面接
「これから面接を受ける皆様、こちら部屋でお待ち下さい。」
カミーユが応募者を控室に案内する。
「私が今渡したカードに番号が書いてます。今後はこの番号で呼びますので、呼ばれたら私達社員が案内します。」
控室には緊張が走っていた。
「おっと、危ない。間に合った。」
「あなた揃って全員ね。このカードは絶対なくさないで。これから応募者を番号で呼ぶから。」
応募者達は控室で待機した。
「面接緊張して来たね。君は今回受験が初めてかな?僕も初めてだ。僕の名前はヘンリーだ。よろしく。」
「よろしく。」
しばらくするとカミーユが戻って来た。
「受験番号1201番と1202番、私について来てください。」
彼らは移動する。
「あの二人受かりそうな感じがするよ。僕と一緒に合格しよう。」
ヘンリーは聞いてもない話を延々とした。
「ここの会社を応募した理由は?」
早速面接がはじまった。
「ここを応募した理由はゲーム開発が好きだから!映画で見るようなプレイヤーを翻弄するようなゲームを運営できるなんて楽しいでしょ!ここでは主にゲーム開発をしたい。」
「ありがとうございます。」
ベンとケイジは情報部から送られた個人情報のデータと照らし合わせた。
「次、受験番号1202番、こっちに入りなさい。」
「ここの会社は何で知りましたか?」
「あたいはいつもダークウェブとか使うんだけど、ネットサーフィンしてたらたまたまあんたの会社を見つけたんだよ。手短に言うけど、これがここを応募したきっかけよ。新たなアドベンチャーが出来そうで楽しそうじゃん。」
面接は終わり女性の情報が書いてるレジュメを見た。
「38歳女性、アメリカ国籍、大学卒業後に50カ国くらい旅してるバックパッカーだってよ。」
「言語は英語とドイツ語と中国語に対応出来るようだな。」
「こいつも中々面白い人材だな。」
「また自分好みという理由で選ばないだろうな?」
ケイジはベンに念をおした。
「心配するなってそんな選び方しないからな。」
「とは言え今の女性は今のところ合格の候補にも入れてみても良いな。色んな環境への適応能力を感じられるし、世界情勢についてもかなり詳しい。」
面接は続く。
「次、1226番、入りなさい。」
「こちらに入社したらどんな取り組みをしたいですか?」
「たっぷり今まで調子に乗って来たプレイヤー達をたくさんみっちりと教育してやりたいですね。」
ヘンリーはまだ待機室にいた。
「面接緊張して来たな。」
「話しかけないで。面接の準備の邪魔だから。」
「悪かったって!一緒に合格しような!」
「仲良しこよしする為にここに来てるわけじゃない。」
カミーユがやって来る。
「受験番号1247番と1248番の方、面接部屋まで案内します。カードを見せてください。」
「俺はここで行く。じゃあな。」
「何だ。俺のこと嫌いじゃないんだな。」
応募者は面接会場まで案内される。
「1247番、面接室に入りなさい。」
「今回応募した理由は?」
「悪どいプレイヤー達について徹底的に調査するのが好きだからです。私は10年間探偵やってたのよ!!学生時代は私に知られたらすぐ校内中のスキャンダルになるのよ。」
「ゲーム運営ではすごい大事なことだな。他の理由は?」
「それだけよ。」
応募者は部屋を出る。
「彼女の熱意は素晴らしいが、ゲーム推進部がプレイヤー達の身元を調べてると勘違いしてるようだな。不合格だな。」
「確かにゲーム推進部には向いてないが、ゲーム会場を今後、数カ国や数都市増やすにあたって、情報部の人数も必要になってくる。彼女は情報部として雇うことを俺が提案する。あの探偵スキルは情報部にいたらかなり活躍しそうだからな。」
「頼んだぞ。ケイジ。」
控室ではヘンリーが面接を待っていた。
「受験番号1249番と1250番の方。面接室まで案内します。カードを見せてください。」
「よし、やっと面接だ。カードがない。」
ヘンリーはカードを探し回る。
「どこに行ったんだ。」
「カードがないなら面接は受けられないわ。」
カミーユが言った。
「あれ、お尻が膨らんでる。」
「あっ、お尻でカードを挟んでたな!!」
彼はカードを見せながらふざけた。
「汚いわ。そのカードをケツの穴に入れなさい。」
「分かったよ。」
いよいよヘンリーの面接だ。
「ベン、トイレに行くから面接者に遅れるって伝えてくれ。」
「分かった。」
外に出ると、ケイジとヘンリーは目を合わせる。
