異世界は食糧難!?パンがなければウンチを食べればいいじゃない
「んんっ・・・・」
眩しい太陽の光を感じた私は目を開けた。
同時にさっきの悲劇が脳裏をよぎる。
「あ、そうだ!トイレに行かないと~!??っていうか私転んで首がぐきっって」
「い、生きてる・・し・・何ともない?」
そう、さっき私は自分の下痢便で足を滑らせ階段から落ちて・・。
そしておそらく命を失ったはずなのに。
周りを見渡すと藁屋根に石造りの家が何件か連なっている。
どこかの村?みたい。
あんまり日本では見ない景色だけど。
というか状況が全く飲み込めない。
ここは何処で何で私はここに居るんだろう?
「だ、だれか~!!誰かいないのーっ!」
叫びながら私はウロウロするも村には全く人気がなく誰も答えてくれる人はいない。
不安になった私は一番近い家を訪ねてみることにした。
ドンドンドン!
ノックしてみる。
シーン・・・・・・。
一行に返事が返ってくる様子はない。
悪いと思いつつ不安で早く人に会いたかった私は扉に手を掛けた。
キ゚イッツ・・・
あれ、開いちゃった。
「す、すみませーん。だ、だ、だれかいますか~?・・・ってあれ!?」
恐る恐る扉を開けてみた私の目に飛び込んできたのは倒れている一人の男の子だった。
「ちょっと!!きみ、大丈夫??」
「この子・・・凄く痩せてる・・・」
その今にも餓死しそうなほどやせ細った男の子を私は声を掛けながら揺さぶった。
「・・・べ・・・もの・・・何か・・・食べ・・・たい・・・・・・」
うっすらと目を開けた男の子は擦れるような声で言った。
「食べ物!?そっか、お腹が空いてるんだね!で、でも私も訳わかんないままここに居て・・」
「食べる物なんて持ってないよ~!このままじゃこの子が死んじゃうよ!!」
今にも餓死しそうな小さな子に何も出来ない自分。
この子の境遇が、自分の無力さが情けなくて悲しくてポロポロと涙がこぼれてくる。
「えーん!ごめんね!!私何も出来ないよ!」
「おねえ・・・ちゃん。何でも・・・何でも・・・いいから・・食べ・・もの・・・」
「ごめんね、ごめんね!わたし、わたし何も持ってなくて・・エッ!!!うっ!!!」
私の悲しみの感情が高まったことで私のお腹とお尻に急激な違和感が走る。
やばい、悲しくて悲しくて・・ウンチ漏れちゃう!!
ハッ、待てよ。
イチかバチか。やってみる価値はあるかも知れない!
「き、きみ、何でもいいって言ったよね?なんでも・・その・・好き嫌いなく食べられる・・のかな?」
餓死するくらいなら!何でもいいっていうのなら!
私にも、私にしかできないことがあるのかも知れない!
「何でも・・・いいんだ・・おねえちゃん、た・・た・・すけてよ・・・」
「分かった!!きみ、今お腹いーっぱい食べさせてあげるからねっ!!待ってて!」
私は決意して少年の死角の物陰にしゃがみ込んだ。
今まではこの特殊なウンチの癖に悩まされてきた。
出来ることならこんな身体、生まれ変わりたいとさえ思っていた。
でも今、人の命がかかった今だから!
私はこの身体に感謝する!初めて、他人の為になれるウンチが出来るんだから!!
この子を救いたい。強く願って私は肛門に全霊の力を込めた。
『あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )』
私の願いに答えるようにこれ以上ない程、私の肛門が大きく拡がっていく。
そして止めどなくあふれるそれは、たちまち人間一人分に達するほどデカい糞の山を形成していった。
自分一人の為じゃない、誰か他人の為にひり出す糞にこんな力があるなんて!
「ハアハア・・・あ、あの子が食べやすいようにしないと!」
私は迷いなくその糞の山に手を突っ込み、適度な量の糞を手に取った。
「んっしょ、んっしょ、よしっ!これでっ!!」
料理なんてやったことないけど、ちょっと不格好だけど。
私は男の子の元へ戻りソレを差し出した。
「さあ、食べて!!ちょっと変わってるけど・・これ、その・・私の国のおにぎりなの!!」
ここが何処かは分からないけどなんかこの子は外国人ぽいし、糞はちゃんとおにぎりの形になってるから大丈夫かも知れない。
この子の命がそれで助かるなら背に腹はかえられない。
「お、おにぎり・・・は、はむっ・・・んぐんぐ・・・」
男の子は力ない手で私の糞を受け取り頬張った。
「あ、あああっ!ちょっと何だか臭うけど・・・美味しい!!美味しいよ!!!!はぐっ・・もぐもぐっ」
一口食べた男の子は夢中で美味しそうにがっついて食べ始める。
「フフッ、良かった!きみ、焦らないでね!まだまだ沢山あるんだからっ!」
元気を取り戻していく男の子を見て自分にも元気が溢れていくみたいだった。
私のウンチがこんな形で人の役に立つなんて。
考えてもみなかったけど・・なんだかすごく嬉しいな♪
「ありがとう、おねえちゃん!!おかげで生き返ったよ!!」
大きなウンチおにぎりを食べ終えた男の子はすっかり元気になってお礼を言ってくれた。
「そんな、お礼なんていいんだ・・なんだかおねえちゃんも嬉しかったから!」
私は笑顔で答える私に少年は申し訳なさそうに語った。
「おねえちゃん・・その・・まだ、さっきのおにぎり沢山ある?」
「うん、まだまだ沢山あるよ。おねえちゃん張り切って出し・・じゃなくて作りすぎちゃったから。」
「あの・・きっと村のみんなも僕みたいにお腹が空いて動けなくなってると思うんだ・・。その・・」
「分かった!!おねえちゃんがおにぎりにするから、きみはみんなにそれを運んでくれる!?」
ここが何処で何故こんな飢餓にさらされているのか。
気にはなるけど、この子みたいに飢え死にしそうな人ばかりならそれは後回し。
早くみんなにお腹一杯ウンチを食べさせないと!!
糞の山に再び手を突っ込み素早く握り固める。
「きみっ!!早く!」
ぽいっとそれを少年に投げ渡す。
「あ、ありがとう!僕、ラルフって言うんだ。すぐ、みんなに持っていくよ!」
「おねえちゃんはヒナって言うの!私は一杯おにぎり作るから、ラルフ、お願いね!」
「うん、ヒナねえちゃん!行ってくる!」
ラルフは糞玉を持って家の外へ駆けていった。
早く沢山作らないと。
ふと、私は何処かのお姫様の言葉を思い出していた。
そのお姫様は飢えて苦しむ領民に対してこう言ったらしい。
『パンがなければケーキを食べればいいじゃない』
勿論パンが無いのにケーキがあるはずもなく領民は飢え続け、お姫様もやがて恨みを買って殺された。
違うよ、お姫様。
パンが無いときに差し出すのはケーキじゃないの。
私ならお腹を空かせた人達に与えるものがいっぱいあるんだから!
私がこの村のみんなをそれで幸せにしてあげる!
私は微笑んで叫んだ。
『パンが無ければ・・・ウンチを食べればいいじゃないっ!!!』