第二話
「うお!?」
飛ばされたユーリは王国の国王達が居る居間へと突然現れた。
「「「「うわぁー!」」」」
突然現れたユーリに国王をはじめその場に居た王女や大臣、騎士が驚きを隠せなかった。
「いてて」
「ユ、ユーリ殿!?」
「あ、国王様」
「何故ユーリ殿が王国に!?」
「魔王城に入る直前にもうお前は用無しだからって戻されたんですよ」
「そんな!」
「それでは彼らは」
「ええ、今頃魔王の城に突入してる頃じゃないですかね」
「そうか、それで彼らは大丈夫そうかな?」
「いや無理でしょうね、レベルが足りなさすぎる」
「やはりか」
「っと言いますと?」
「いや、我々も貴殿らの事が心配でな時折報告を受けておったのだ」
「そうだったんですか」
「その報告によると戦闘などはユーリ殿一人で行っていたとの報告を受けての、あの勇者を初め見たときから嫌な予感はしておったのだが、やはり予想通りの事が起きてしまったか」
何故国王がこんな事を言っているのかと言うと、この世界のレベルを上げる方法はと言うと経験値を集める必要があるのだ、この経験値はと言うと皆が思うゲームのRPGなどであるような、パーティーを組んでいれば勝手に溜まっていく訳ではなく本当に戦闘を行い、その経験が経験値として入りレベルが上っていくものなのだ、そして今までの勇者パーティーはと言うと、勇者の男がいい顔をして他国の王や村の村長から依頼を受けその時に発生した戦闘をユーリ一人にさせていたためユーリのレベルは格段に上がったのだが、彼らは一度も戦闘を行ったことがないため、未だにレベルが一つも上がっていなかったのだ。
「急いで行かないとマズイですよ!」
「いや、よい」
「え?」
「そうですわね」
「え?女王様?」
「そうですわ、ユーリさんは何もしなくてよろしいですわ」
「王女様?」
「いや〜勇者の召喚って実はあんまりしたくなかったんだよね」
「え?でも自分達は」
「うん、そこの大臣がやれやれうるさくてさ、仕方なくやったんだけどユーリ殿みたいな男が勇者として召喚されたら良かったんだけど、勇者として召喚されたのが
あのナルシスト野郎だったから嫌だったんだよね〜」
「え?・・・えっと」
「ホントですよ!あの男召喚されるなりいきなり私に付き合えだの言ってきて寒気がしましたわ」
「あの、王女様?」
「ユーリさんは何もお気になさらず、王国でゆっくり過ごしてくださいな」
「え?でも魔王は」
「あぁ魔王ね、まーどうにかなるでしょ」
「こ、国王!そんな悠長な事を言っている間に国民が危機になってしまいますぞ!」
「は?いやないない!てかさ、大臣さ」
「な、何ですか!?」
「お前だろ?魔王を唆して街や村を襲わせてるの」
「な、何をおっしゃいますか!そのような事は断じて!」
「俺が知らないとでも思ってるのか?お前が魔族と関わりを持っていることぐらいとっく分かっておるわい」
「な!?っち!?仕方ないこうなれば!」
そう言うと大臣は目眩ましのアイテムをその場から逃げ去ったのだった。
「!?追いかけないと!」
「良い良い」
「え?よろしいのですか?」
「ああ、どこに行ったのかは分かっておるからの」
「それじゃあ早く追いかけたほうが」
「大丈夫じゃよ」
「そうね♪それじゃあ今からユーリさんの無事帰還をお祝いしてパーティーにしましょうか♪」
「それが良いの、皆のもの!今すぐに準備に取り掛かるのじゃ!」
「「「「は!」」」」
国王がそう告げると兵士やメイド達が一斉に居間から出ていったのだった。
「さぁユーリ様♪あちらでお召し物に着替えにいきましょう♪」
「え?いや・・・え?」
「困惑される気持ちは分からんでもないがここは私の事を信じてくれぬか」
「私からもお願い出来ないかしら」
「私からもお願い致します」
「えっと・・・分かりました」
「それじゃあユーリ殿はまずはお風呂にでも入ってゆっくりされると良いだろう」
「その間に私がお召し物をご用意致しますね♪」
「ふふ、それじゃあ私も手伝っちゃおうかしら♪」
「は、はぁ」
中々状況に追いつけないユーリだがここは国王に従っておいたほうが良いと思うことにした。
「そこの者!ユーリ殿を浴場へと案内されよ!」
「は!それではユーリ様、私の後に着いてきてくださいませ」
「は、はい」
「ゆっくりされると良いからの」
「分かりました」
国王にそう言われたユーリはメイドの後について行くのだった。