出会い
出会いは不思議だった。あの日、確かあれは、どこかの街中。僕―――流星凛秘睹は、音楽を聞きながら電柱に寄りかかっていた。
「最近またヴァンパイアが活発になっているらしいわよ?」
と、とある女は言う。
「それより、獣人の方が酷いと聞いたが??」
と、ある男は言う。
それを見つめる者が1人。
(本当に危険なのはどっちだか、、、)
見つめている男……凛秘睹は思う。
本当に危険なのは、人の血を吸うと言う不確かな理由で怖がられているヴァンパイアでも、人を食べたり誑かしたりすると言われ恐れられている獣人でもないのではないか??本当に危険なのは、その珍しい人種の者達を研究のため、『人間』のため、世のためだと言って捕まえる『人間』と言う人種ではないか、、?そして、どんな手でも使ってくる、殺すことも厭わない、人間なのではないか。
人間は残酷だ。ヴァンパイアだから、血を吸うからと言う理由だけで拘束、あるいは惨殺する。そしてそれを、「罪のない者が死ぬ恐れを防いだ」と正当化する。そして、人間は獣人のことを、人として扱わない。彼らは奴隷として、ペットとして、動物として扱う。
ヴァンパイアのように殺されるのがましか、動物として弄ばれるのがましか、、、そして、立場が逆転し、人間がその立場になったらどうなるか、、、そんなこと、『人間』と言う人種は考えもしない。
そこまで考え、凛秘睹の思考は停止した。なぜなら
「キャー!!!!ヴァンパイアが出たわ!!」
「なんだと!?どういうことた!?!?」
「そいつを殺せ!!!」
と言う人間の怒号が聞こえたからだ。
全く、騒々しいことだ。そこにいる人がヴァンパイアだということが判明しただけで彼らは怖がり、殺せだのと叫ぶ。本当に鬱陶しい奴等である。判明していないだけで、ここにもヴァンパイアはいるというのに、、、。
「確かに、その通りだな、なぜヴァンパイアだとわかっただけで騒ぐのだか、、俺も知りたいよ」
突然、背後からかけられたこえに驚く。だが、それよりも気になるのは、、、
「なぜ僕の考えていることがわかったのですか?それに、なぜ彼らはあの男がヴァンパイアだとわかったのですか?」
「君はわかりやすいよ、顔に出てる。それにね?後半は声に出ていたよ?君はどうも、ヴァンパイアみたいだ。今後気を付けな?」
なんて、注意してくる。
だが、まだ質問には答えてくれない。なぜ男がヴァンパイアだとわかったのか、、、
「あぁ、なぜヴァンパイアだとわかったか、、だっけ?簡単なことだよ、彼は口を滑らせてしまった。赤い月とね」
赤い月とは、ヴァンパイアだけに見える月。細かいことは追っていくにつれてわかるだろう。つまりは、その話をするのはヴァンパイアしかいないのだ。
「赤い月、、、なるほど、そういうわけですか。ところで?あなたは僕が吸血鬼だと見破った。どうします??殺しますか??それに、あなたは一体、、、」
そう、そこまで解説されれば、あと凛秘睹にとって大事なのは、その2点だけだ。
自分は殺されるのか、目の前のこの彼は、誰なのか、、、。
「あぁ、君のことは殺さないし、誰にも言わない。おっと、僕が誰だか、何者か、だっけ?それについては、見た方が早いと思うし、やらなければいけないのは、一目瞭然だからね」
彼はそう言って今も混乱している人間たちとヴァンパイアの方へ歩きだした。一体何をするというのか、バレてしまった彼を殺すのか、この混乱を止めるのか。彼の名前はなんと言うのか、、、、。凛秘睹の頭にはそれらの疑問が浮かんでいた。
だがしかし、その疑問もその後直ぐに驚きで吹き飛ぶのであった。
「おい、お前、ヴァンパイアだと言ったな?……全く、口を滑らせたりして、、、おかげで仕事がふえてしまったではないか、、、」
彼は、ヴァンパイアの男に話しかける。ヴァンパイアの男はもう、命乞いをする気力もないようだ。
「あぁそうだ。俺はヴァンパイアだ、、、殺すなら一発でやってくれ、、、」
男は言う。しかし、彼は無情にも言った。
「一発で殺してくれ、だと?そんなことするわけないだろ、、」
あぁ、かわいそうな男は研究のためと、人間の管理の下に入れられるのか、、、
「大体だな!誰がお前を殺すと言った?変な勘違いをするな。全く、、、俺はな、お前のことを助けてやるつもりでいるが、、、それでも殺してほしいのなら、殺してやらないこともないぞ??」
……彼は今、なんと言った??ヴァンパイアを助ける?正気か?そんなことをする人間は、この世界には、いない。
しかしそこで、凛秘睹の脳内に1つの可能性ができた。彼は、もしかすると、、、、?
「た、助ける?何を、、人間が、俺たちヴァンパイアを、た、助けるわけ、無いじゃないか!!お前、なんのつもりだ!?!?」
男は言う。まぁ、当たり前である。その疑問は正しい。しかし、可能性というのが当たっていれば、彼がヴァンパイアを助けるのも無理はない。
「なんのつもりもない。いいか?お前は、、いや、お前らヴァンパイアはなぜそういう思考に至る?物騒な奴等だ、、、いいか?お前、俺の話をよく聞け、そして、それに従え。でなければ、お前の命はないと思え。」
そんなことを言う。やはり、彼は、、、いや、それは少ないと思う。彼が、、、もし、『 』だとしたら??いや、まさか。伝説上でしか存在しない人種であれば、その行動も疑問には思わない。
……よし、後で聞いてみよう。彼の名前と共に。
そう決心した凛秘睹は、彼のこの行動を、、、ヴァンパイアを助けるという、その方法を見守ることにした。
「へ、、?まぁ、、どちらにせよ消えるかもしれないこの命、、、従おう。」
男は決めた。どちらにせよ今殺されるか時間を稼いで殺されるかだ、それなら、最後の悪あがきとしよう、、と。
「いいか?1度しか言わない。俺の血を吸え。」
……は???訳がわからない。そう思ったのは俺だけではないだろう。ヴァンパイアが血を吸っていいのはヴァンパイア同士だけと決まっている。それは、人間が耳をかさない為知られていないが。
とにかく、血を吸えば、罰が下される。赤い月の罰、最悪は殺されるが、血を吸うだけなら確か、赤い月の下、消えて家に帰される。それだけではないが、後は何日間か動けなかったり、どこかが骨折していたりとその吸血鬼それぞれだ。
……いや、待てよ、、?家に帰される、、?それなら、赤い月の強制送還だ。つまり、誰も邪魔はできないまま、ここから家に送られる、、、、確かに、彼を死から逃すには、うってつけではないか、、?
「…あなたの、血を、吸う、、わかった、仰せのままに、、、」
彼は、手を差し出し、男が腕を噛む、、すると、男は消えた。そして驚くことに、、、、
「獣人はどうにもならないのか?」
「吸血鬼をどうにかするのが先だろう!!」
ヴァンパイアが出たことは、無かったことにされている、、、、
「あの、、、結局、あなたは、、?」
先程の彼に、凛秘睹は聞く。すると
「は??見せたのにも関わらずわからないのか??全く、、、察しの悪いことだ。いいか?1度しか言わない、よく聞け、俺は、、」
俺は、、?何でしょうね()
そして!ルビの使い方を!学びました!やったね!!
そしてキャラクター名でいつも時間を使ってしまうので案があればコメントいただけると嬉しいです!