新たなる日常
今日から俺は凪北高校に通う1年。
制服を着て髪をセットして朝ごはんを食べ準備万端で学校へ向かう。
クラスは1年2組。
俺はサッカーの遠征があり入学式の10日後に初めてクラスに行く。だから先に担任の先生から親に連絡がありクラスだけ伝えられた。
みんな同じスタートなのだが俺だけ違う。
転校生みたいになってしまうかもしれなとも思った。
でも、わかっていることはもう1つある。
クラスにはあいつがいる。
俺がこの高校に入ると決めたのはあいつがいるからだ。
久々に会うのが楽しみ。そんな気持ちで学校に向かった。
…ガラガラ…
初めて教室に入ったが、何人かもうグループができている。
みんなは『え?』という表情をしている。
そんなの気にせず教室に入るが、ふと思った。
自分の席がわからない。
もう授業も始まり各自の席は決まっている。俺は初めてだから何も知らない。知り合いもいないし誰にも聞けない。
「あ!成谷さん?初めまして!成谷さんの席はここだよ!」
クラスメイトの女子が話しかけてくれた。
「ありがとう!すみません、、、名前は?」
「桜井です!このクラスで学級委員やらせてもらってます!学級委員同士よろしくね!」
「え!俺学級委員なの?登校してないのになんで(笑)あ、俺は成谷虎之助です!よろしく!」
「細かいことはいーの!(笑)これからよろしくね!」
明るく学級委員らしい女の子だなと思った。
それよりもなぜ俺が学級委員なのか、、、、、
でもこのクラスの学級委員は明るいし頼れそうだと思った。
俺の席は窓際の列の前から3番目席だった。
隣は誰なのかな〜〜と思いつつあいつが早く来ないかなーとも思った。
そんなことを考えてると、前に1人の男が座った。
「よっ!お前サッカーすごいんだって!話は聞いてるよ!俺は宮田!席前だからよろしくな!」
と、いかにも人見知りなどしないタイプっていう人が目の前に来た。
「お、おう!そんなことねーよ、よろしくな!」
「虎之助はいいよなー。入学して早々隣の子可愛いしよ〜〜ってか下の名前で呼んでいい?」
「もう呼んでるじゃん。(笑)え!そうなの?これって出席番号順なの?」
「俺らのクラス変わっててさー。担任がみんなの緊張ほぐすためにとか言って急に席替えしはじめてさー!んでこの状況!」
「そういうことねー、、、、面白い先生なんだね!」
「そ!でも美人で可愛いし頼れそうだぞー」
「へぇー。たのしみだな」
俺は隣の席があいつなんじゃないかとずっと気になってた。
…ガラガラ…
あ!と思った時すぐ目があった。
「あー!来てたんだ!連絡もしてくれないから帰って来ないかと思った。
クラス一緒ってわかってすぐ連絡したのにひどいなー。」
「ごめんごめん!驚かせようと思って詩織とまた一緒か〜って思ったよ!」
「ほんまにひどいんだからー。お土産は?」
「あ!忘れた!笑」
詩織は不満げな表情でこっちを見ていた。
「うそうそ!はい!これ!結構選ぶの大変だったぞー」
「わ!これすごい可愛い!さすがわかってるじゃん!」
俺は花柄の小さいポーチを渡した。
思いの外、とても喜んでくれて安心した。
「ストーーップ!!これどういう状況??笑」
宮田は気になりすぎて耐えられなくなり会話に無理やり入って来た。
「あ、ごめんごめん笑 詩織とは幼馴染なんだ!
