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加護の力

「詰んだあああああああああああああああ!」


「おお、五郎様よ。死んでしまうとは情けない」


「いいからパンツくれ!」


「あなたを次のレベルにするには0の経験が必要です。それではさらに高みへと上るのです……ィ゛エ゛イ゛メ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ン!」


「それ最後まで聞かなきゃいけないのかよ! 何で最後だけ気合い入れて叫ぶんだよ!」


「ちょっと待ってねー。君みたいな人珍しくてねー。手持ちのパンツのストック無くなっちゃったから奥からとってくるねー」


「チラチラ見てないで早く!」


 神父は俺の言葉に笑みを浮かべて、久々だったよねーこれだから神父は……と言いながらパンツを取りに行った。



 ◇     ◇     ◇ 



 パンツをはいた後、俺は教会で考えまくった。


 まずわかったこと。


 俺はこちらに来てから神父のじいさんとしか話してない。


 由々しき事態だ。


 早急にこの異常事態をを収束させ、幼女を眺めなければいけない。


 次にわかったこと。


 教会の中では自由に動き回れる。


 でも外に出ると死ぬ。


 体が毒に侵されてるとかは神父に聞いて違うって言われたから無い。


 外に毒霧とかが舞ってるわけでもない。


「わからん……とにかくわからん」


「んー、そうだねー。とにかく君に関して僕が助けられることがあるかはわからないけど、ここには好きなだけ居ても……いいよ♪」


 ……いや、好意で言ってるのかも知れないけど勘弁してくれ。


「ん?どうしたの不安そうな顔して、きっと大丈夫だよー」


「いやこれは違う……違わないけどさー、あーもう」


「とにかく、たとえ何があってもここだけは絶対安心だからねー」


「いやそれが不安で……私が守ってあげるとかはやめてね」


「えー、そんなこと考えてたのー? 違う違う、僕が守らなくてもここはセーフゾーンだからさー」


 ん?


 セーフゾーン?


「……この場所、バイタルが自動回復したりとか?」


「したりするねー、神の祝福があるから。それがどうかしたのー?」


 それだああああああああ!


 この教会の中で死なない理由が分かったぁぁぁぁぁ!


 ずっと体力が回復し続けてるからだ!


 いや、でもそれじゃ外だと死ぬ理由とは完璧には繋がってない。


 なんで外に出ると死ぬんだ。


 歩くだけでバイタルが減るとか……可能性としてはあるかもだが。


 にしても脈絡無さすぎだろ、せめて腹の減り具合で体力が削られるとかならわかるけどさ。


 でもそんな数値存在してないんだよなぁ。


「くそっ、わからん! 外に出たら死ぬ、外に出たら死ぬ……」


 この体が恨めしい、ダイスロールなんかするんじゃなかった。


 あー、この扉を開ければそこには外の世界が広がっているというのに!


 バン! と俺は扉を叩いた。


「ん?」


 開いた扉の前にはパンツが二枚落ちていた。


「汚ねぇパンツ……誰だよこんな所に。パンツを供えに来る奴でも……あ、まさか――」


 俺は今が昼だという事も恥さえも忘れ、すぐさまパンツを脱いだ。


「え、五郎様まさか気でも触れたの?いくらなんでもそれは……ダメ!」


 神父の声も聞かず俺は外へと踏み出した。



 あ……、あ……。


「ああああああああああああああ!」


 俺は燦々と光る陽を浴びながら、よろめき膝をついた。


 頭を抱えて、地面に向かって大声で叫んだ。


 俺は……。


「俺には……パンツ装備を維持する体力もない!」


「五郎様……」


 心配するかのように聞こえたその声に、救いを求めて後ろを振り返る。


 すると神父は頬に手を当て、艶やかな瞳で俺の一部分のみを凝視していた。


 俺はすぐ教会内に戻ってパンツをはいた。

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