータだけどまだまだ亡くなってる信者はいそうね。」
情報部から送られて来てる情報をもとに話した。身長や体重などが事細かく書かれている。
「自殺をほのめかすなど我々の教えには反しているな。」
「楽に天国に行かせてあげてるんだよ。この腐りきった世の中から私は愛する信者を救っただけなんだ。」
「あんた誰かさんと似てるね。本当はそんな事思ってないでしょ?人が死んでいくことに快感を感じてるんじゃないかしら?もしかして反社会的パーソナリティーを持ってるから自分は特別だと思ってるのかしら?それならあんたにたくさんゲームを楽しませてあげる。」
クリスティーナはニヤけながら言った。
「次のプレイヤーはレジーナ・インズ、39歳よ。会員制の洗脳セラピーで、家族やペットを失った人を上手く洗脳して、お金を騙し取っているようね。宗教家ではないけど、あんたもカルト団体の教祖と変わりない存在ね。会員が困窮状態になろうと借金させてまでお金を取るのがこの汚い女のやり方よ。」
モニターに画像を表示させた。
「セラピー以外の時は高いバッグを買ったり、海外旅行やカジノなどをずいぶん楽しんでるクズよ。」
再び操作室にモニターを切り替えた。そして彼女はレジーナの私物を全部手にとって見せた。
「残念ながらあんたの私物全部私が回収したの。ゲームの態度次第で処分するつもりよ。」
クリスティーナは彼女のカバンを投げ飛ばした。
「ちょっと!あんた何してるのよ!」
「あれ?セラピストってそんな風に怒るのかしら?」
クリスティーナはレジーナを挑発した。
「これ以上紹介することは無いから、次のプレイヤーを紹介するわ。3人目のプレイヤーはマット・ファビアン。こいつも小さな宗教団体の教祖よ。こいつは次々と女性を喰い物にしたり、女性信者を自分好みの体型させるクズ教祖ね。」
ヘンリーは情報部から送られて来た情報を確認した。
「とんでもないやつだな。」
流石のヘンリーも動揺した。
「あんたも私のお仕置きを受けないといけないわ。じっくりと過酷なことをさせてあげるから、楽しみにしててね。」
「クリスティーナ、性格悪いな。」
ヘンリーは小声で言った。
「クズの前で良い人アピールしたらますます調子に乗るのよ。ゴミ達に対してのそれ相応の対応をしただけよ。」
二人はプレイヤー達のリストを見た。
「次のプレイヤーを紹介するわ。4人目のプレイヤーはティム・ウィリアムズ、42歳。小さなカルト団体の教祖で殺人事件が発覚して指名手配中の逃亡犯よ。警察に捕まる前に私達が捕まえてあげたから。あんたが教組してた団体は信者に強制労働をさせてようね。幼い子供を意志を無視して囲い込みをしたり、強制的に偏った教育をさせたり、公にならなかったらずっとやってたようね。これからはあんたにもたっぷり強制労働させてあげるから。そもそも教祖をしてたから農作業の仕方とか分からないのかな?」
クリスティーナは声を上げて笑う。
「何が可笑しいんだ!」
「だって今まで強制労働させてた人間が強制労働行う姿が楽しみで楽しみで仕方が無いの。私を説得しようとしても無駄よ。あんたは私のエンターテインメントの道具の一つだから。」
「ふざけるな!クソ女!この淫乱女め!」
「そんな事言って良いのかしら?負け犬ほどよく騒ぎ立てるわね。本当のユーザーは権力というのを失ったあんたのことを言うのよ!」
指を指して言った。
「ハハハハハハハハハハ!!もう可笑しすぎるんだけど。」
クリスティーナは不気味な笑い声をあげた。
「あの女狂ってやがる。」
ヘンリーの失態を忘れるほどの不気味さだ。彼女がしている仮面も不気味な仮面だ。
「次のプレイヤーを紹介するわ。5人目のプレイヤーはラファエル・ウォーターハウス、52歳。悪魔崇拝をしてる団体の教祖よ。センスのある反体制を訴える悪魔崇拝とは違うようね。ただの人殺し異常者を集めた集団ね。」
「サタンだ!!この会場から出てけ!」
一部の教祖はラファエルを叱責した。彼の格好は黒尽くめの格好だ。
「落ち着きなさい。悪魔崇拝自体は嫌いじゃないわ。でもあんたのような人間はセンスのないただのイカレ野郎ね。」
まさにラファエルはサイコパスだ。サイコパスだから何でもして良いと勘違いしているタイプだ。
「6人目のプレイヤーはゴードン・ワシントン、43歳。逃亡中の教祖ね。信者を社会的に隔離してることや犯罪が発覚して、指名手配中のようね。都合が悪くなると口癖はサタンだってね。神からご加護を受けるつもりかしら?残念ながらあなたの嫌うここにいる魔女と悪魔は誰にも止められないのよ。」
「えっ?俺、悪魔って事になってるの?」
「ゴードン・ワシントンの中ではそう言うことになってるのよ。自分の都合の悪い人間は全員悪魔か魔女を。凄い頭の中ファンタジーしてるのよ。」
「どうか神様、このサタンから私をお守りください。皆、あのサタンを倒しに今すぐ立ち上がるんだ。」
ゴードンは大声で言った。
「一人でやれば良いだろ。くだらない。」
