俺は一旦人間をやめるぞおおおお!
時計の針がてっぺんから少し進んだ頃、俺は物音を立てないように起きて、扉をそっと開く。
……よし、神父は待ち伏せてないな。
しかし攻防戦の後のあの最後の捨て台詞は…いやそこに思いを巡らせるのはやめよう。
今は広場に行くのが先決だ!
閉まっていた入り口のカギを開け、パンツを脱ぐ。
よし、いざ広場へ!
◇ ◇ ◇
――そして月明かりは全裸の体を照らす、油断してはいけないと俺は悟った。
いくらなんでも生まれたままの姿で夜道を徘徊しては、直ぐポリスメンがこの俺こと黒い天使を見つけてハッスルするだろう。
俺は道を逸れ植木や物陰に隠れつつ慎重に移動することで、やっと念願の広場にたどり着いた。
「よし、とうとう来た。それで俺ここで何するんだったっけ……えーと」
俺は思わず、ああああああああああああ! と叫びそうになった。
口をパッカーーーーと開けて自分の愚かしさに気が付く。
俺は二つの間違いに気づいて、まず月を睨んだ。
「月……なぜまだ居る……早く太陽と変わるんだ!」
そして自分のアレを見た。
「……お前はなぜパンツをはいていない!」
運命と自分のおつむの弱さを呪う黒い天使が、夜の広場に舞い降りていた。
◇ ◇ ◇
冷静になって考えてみた、全裸で。
たとえ今は夜でも、時間が経てば朝になる。
だから時間については何の問題が無いにしても、服を着ていないのは駄目だ。
何故なら俺は不審者に思われたり犯罪者になりたいわけじゃない、ただ無邪気な煌めきをその目に映したかっただけだからだっ!
しかしどうする俺、お前は服はおろかパンツでさえも装備できない。
……例えば空からパンツが飛んでくるのを待って、ジャンプで足を通したらそのまま立って……いや現実的じゃない。
「そうだ……葉っぱで股間を隠せばいい! いいアイディアだ、YATTA!」
近くの木の葉っぱをちぎって調べると重さ1と書いてあったので、すぐ捨てた。
「そうだ、石像のフリして待つとかどうだ!」
広場の中心には大きめの噴水が置いてあり、水は出ていないが貯まってはある。
どうせ壊れたか何かで機能しておらず、そのままにしてあるんだろう。
そこで……その噴水の中心に立つ!
勿論そのままじゃダメで……まず体を水で濡らし、地面で転げまくる訳だ。
すると、肌が泥で隠れて焼き物的な質感の像に見……え……
「……る。る、だ! 見える絶対! やるぞ!!」
俺は石になると決め、とうとう考えるのをやめた。