気付かない貴方と、一夜の過ちを…。
前書き
R-18って程では無いですが、微エロだったり、ちょっと直接的な表現が含まれています❗️
保健体育の勉強だと思って読んでくださると嬉しいです(`・ω・´)❤️(←⁉️)
それは、唐突に湧き起こった好奇心から。
恋人のシゲルが入浴中に、彼のエロ本事情が気になってしまった。
ーーといっても、今時エロ本は家に置かないか…
電子書籍が当たり前になってきた昨今。エロ本などという、他人に見られたくない物を態々家などに置いたら、現在みたいに誰かに…私に見つけられてしまう恐れが高い。
ーーでも……もし、あったら…?
仮にエロ本が現物で家の中に隠されてて、ソレを見つけてしまった場合、今迄知らなかった男の性癖への驚きと、嫉妬による怒り等で、喧嘩に発展しそうな気がするので、余り詮索しない方がイイ。ーーと、頭では解っているが、一度火が点いた好奇心を抑える事が出来なかった私に、【調べない】という選択肢は無かった。
よく聞くベッドの下は? と思いながら体を屈ませ、其処を覗き込むと、なにか本らしき物を見つけ、手を伸ばし、ソレを掴んで引き摺り出すと、知りたくて…同時に出てきてほしくなかった代物が姿を現す。
「………へえぇ……。こーゆうコ、好きなんだぁ…? 」
清楚系の女の子が、下着姿で、胸を持ち上げる様に腕を組み、此方にソレを突き出して、笑顔を向けている写真。タイトルは、【おしえて? せんせぇ〜あなたから、沢山のコトを知りたい♡〜】だった。
ーー「おしえて」とは…なにを、「おしえて」あげるのですかねぇ? シゲル“先生”
自分で勝手に調べた事による、自業自得な結果だって…理不尽な感情だって、解ってはいるケドーー腹が立った。
「イイ事、思い付いちゃった⭐︎」
ガチャッという音が聞こえてきた。お風呂を出て、着替えの段階に入ったのだと、長年の付き合いから推測する。此の部屋にやってくるまで、あと数分って処だろうか?
ーー取り敢えず、見つけた事は黙っておこう…
予想通り、数分後。お風呂から上がってきたシゲルは、私を見つけるなり、後ろから抱き締めてきて、「イイか? 」と尋ねてきた。それに、私は肩越しに振り返り、その唇へ己のソレを重ねて、直ぐに離す。
私の返事がオッケーだと判断したシゲルは、私の腕を取って立ち上がらせると、体を反転させて、今度は向き合う様な形で抱き締めてきた。
「…」
普段だったら、めちゃくちゃドキドキして、キャパオーバーして、頭の中が真っ白になるのに、…先程の彼の知られざる性癖を目の当たりにしたからだろうか?
好きなのに…大好きなのに…彼に対して嫌悪感を抱く。他の女の子にも、こんな風に抱くのか? って…。
訊きたいのに、訊けなくて……泣きたくなった…。
それから約三週間後。
現時刻、午後六時半。二人の休日が合った、いつもよりも遅めな、デートの時間。
待ち合わせ場所で、少し眠そうな彼を遠くから見つめ、私はーーシゲルが早く、待ち合わせ場所から居なくなるのを待っていた。
「………漸くか…」
午後七時四十五分。漸く、男は諦めた様子で、待ち合わせ場所から離れた。一時間と少し…ーー途中、飲み物やトイレで離れる事はあったが、直ぐに戻ってきて、私が来るのを待っていた。
それに、自分は愛されてるんだなぁ、という実感と、彼への愛おしさが募る反面、今から自分がやろうとしてる事への決心が鈍りそうになり、かぶりを振る。
ーー結婚を考えてるんだもん…
結婚するなら、浮気しない男性がイイ。でも、絶対しない人を探すのは見つけ辛いだろう。だから、調べる事にした。
……というのは建前。
シゲル好みの女の子に少しでも近付けた外見にして、今から男へとアプローチを掛ける。それで靡いたらーー今夜、高い確率のアレをして、その後、「あの晩、貴方が鼻の下を伸ばしてた浮気相手は、実は私なんだぁ。妊娠したから、責任取ってよね?」と言って、結婚を要求する。
汚いやり方ではあるがーー他の女の子に取られるぐらいなら、どんな手段でも、男と契りを交わしたい。それぐらい、私はこの男に“首ったけ”だった。
「お一人ですか? 」
あくまでも初対面らしい感じで、シゲルの背中へと声を掛ける。すると彼は、はあぁ…と怒りを滲ませる様な長息をして、
「なぁにがお一人だよ…。ってか、そんな気色の悪い裏声を使って、声を掛けてくるんじゃ……」
振り返って「私」を見たシゲルは、言葉を失ったみたいに黙り込んだ。
ってか、気色の悪い裏声って言わなかったか、コイツ?
「……裏声? 」
「ッッ…いっ……いや……あのっ……そのっ……」
「…私の声、貴方の知り合いに、似ているお方がいらっしゃるの? 」
「ッ……はっ…ハハッ! 貴女みたいな可憐な知り合いはいませんよっ! 」
「………」
ムカつくな、コイツ。その“可憐な見知らぬ女性”が、実は「私」だって言ったら、どんな反応をするのだろうか?
「私……連れにドタキャンされまして…現在、暇を持て余してるんですぅ…」
「きっ…奇遇ですね!僕もそうなんですよ!! 」
………僕ウウゥ!?!! ってか、奇遇って……。あと、私にドタキャンされてショックじゃないのかよ!?