「そうなんです!」
「そーゆーことかよー!!!だから昨日もいろいろ資料もらったりしてたのか、、、席が隣だからと思ってたよ」
あ、やっぱり俺の隣は詩織なんだとわかった。
「で、それどこのお土産なの?」
「フランス!」
「え!フランスいってたの?どんだけサッカーうまいんだよ!」
「大したことないよ」
「俺もサッカーやってるしサッカー部入るけど虎之助が来るなら心強いわー!」
「あ、俺部活はやらないんだわ。クラブでサッカーしてるから、、、」
「えーーー!!!そっかぁ、せっかく一緒にできると思ったのにな〜〜」
「ごめんよ。」
「虎は選ぶセンスないから心配してたけどさすがにフランスまで行くから必死だったんだね」
ニヤニヤしてこちらを見てきた。
「ってか加藤さん結構喋るんだね!」
「こいつ仲いい奴の前だとすげー話すんだよ!」
「人見知りなんだから仕方ないじゃん!」
すると急に宮田が焦り出す
「虎之助、あの子可愛くない??」
「どれ?」
「あの真ん中の席の子!」
「あー!確かに!」
「絶対思ってないだろー。三橋さんっていうんだけどあの子と隣になりたかったわ〜〜
「話しかけてくれば??」
「絶対無理!!!」
みんなでだべっている最中だったが、先生が教室に入ってきた。
「はーい!みんな自分の席座るー!ホームルーム始めるよー」
「あれが俺らの担任だよ!虎之助どーよ?」
「確かに可愛い、、、」
「何鼻の下伸ばしてるの」
詩織がこちらを見ている。
「あ、成谷くん今日から来てるのか!じゃあ、最初に成谷くんに自己紹介してもらおうかな!と、、、、その前に私は担任の新田花です。三年間クラス替えないから何事もなければ三年間担任だからよろしくね。じゃ、成谷くん軽く自己紹介お願いします!」
とても明るく雰囲気も良い先生だなと思った。
「はい、、、えーっと、成谷虎之助です!いろいろあって今日から登校になってます。3年間同じクラスなのでよろしくお願いします!」
「はい、ありがとう!成谷くんはサッカーすごいらしいからスポーツ大会はもらったね!
ホームルームで伝えることは特になし!委員会とかクラスの役割については加藤さんから聞いてね!今日も1日頑張りましょ〜!」
と言って新田先生は出て行った
「そういえば虎は学級委員だからね!」
詩織が言ってきた。
「うん。知ってる。ってかなんで俺なんだよ!俺学校来てなかったのに!」
「誰も手あげなくて虎でいっかってなったんだよ」
「まじかよーこのクラスひどいなー。なぁ宮田?」
「ごめんごめん」
「さっきもう1人の学級委員の人と話したよ」
「あー桜井さんか!あの人意外とポンコツだぞ(笑)」
「そんな感じには見えなかったけどな〜」
話しは弾んでいて、初めて会った人とも仲良くなり気づいたら授業が始まっていた。
もう本格的に授業は始まっているから1限から5限、6限まである。今日は5限までで帰宅。
そして各自部活に向かう。
俺は遠征から帰ってきたばっかりなので今日はオフなのでそのまま帰宅だ。
「じゃあみんなまた明日!」
「また明日な!」
「詩織も部活頑張れよ!」
「うん!」
そうして俺は家に帰った。
時差ボケもあるからとてつもなく眠かった。
帰ってすぐにシャワーを浴びてベットに寝転がる。でもなかなか眠りにつけない。
何せ好きな人が同じクラスで隣の席だからだ。小さい頃からずっと一緒にいるけどまだ気持ちは伝えられていない。高校も詩織がいるからこの高校にした。昔から運はある方だ。でもそれを上手く使えたことはない。今回こそは 、、、と考えたらいつの間にか寝ていた。
次の日の朝を迎え登校していると
「虎くんおはよー!
