結果
応募者は控室で待っていた。
「次の実技試験の会場はこちらです。」
応募者はジェイ・トンプソンに案内されて、会場に向かう。
「次の試験の説明をする。」
ベンとケイジが先に会場にいた。
「え?ここって森じゃん。」
「何で森?」
「今度こそデスゲームか何か?ワクワクするんだけど。」
「森とかマジでヤバイな。」
「応募者の皆、こっちだ。」
ベンとケイジが木の上から呼ぶ。
「次の試験は宝探しだ。制限時間20分までに宝を一つ以上探すこと。今回の試験は他のプレイヤーから盗めば失格だ。宝をゲット出来なくても失格では無いが、その場合は筆記試験で挽回しろ。」
「宝ってどんなの?」
ベンが説明した。この試験はベンとケイジが一緒に考えたものだ。
「指定の宝はこの4種類。」
ケイジが大画面を見せた。
「バナナの皮とリンゴの皮と、カメレオンの置物と安全ピン?これのどこが宝なんだ。」
「これらの宝がこの森の中にある。」
「ゲーム開始だ。」
応募者は一気に走り回る。
「木の上にあるだろ。」
彼らは気に登ったり、土を掘り返したりした。中には走って探し回るものもいた。
「これはいくつかトラップが仕掛けてあるんだよな。」
「勘の鋭いやつや危険探知能力あるやつならすぐバレそうなトラップだ。」
「熊が来た!」
「こっちに来るな!クタバレ!」
応募者数人は熊から逃げる。
「この森にはAIの熊をたくさん放ったんだ。あいつ等も本物みたいに容赦はしないぞ。」
中には熊を仕留めるものもいた。
「宝見つけた!」
「受験番号1242番、宝一つゲット!」
ベンがアナウンスをする。
「クソ、動かない!」
「助けてくれ!」
応募者数名は接着トラップに引っ掛かった。
「またこれは面白い物が見れたな。一度くっついたら1分間は動けない。」
「ケイジ、お前はトラップを考えるプロだな。そこは上司としてお前を評価するよ。」
「あんたに評価されたいと誰も言ってはいない。」
「受験番号1234番、1208番、お宝一つゲット。」
「お宝まで、あと少しだ!」
風が強くなる。
「クソッ!」
タイミングが悪く風が強くなった。
「今のはわざとか?」
「俺がそんな悪趣味に見えるか?」
「ケイジならやりかねないだろ。」
風で宝を逃した応募者もいれば
「やったー!風が吹くなんてラッキーだな。」
「お宝ゲットだ!」
風で宝をゲット出来る応募者もいた。
「お宝ゲット!」
「残り5分だ!」
「急がないと。」
ヘンリーはまだ宝を見つけていなかった。
「ガラスの破片が残ってるわ。」
鏡を照らしながら女性は位置を確認した。
「ここね!」
木の上に登って、彼女は宝を入手した。
「あいつは合格で良いんじゃないか?」
「この試験では身体能力だけでは無く、頭も使うことが求められる。」
「さっきの鏡の破片を有効活用するとはな。採用なら今後の期待の社員だな。」
ケイジは色んな応募者の様子を見た。
「残り3分だ。」
「宝ゲット!」
森は一気に暗くなり、宝探しが難しくなった。
「暗くてよく見えないな。クソ!」
「何で暗くするんだよ。」
「焦ってるようだな。まだ宝見つけてない奴はどう探すか楽しみだな。」
「大体この状況に適応できるような奴は検討がついてる。」
中には懐中電灯を持参してる者もいた。
「お宝ゲットだ。懐中電灯準備しといて良かった。」
「あんなに準備の良い奴もいるんだな。」
「あそこだ!」
「試験終了だ!次の試験まで1時間の休憩だ。」
試験は終わり、応募者を控室に戻した。
「さっきの試験難しかったな。」
「お宝取れなかった。」
「次の筆記試験で挽回するしか無いな。」
「宝なら4個は獲得したぞ。」
「自慢かよ。」
しばらくするとフエン・ミラーがやって来た。
「筆記試験の会場に案内します。」
応募者は彼女について行き、試験部屋に入った。
「それでは試験開始です。」
「何だよこの問題は…マジで分からない。」
「分からなすぎる。」
ヘンリーのように苦戦していた応募者もいた。一部の応募者は着々と問題を答える。
「試験終了。」
筆記試験が終わり、応募者を全員家に帰した。
「今年は10期生みたいな奇跡が起こるんじ無いか?」
上限が8枠だったが、異例の10名が合格した。そしてケイジとクリスティーナは入社試験の時点で好成績をおさめた。