「あいつなんて無視して、面接はじめるか。」
ベンはケイジを無視して、ヘンリーの面接をはじめた。
「ここを応募した理由は?」
「ここにいるケイジ・パーカーという社員に憧れているからです。ともだちに紹介されたホームページで彼のゲームを運営する姿が凄い格好良くて憧れでした。」
「ケイジが理由で入社か。このあと応募者全員実技試験がある。」
ヘンリーの面接は終わった。
「1250番は?」
「もう面接終わったよ。お前トイレ長いんだよ!」
「クリスティーナから仕事の電話が来てたからな。」
「これはクリスティーナと熱愛スキャンダルだな。面接官、女性社員と熱愛みたいなタイトルだろうな。」
「くだらない。それより何で勝手に面接進めたんだ?」
ケイジはベンに聞いた。
「そんなに怒るなって。1250番は面白そうだから採用する方向で行く。」
「何でそうなるんだよ。しょうがない。実技試験はその代わり厳しく審査するからな。」
「分かったよ。」
二人は実技試験の会場設営をした。
「1268番、面接終わったぞ。」
「あっそ。次は実技試験だ。どんな試験内容かは分からない。だからウォーミングアップの邪魔はしないでくれ。」
「邪魔なんてするわけ無いだろ。」
応募者、プレイヤー達が集まる会場で待機していた。
「ここって確か、ゲーム会場じゃないか?」
「これからデスゲームでも行われるのか!?それなら生き残る自信しかないな。」
「それなら私が真っ先にあんたのことめった刺しにしてあげる。」
「君達そこにいたらウォーミングアップの邪魔だ。」
「何だよコイツ。お前さん、時にはリラックスすることも大事なんだぞ。」
「息抜きしてる暇はない。」
「待たせたわね。あと5分で試験監督が来るわ。」
フエン・ミラーが遠くから言った。
「あなたは誰?」
「ゲーム推進部、10期生フエン・ミラーよ。ベトナムからここの会社に来たのよ。」
「ベトナム!?」
「冗談よ。お母さんがベトナム人なの。アメリカ国籍よ。そろそろ来る時だから私は退出するわ。せいぜい頑張りな。」
ケイジとベンが入れ替わりでゲーム会場に入る。
「応募者の皆、準備は出来てるか?」
「いつでもかかってきな。私が相手してあげるから。」
応募者はやる気満々だった。
「改めて、実技試験も俺、ベン・ハワードと隣のケイジ・パーカーが行う。」
応募者の目の前にはたくさんの的が用意された。ケイジが試験内容を説明する。
「今から的あてを行う。的の中心に当たれば高得点だ。的を当てられるのは1人一回までだ。制限時間は20分だ。くれぐれも他のプレイヤーを殺したりしないように。説明は以上だ。」
「ちょっと待って!」
「何だ?」
応募者は手を上げた。
「これだと説明が不十分過ぎるよ。まず的を当てられる道具なんてどこにもないじゃん。弓矢とかさ。せめて何か用意してくれないのか?」
「これは応募者の適性を見る試験だ。的を当てるものはこの会場の物だったら何でも大丈夫だ。」
「あと1分で試験をはじめる。」
「もう試験は始まってる!」
応募者数名は走り出す。
「まだだ!試験は時間通りにはじめる。それまで一歩も動くな。」
ケイジが指示をした。応募者の数人は首を動かしながら弓矢などが無いか確認する。
「開始まで10秒前、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、試験開始だ!」
応募者は全員的あて出来る物を探す。
「行くぞ!」
ある応募者はスーパーボールを投げた。
「真ん中にヒットだ。」
スーパーボールは消えた。
「面接官!スーパーボールなんて良いのかよ?」
「ルール上何も問題ない。」
ケイジが答えた。
「もしやルールを聞いていなかったのか?一つ言わなかったが、的に当てたらその道具は消えるようになる。」
彼らは道具を探しに走り回った。
「私はボールペンをゲーム前に持参したわ。」
ボールペンが的の中心に命中して、ボールペンは消える。
「さりげ気に入ってたから無くなると寂しいわね。」
「ケイジ、そろそろ戦いがはじまりそうだな。」
「もうすでにはじまってる。」
数名の応募者はすでに道具を持っていた。
「道具をよこせ!」
「よこしなさい!」
「俺が先に見つけたんだ。」
男性は転ぶ
「引っ掛けやがったな。」
「あそこに道具持ってるやつがいるわ。」
「本当だ。道具をよこせ!」
「追いかけてくるな。」
ヘンリーは道具探しに苦戦していた。