ジムは言った。
「お前はサタン側の人間か?」
「どうやらお前は天国に行くための修行が必要だな。」
ジムは笑いながらナイフを持った。
「サタンだ!!」
「キャーー、殺人犯よ!」
会場はパニック状態になった。
「ノーノー、そんな事したらどうなるのか教えてあげる。」
クリスティーナは止めに入ろうとした。
「あんた達が気絶してる間に装置を埋め込んだの。プレイヤー一人死んだら、皆死ぬことになるのよ。そんな事になっても良いのかしら?」
「やりすぎじゃないか?」
「何言ってるの。これくらいやらないとゲームとしてのスリルと言うのが無いでしょ。」
クリスティーナは容赦が無かった。
「疑うようならビデオを見せてあげましょう。これは過去に行われたゲームの映像よ。」
ビデオは4期生が会社に入社する時の年にとったものだ。ビデオでは一人のプレイヤーが殺されて、殺したプレイヤーも、その場にいたプレイヤーも突然死した。
「私は冗談で言ってるわけじゃないのよ。あんた達の命がどうなろうが私からしたらどうでも良いけど、もっと賢い選択をするべきね。」
ジムはナイフをおろした。
「悪魔を崇拝して何が悪いんだ。」
ラファエルがボソッと言った。
「このシステムはゲームが終わるまでずっと解除されないから気をつけて行動しないと誰にも死を見届けられること無く、私達の発電所のエネルギー源になっちゃうかも。全員死んだら、誰もあんた達を探しやしないのよ。」
クリスティーナはプレイヤー達を脅した。
「クソ、あいつ何しやがるんだよ。女のくせに。ビッチめ。」
マットはクリスティーナをにらみながら言った。
「うわーーー!やめろ!」
遠隔でマットに電気を流した。
「クリスティーナ、どうやって電気を?」
ヘンリーは聞く。
「遠隔攻撃は私の得意技よ。」
マットを見ながら言った。
「電気を受けた気持ちはいかが、私の下僕の一人なんだから下僕らしく振る舞わないと。もしかして、また電気を受けたいマゾなのかしら?」
クリスティーナは言った。
「こんな奴どうでも良いわ。7人目のプレイヤーを紹介するわ。フェリシア・ファーマン、34歳。恋愛で心を痛めた人達に占いで高い商品を次々と買わせて洗脳してるようね。」
「だから何?それで彼らが幸せならそれで良いじゃない。何が悪いって言いたいわけ?」
「人の弱みに漬け込んで価値の無い商品をしつこく売りつけてるのが問題だって私は言いたいのよ。」
「私は彼らを救ってるから、お金儲けをする権利がある。」
フェリシアはクリスティーナに言った。
「そうよ。誰にだってお金儲けする権利があるのよ。お金を作るって素晴らしいことよ。それならあんたや他のプレイヤー達を使って私がお金儲けしても何も問題無いよね?例えば工場労働をさせてその取り分は全部私ともう一人のゲームマスター持ちでも文句ないわね。」
クリスティーナは笑いながら返した。
「お金を稼ぐって素晴らしいことだわ。」
実際、クリスティーナの言ってることは間違いではない。私達は悪人に過酷なゲームさせることによってお金を稼いでいるから。
「そんなの強制労働よ!人権侵害!」
「そうだ!人権侵害だ!」
「魔女をやっつけろ!」
「そもそもあんたもそこにいるプレイヤー達も人間として扱ってないから、ゲームを楽しく進めるための駒とくらいしか思ってないわ。そんなに人権侵害で嘆くなら、今までの自分達の悪口を憎むことね。」
彼女は声をあげて笑った。
「8人目のプレイヤーはピーター・ギリアム、56歳。小さな教会の神父という役割たげど、実際は数々の少年達を性的虐待してた獣よ。」
「お前、それ本当なのか?」
「私はそんな事してない!」
証拠の写真を見せた。
「これでも言い逃れするのかしら?」
「気持ち悪いんだよ!」
「ペドとか終わってる。」
他のプレイヤーはピーターを殴ったり蹴ったりした。
「あんたは表では禁欲とか謳ってるけど、実際は抜け道を使ったとんでもない人間だってこと。ここにいるプレイヤー達は全員救えないクズなのよ。これからクズ同士ゲームに参加してもらうわ。まず服を着替えなさい!」
「ちょっとここで着替えろって言うの?私、女なんだよ!」
「説明くらい最後まで聞けないのかしら?一人一人個室に入ってもらうこと。プレイヤー同士の性的接触は禁止よ。発覚したら重いペナルティーをくだしてあげるから。」
プレイヤーは囚人服に着替えた。
「私の服が!」
自分達の着ていたものは眼の前で消された。
「あんた達には囚人服がお似合いよ。刑務所よりここの環境はずっと良いところよ。少しは感謝したらどうかしら?」
プレイヤー達は大声で文句を言い続けた。
「唾飛ばし大会してるわけ?勝手にゲームを作られちゃ困るのよ。罰として、5分間ゴミ捨て場の臭いを嗅いでもらうことね。」
「臭すぎ。」
罰が終るとクリスティーナはまた話しはじめた。
「今日はこれくらいよ。明日ゲームをはじめるから、全員ここの会場にいるように。」
残酷なゲームがスタートする。