「今年は面白い応募者ばかりだな。」
「どうやら、入江太一は親の七光りでは無いみたいだな。」
「日本の大企業の坊っちゃんがここに来るなんて、合格させたら面白そうだな。」
「選考は慎重に行う。」
「まずはこのガラス女はどうだ?」
「筆記試験の成績も良いな。面接した感じもゲーム推進部にかなりマッチしてる人材だ。」
「入江太一はどうだ?」
「かなり身体能力や思考力も見て、優秀な奴だ。ただのお坊ちゃんじゃないようだな。」
「情報部の人間も入江を欲しがってるようだな。」
「他の部署に情報が渡れば、入江はオファーがたくさん来るだろうな。」
ベンもケイジも学歴を見ていなかった。もちろん入江太一は日本の名門大に合格したが、大学を蹴ってこの会社を応募した。
「合格させたらこれから気をつけないといけないこともあるな。日本で有名な企業の社長の息子が身元不明になれば、ニュース沙汰になる。我々に操作が行かないよう厳重注意をすべきだ。」
ベンは言った。
「世間が騒ごうが入江太一の選考を中止することなど出来ない。」
「この応募者はどうだ?」
「的あてで他のプレイヤーを投げ飛ばした奴か。力だけ強いだけの馬鹿だから、ゲーム推進部の人間ではないな。筆記試験は普通の結果だし、不合格で良い。」
「何だかただ不採用にするのにはもったいないな。」
「元探偵もゲーム推進部に欲しいな。」
「彼女は情報部の方がやりがいを感じるだろ。ゲーム推進部にはもったいない人材だ。」
「こいつは合格だな。」
「あらかじめ、道具を準備してた応募者もうちの社員として必要だ。頭の回転が早いからこの人も採用だ。」
「こいつはどうだ?」
「この応募者はないな。サイコパス自慢をしにここに来たようだな。」
「俺から見てもそんなに魅力がないな。」
「宝を4つ入手した奴もいるな。」
ベンとケイジの選考は終わった。
「ケイジ、いや、採用担当、今年はどんな人が入ってくるわけ?」
クリスティーナが聞く。
「これは守秘義務だ。」
「私くらい良いでしょ。」
「駄目だ。もう誰が合格は決まってる。お前に教えられることはそれくらいだ。」
「分かったわ。どんな人が入ってくるか楽しみね。期待しとくから。プロレスの練習に付き合ってくれない?ゲームマスターの仕事は体力勝負よ。」
クリスティーナとケイジは着替えた。
「もっと強く。届いてないぞ!」
この会社にはゲーム推進部用にボクシングする部屋もある。
「リーチが甘い。」
「あんたも腕を上げていったようね。」
「降参か?」
「まだまだよ!」
二人はよくボクシングをそこでする。
「次はジムに移動よ!」
「お前も結構強くなったな。」
「昨日の自分より強く痛いのよ。」
ダンベルを持ちながら二人は話す。
「今度の新人は優秀?」
「9期生よりは優秀な人材が揃ってるだろうな。」
「あんた9期生のこと嫌いなの?」
「ただの俺の感想だけどな。」
「ベンもただの女たらしと思ったら違うようね。最初はあいつのナンパ凄いから片手でぶっ飛ばしたことあるけど。」
「もう二度とあんなことするなよ。危うく、会社をクビになることだったんだぞ。」
「そもそもこの会社って解雇とかあるわけ?」
「最悪、人生の半分くらいの記憶を消されていくだろうな。社長の前で暴力沙汰はやめろよ。」
「あの後、ベンもみっちり怒られたみたいだし。」
私はそんなに厳しくした覚えはない。
「ベンはスキャンダルが無い日が逆に無いだろ。」
「もうすぐ社員試験がはじまるわ。」
「アーチェリーもあるようだな。」
二人は身体測定に向けて特訓をした。
「ゲーム推進部の社員の皆様、社員試験を行います。」
社員は弓を持っていた。力任せの社員や精神論を言う社員は基本的に評価にはならない。この社員試験は多少成績になる。
「ケイジ・パーカー、矢を放ちなさい。」
彼の矢は見事真ん中に命中した。
「今年もケイジは凄いな。」
「ケイジ・パーカー、クリスティーナ・ブラウン、ジェイ・トンプソン、今度はバランスボールに乗って、矢を射れ。」
彼らはいっせいに矢を射る。
「的の真ん中に命中したのはケイジだけだな。」
「10期生優秀だな。」
「身体能力が高すぎる。」
他の二人はギリギリ矢が真ん中に命中しなかった。
「次は射撃訓練だ。」
