第7自摸 「アカナシゼンアカなにがちがうの(後編)」
第7自摸
「アカナシゼンアカなにがちがうの(後編)」
一番忙しい時間帯にチンピラのような風貌の三人組が来店しました。
「三人設定お願いします。ゼンアカで」
意外にも口調は丁寧だった。
(ゼンアカ?)
「分かりました。ご用意致しますので少しお待ち下さい」
「九条先輩ゼンアカって?」
◉正解と解説
「ゼンアカは全ての5を赤くすること。肉倉さん、各卓の予備牌から赤牌集めてきて」と九条さんに指示される。しかし他の卓も赤⑤2枚使いなどのルールでやっていたためピンズだけなかなか赤が集まらない。
「九条さん。⑤が足りません」
「えー?」
どうしよう、どうする?
アワアワと困っていた所に
「すいませーん。会計お願いします」
赤⑤を2枚使いしてたグループがタイミングよく解散してくれた。これで各種四枚赤を用意できる。
「なんとかなりましたね」
「ギリギリ助かった〜」
しかし…
「すいませーん。お会計でー」
ゼンアカセット40分後お会計。
40分は切り捨てで30分計算である。
「お会計800円ですねー」
(九条さん笑顔引き攣ってますね)
(あんだけアワアワしながら面倒な設定して800円じゃな)
「あ、学生です」
(先に言え!)
(学生料金ってことですか?)
(そう、1時間1000円になるから)
「お会計変わりまして500円…です」
(キレるな九条)
(もはや笑えてないですね)
笑顔をすっかり失った九条先輩を見て私と深谷リーダーは逆に笑ってました。
「ねえ、リーダー。私思うんですけどゼンアカにする意味ってあるんですか」
「レートを高くしたいんだろ」
「そうじゃなくて全部赤いなら赤牌投入する意味ないっていうか。5はドラって認識になればいいだけな気がするんですけど」
「気分の問題なんだろ。にしても…面倒だったけどな。今日はもうあがっていいよ。お疲れ様」
「お疲れ様でした♪」
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《サキちゃんと肉ちゃんの麻雀専門用語辞典》
その6『赤無し』
読み方【アカナシ】
特殊なドラである『赤牌』という祝儀対象牌を入れないルールでやるということ。とは言え無視すればいいだけであり抜くことに意味はない。
〈合わせて覚えたい専門用語〉
『全赤』
読み方【ゼンアカ】
アカナシの逆。全ての『5』を赤牌にするルール。これもアカナシ同様で5はドラなのだと認識しておけばいいだけなので赤と黒を交換する意味がない。
アカナシとゼンアカは意味のない牌交換をしてるという点において、ある意味同じなのである。
肉ちゃんから一言
全部赤のグループは刺激が欲しいからそうしてるんでしょ? なら赤1の通常通りの設定でやって5はドラに赤5はダブドラにしたらもっといいんじゃないかな。そうすればわざわざお店の人に手間かけさせる必要もなくなるし、設定変更を待つ時間も省けて一石二鳥だよね。