段々、「貴方が現在、鼻の下を伸ばしてる相手は“私”だよ」ってネタバラシがしたくて堪らない。
幾ら外見を変えたからって、“私”なのに、コイツは全く気付いた様子がない。
それどころか、私という可愛い恋人がいるにも関わらず、好みの女が現れると、いつもこうやって間抜け面を晒すのだろうか?
怒りの感情に段々と支配されていくのと同時に、好奇心で彼好みの女の子の外見に少しでも近付ける為に、服装、メイク、髪型を変え、ーー「私」の部分を上手く隠す事が出来たのに、喜びを感じるという皮肉な感情が湧き起こる。
「あっ…あのぉ……ちっ…近くに、行きつけの店がありまして……」
「! ………」
いっ…行きつけの店だと!?!! 私、其処に連れてってもらった事が無いのですが!?
「……あのぉ……“彼女サン”とかは? 」
ーー彼女がいるって…だからさっきの行きつけの店の話は、彼女以外の女性とは行かないって言えっ!
「ッッ……あ…あー……俺…君みたいな、可愛い“彼女を募集中”なんですよねぇ…」
「……………」
はいっ! アウトおおぉーー!!!
コイツが、こうやって好みの女をナンパして、直ぐに浮気に持ち込もうとするクズ野郎だとは思わなかった。
良かったぁ。結婚する前にそーゆうコトが知れて。これで、好きという感情をーー直ぐに捨てられる筈も無く…。
……わかった。わかりましたよ、シゲル君。
貴方には、彼女である私から直々に、愛の鉄槌を下して差し上げましょう。
「…うふふ、嬉しい♡私も、貴方みたいなイケメン募集中なの」
「! まっ…まじで!? 俺達が出逢ったのって、もしかして運命じゃね? 」
なにが運命だよ、クソ野郎。……まぁ、イイわ。私の正体を知った時にも、同じ事が言えるのかしらね?
「もし、そうなら…運命を、強めませんか? 」
「! ……そっ…それって……」
シゲルの喉が、ゴキュッと音が鳴る。私の言わんとしてる事を察知して、その続きを期待しているのだろう。
ーー嗚呼……ほんっと、私って馬鹿…
こんな浮気クソ野郎の事を大っ嫌いになって、直ぐに新たな恋に移りたいのに…他の男が視界に入らないぐらいに、シゲルの事が大好きだ。
「貴方のコトをもっと知りたいんです。例えば……女性を、どう抱くのか? …とか」
その晩、結局シゲルの行きつけの店に行く事なく、私達はとあるホテルで一夜の過ちを犯した。
シゲルは浮気を。私はーー最愛の相手を騙して、後先考えずに、確率を上げる手段に。
約二ヶ月後。
私は、中々こない月のモノに対して、不安とそれによる苛立ち。更に、そのコトを話した時に、シゲルからの反応が怖かった。
同意無しでの妊娠だ。当然、別れ話を言い渡される事だろう…。
ーー如何しよう…。お腹が膨れてきちゃったら…隠す事なんて……
「クルミ、如何した? 」
「!? っ……」
シゲルに後ろから抱き締められるまで、彼がお風呂から上がってきた事に気付かなかった。
「あっ…そのっ……私…今、そーゆう気分じゃなくて……ッ」
声が震える。もし、妊娠してる事がバレたら、ーー他の男とのコトを疑われるか、あの変装してのコトを説明して、俺の事を信じてないのか? って別れ話を切り出されるかの二択だろう。
こんな後悔を抱くぐらいなら、あんなコトしなきゃよかった…。
「………十ヶ月だったっけ? 」
言い様、シゲルは私の肩に回していた片腕を下へと滑らして、お腹へ手を伸ばし、其処へそっと触れる。
「!?」
「それまでは、お預けだな…」
「ッッ……いっ…いつから…? 」
シゲルは気付いてる。私が妊娠している事を…。ーーそして、あの晩の浮気相手が「私」だって事も。
私の問いに、なんの事か直ぐに理解した様子のシゲルは、暫しの間を置いて、「最初っから」と答えた。
「……なっ…なんで……なんでッ! 」
「まぁ、待て。騙されたフリをしてたのは悪かった。でもそれを言ったら、何でお前はあんなコトしたんだよ? 」
「っっ……そっ…それは……ッ」
浮気しないか如何か確かめる為にやっていた事。既成事実でも作って、シゲルを自分のモノにしようとしてた事等、汚い感情を打ち明けるにはかなりの勇気が必要で…中々、理由を口に出来ない。
「……まぁ、順序は逆転しちまったケド……」
「?」
「俺達、家族にならねぇか? クルミ」
「! っ……しげ…あれ??」
私は、シゲルの腕を振り解くと、急いでトイレに向かった。そしてトイレから出た私は、真っ先にシゲルへと頭を下げる。
「………シゲル……御免なさい…ッ!!!! 」
「!? ………え"っ……」
「そのっ……如何やら…ホルモンバランスの乱れが、原因でして……」
「………あ…あー……そっちね? 」
ホッとした様に息を吐くシゲルに、私は抱き付いた。
「!? …クルミ? 」
「私も……私も…シゲルと家族になりたいっ!! 」
後書き
こーゆう一夜の変装話は、ハピエン前提なら、どんな内容も美味しいです(`・ω・´)❤️
読み専の時から始終ドキドキしっぱなしで、長編とかだった場合は徹夜をして、結末まで一気に見届けるぐらいに、この系の話はよく読んでいました‼️(*≧∀≦*)❤️❤️❤️
ので、拙い文章ではありますが、私の書いた作品を読んでる誰かの性癖に突き刺さればいいなぁ、と……はい(〃ω〃)❤️