社員は銃をかまえる。
「動いてるロボットを2分以内に撃てるだけ撃て。倒した数が多ければ高得点だ。」
「射撃はあんたより私の方が得意だわ。」
「ケイジもクリスティーナも高得点叩いてるよ。」
カミーユは少し諦めモードに入っていた。
「ワクワクして来たわ。」
たくさんの銃声が響く。
「楽勝ね。」
クリスティーナは全てのロボットを時間内に全部撃った。
「ジェイ!頑張れ!」
ジェイもたくさんのロボットを撃ち落とす。
「凄い数を撃ったな。」
クリスティーナには劣るが彼の射撃も確実だ。クリスティーナはアーチェリーより銃の方が向いている。
「ケイジおしい。あと一体残ってる。」
「やっぱり、銃は私の方が使いこなせるわ。」
「次は負けないからな。」
ケイジは言った。
「次はテトリスだ。」
試験はコンピューターゲームなども行われた。
「試験は以上だ。」
彼らはたくさんの項目の試験が終わった。
「くらえ!」
「無駄だ。」
たくさんのギャラリーの中、ケイジとクリスティーナは剣術を競い合った。
「どっちも強いな。」
「10期生は本当に優秀な社員ばかりね。」
「ゲーム終了だ。」
彼らは引き分けだった。
ケイジとベンは社長室に行く。
「これが今回の7人の合格者です。」
「今年はかなりの強者揃いね。」
「他の部署に行く応募者が二人います。一人、情報部、一人は備品開発部です。」
「備品開発部、ちょうど人が欲しかったのよ。採用担当として賢明な判断ね。給料アップよ。来年もあなた達に採用担当お願いするわ。」
「やったなケイジ!」
「来年もベンと一緒か。腐れ縁だな。」
「何だよ。俺と組めるを少しは誇りに思えよ。」
ベンはケイジの背中を叩いた。
「二人ともここにいたのね!」
ゲーム推進部4期生、前任の採用担当兼任のイザベラ・キャンベルだ。
「コーヒーを飲んで!私の従姉妹の開発した新商品よ。」
「酸味が良いな。」
「悪くないな。」
イザベラは椅子に座る。
「はじめての採用担当の仕事を見せてもらったわ。実技試験の企画力が良かったわ。もう少し難しくても良いんじゃないかしら?」
「実技試験は従来のやり方と変えました。例年受験者数が増えてるので、これでも難易度を上げたつもりです。」
「今回の採用枠は何人?」
「7人だ。」
「今はそんなに雇うのね。私の時は応募者も少なかったから5人よ。」
「11期生も6人でそこまで多くない。」
「採用枠は多かったけど、基準に達して無かったわ。」
「そう言うことだったのか。」
「もう、合格者のリストは社長に提出したかしら?」
「提出済みだ。」
「今日の試験は中々楽しかったな。」
ヘンリーは試験のことを振り返っていた。
「おじいちゃんとかもいたな。」
応募者の年齢制限は特に無い。
「まさかあの憧れのケイジ・パーカーが試験監督だなんて芸能人にあった気分だな。」
彼はケイジの写真を見た。
「面接とかはどうだったんだ?俺の時より難しいか?」
ヘンリーに聞くのは2回くらい試験に落ちた彼の友達だ。
「実技試験は中々苦戦したし、筆記試験は本当に何が書いてあるのかさっぱり分からなかったな。」
「俺は流石にもうあの会社に入社するつもりは無い。お前が受けるなんて予想もしていなかったな。」
「お前に教えてもらって無かったらそんな会社知らなかったな。」
ホームページのサイトには例年ケイジとベンがよく顔を出していた。
「普通の検索エンジンじゃヒットしない会社だからな。ダークウェブじゃないとヒットしないからな。」
「よくそんな会社を見つけたもんだよな。」
ヘンリーとその友人は2年前からルームメイトになってすぐに打ち解けた。二人の間には隠し事など一切なかったので、ダークウェブで裏NPO法人社会的ダスト更生プロジェクトのことを知るのは時間の問題だった。
「メールが来た。」
ヘンリーはメールを確認した。
「オー、マジか!」
「そんなに大声なんて出してどうしたんだ?」
友人は聞く。
「聞いて驚くなよ。」
「そんなもったいぶらなくて良いから。」
「来週から裏NPO法人社会的ダスト更生プロジェクトのゲーム推進部に入社が決まったんだ!やったぜ!」
「よくやった!おめでとう。」
二人はハグをした。
「ありがとう。」
ヘンリーは無事に合格した。この会社にも新しい風が吹き出す。