「お、おはよ!」
誰かわからず一瞬止まってしまった
「自己紹介してなかったね!虎くんと同じクラスの丸山久美です!これからよろしくね!」
「そうだったんだ!気づかなくてごめん。よろしくね!」
「虎くんは部活入らないの?」
「サッカーやってるんだけどクラブだから部活はやらないんだ」
「そういうことか、本当サッカー上手いんだね!」
「大したことないよ、丸山さんは部活は?」
「漫画研究部に入ったんだ!運動部と違って朝練とかないからこの時間なんだよね!あ!加藤さんと仲良いの??」
「漫画研究部楽しそうだなぁ。詩織とは幼馴染だからだよ!」
「そういうことだったのか〜を女子の中でも話題だったからね!詩織さん可愛いし急に来た人とめっちゃ仲良くなるし!何者!って!」
「詩織は人見知りだから仲良くならないとあそこまで話さないんだよ。丸山さん、詩織と仲良くしてあげてください」
「もちろん!新入生合宿もあるし仲良くなるはず!」
「新入生合宿??」
初めて聞いたのでとても驚いた。
「聞いてないのか!来週に仲を深めるための新入生合宿があるんだよ!そこで一気に仲深めようとしてるからさうちの担任」
「へぇー。どこ行くの??」
「うちもまだよくわかんないんだよねー!」
そんなことを話しつつ登校してると学校に着いた。
朝練がある組はみんな朝礼ギリギリだ。詩織は美術なので朝練はないが今日は早めに学校に行ってやることがあるらしく一緒に登校できなかった。
教室に入るとすでに詩織は席についてた
「おはよー。」
「おはよー!一緒に登校できなくてごめんね〜」
「へーきへーき!丸山さんとも仲良くなったし!あ、丸山さんが仲良くなりたいって!」
「丸山久美です!しおちゃんって呼んでいい?
「いいよ!よろしくね!」
いつも通り授業は始まりお昼を挟み5限が始まる
今日は5限6限にクラス授業が組まれていてそこで来週の新入生合宿について詳しく決めるらしい
「では今日は来週の新入生合宿の班決めなどを行います!うーん、どうしよっか?好きな人通しで組む?
あ、男子3人女子3人ができればいいかなー!
これを条件に1回決めて見てー!」
みんなは席から立ち上がりゾロゾロと動き出す
「一緒やろうぜ!」
すぐに宮田からのお誘いがある
「当たり前!詩織もいいよな?」
「うん!」
「しおちゃーん!一緒に組も〜」
「もちろん!あと2人どうする?」
「あ!よっしーいるじゃん!あいつもサッカー部なんだよ!おーいこっちこーい!入れていいよな?」
四人全員同意した。
「吉村司です!呼んでくれてありがとう。よっひーって呼んでください!」
「おう!あと1人かー、、、あ、宮田!三橋さんは?
「え!無理だよ俺からなんて!」
「いいからいけって!」
俺が背中を押すと宮田は立ち上がりおどおどしながら三橋さんの元へ向かう
「あのー、一緒の班組まない?」
「え!いいんですか?お願いしたいです!」
「敬語じゃなくていいいいよ!よろしくね!」
「ありがとう」
こうして班は俺と、詩織、宮田、三橋さん、丸山さん、よっしーの6人で組むことになった
他のみんなも決まり、意外と早く班決めは終わった。
「え!もうできたの!?三年間でどのくらい仲良くなるか楽しみだな!基本この班行動になるからよろしくね!次は、、、、、、」
こうして班ごとに色々決めて合宿の詳細など詳しく聞かされた。
俺のクラスは早く決め事も終わったので早めの帰宅となる。
今日はクラブの練習があるので直接練習場にむかった。
練習後は、新しい学校の話題で話は盛り上がる
「学校なれた?」
と、チームメイトが話しかけてきた
「まずまずかなー!幼馴染とも同じクラスだし!」
「あ!同じクラスになれたんだ!よかったな!」
「まぁな!あ、来週新入生合宿あるから1日練習休むわ」
「新入生合宿なんて休めよ!サッカーとどっちが大事なんだよ!」
サッカー熱の強いもう一人のチームメイトが割って入ってきた。
「コーチにはちゃんと伝えたし、行事も大切にってことだったから」
「幼馴染とうまくいくといいな!可愛いんだろ?早くしないと取られちまうぞ!シュート打たないと入らないのと一緒だぞ!」
「そうだよなー、、、打たないとなー、、、」
チームメイトとそんな話をし1日を終えた。
シュートを打たなきゃ入らないのと一緒だと言われ今まで考えて来なかった告白をしっかりと考えさせられることとなった。