「中々見つからないな。人の物盗むなんて、将来プレイヤーの予備軍だな。」
ベンとケイジは応募者の様子を見る。
「やっぱりこうなると思ったな。」
ベンは言った。
「ここで盗み合いをしてるようならこの試験は合格出来ないな。今年の受験者は頭を使えない受験者がそこそこいるな。」
「そんな奴らばかりじゃない。あれを見ろ。」
ベンは指を指した。
「武器はこっちにある。」
「教えてくれてありがとう。役に立つな。」
男性は他の男性に偽の情報を教えて敵が自分の所に集中しないようにした。
「部隊は整った。」
男はダーツをシャツから出して、的に当てた。ダーツは見事命中して、消えた。
「多少頭を使える奴もいるようだな。いかに騙せる奴を分析してるようだな。この試験で振り回されるようならゲーム運営は向いていないな。」
「そうだな。」
応募者は盗み合いを続けた。
「私に道具をよこせ!」
「俺によこせ!」
「こっちに来るなよ!くたばれ。」
「弓を貸して!」
「クソ、これだと落ち着いて弓を入れないじゃない。」
応募者は道具を見つけても、他の応募者に妨害されて思うように的に当てられない。
「あと10分前だ。」
ベンは大声で呼びかける。
「的に当てられるのは1回だけ。外したりすれば失格だ。さあどう対処するか楽しみだな。」
ケイジはヘンリーを見た。
「離せ!クソ野郎!何するんだよ!俺は武器を持ってないぞ。離しやがれ!」
「武器を持ってんだろ!」
男性は他の男性を持ち上げて手で投げ飛ばした。
「痛い。何するんだよ!おい、面接官、人を投げ飛ばすのはルール違反だよな!あいつを失格にしろ。」
「失格にするかどうか決めるのは俺の権限だ。人を投げ飛ばして的を当てるのはルール上問題ない。殺さなければ良いから。」
「何だよ、その屁理屈は!!」
「的を当てた応募者は的の無い所に移動しろ。」
ベンは応募者に呼びかけた。
「ケイジ、お前は相変わらずルールバカだな。」
「これもゲームらしくて面白いだろ。」
応募者の戦いはまだ終わらない。
「お前のこと投げ飛ばしてやる。」
「やめろ!!」
「あんたのこと投げ飛ばしてやる!私はこう見えて力あるのよ!」
「離しなさいよ。」
「残り7分だ。」
応募者は時間が迫り、焦りを見せた。
「このままだと不合格になる。」
道具を探し回ったり、盗んだりした。
「トイレ行きたくなって来た。」
ある女性はトイレに行く。
「道具が全然ない。トンカチは重すぎるし、投げたら的に当たらないわ。トンカチ?」
彼女はトイレの鏡をトンカチで割った。ガラスの破片をズボンに入れた。
「的はあそこね。」
ガラス破片を的に当てた。
「よし成功よ。」
「あと5分前だ。」
的に当ててない応募者は20人いた。
「道具がどんどんなくなってく。どうすれば。」
そんな中ハプニングが起きる。
「よし、当てるぞ。」
火炎瓶が的に命中して、使える的は一つだけになった。
「なにするんだよ!!最悪だ。的が一つだけだ。」
「僕が先に当てる。」
「割り込まないで。」
「離せよ!」
「邪魔よ!!」
今度は的の争奪戦になった。彼らはパニック状態に至った。的に当てられてないのは16人だった。
「あと3分前だ。」
「この会場をよく把握して無ければ、この試験は通過出来ないな。」
ケイジは言った。
「ヘンリーって奴、流石にもう無理なんじゃないか?」
ベンは言った。ケイジは黙って様子を見た。
「武器をよこせ!」
「ハクション!!」
唾が的についた。的が反応した。
「今のどうやって測定したんだよ!!」
「私は安物のブラジャーよ!!これでもくらえ!!」
女性は下着を的に当て、下着は消える。
「ベン、何鼻の下伸ばしてるだ?また良からぬことを考えてるんだな。」
「いや、あのアイデアは素晴らしい。」
「変態上司かよ。」
ヘンリーは上を見た。
「ヘンリーのやつ、何をしてるんだ?降参か?」
ケイジは彼の様子を見た。
「残り30秒だ。」
「的を譲れ!」
応募者は争いをやめなかった。
「残り10秒、9秒、8秒、7秒、6秒、5秒、4秒、3秒…」
会場に銃声が響いた。
「銃か?だいぶデカい音だな。」
試験は終了した。
「試験は終了だ。的を外した9名、的を制限時間に当てられなかった11名は失格だ。」
「次の実技試験と筆記試験まで1時間の休憩だ。」
ベンはアナウンスを終える。
「中々見応えがあったな。まさかあいつが通過するとはな。」
「予想通りだったよ。」
ベンとケイジは昼食を食べた。