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よわよわスキルで無双します!  作者: 栗尾りお
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第1話 鬱々な日々から抜け出します! その1

 「……ん」


 四度寝ぐらいの眠りから覚めた私は目を瞑ったまま手探りでスマホを探す。

 ゴソゴソしていると手に固い感触を覚えた。すぐに起動し時間を確認する。が、スマホの画面は真っ暗なままで私の可愛くない顔を写すだけだった。


 「はぁ」


 思わずため息をつく。そういえば昨日、寝る前に布団の中でアニメを見ていたような気がする。どうやらそのまま寝落ちして充電がなくなってしまったみたいだ。


 とりあえず充電しないと。


 寝転んだままコンセントに刺さったままの充電コードを取ろうと必死に手を伸ばす。


 「ふんっ!」


 ベットから体を半分出し、左手で体重を支えながら右手で精一杯コードに手を伸ばす。


 う、届かない。


 いつもはベッドから届くようにコードが真っ直ぐにしているのに今日に限って私にそっぽを向くようにコードの先端が壁側に向いている。


 誰だよ、勝手に動かしたの!……って私しかいないか。


 そんなつまらないことを考えているうちに、体重に耐えれなくなった左腕がプルプルしてきた。


 あと少し、ほんの少し、1ミリ!


 ギリギリを責めるようにもう一方身を乗り出す。

すると指先にコードの感触があった。


 「ん!」


 一瞬の気の緩みが命取りだった。


 ドサッ!


 ベッドで踏ん張っていた足が滑り、膝が勢いよく床に叩きつけられた。


 「っ……」


 眠気が完全に吹き飛ぶほどの痛みに思わず膝を抱えるようにうずくまる。

 なんとなくこうなる事は分かっていたし、なんなら潔くベッドから起きて充電しに行ったほうが早いことも分かっていたが、あそこで諦めたら負けな気がした。変なところで負けず嫌いなのは昔からだ。


 少し痛みは残るものの動けるぐらいになるまで待ち、再び充電コードに手を伸ばしスマホを充電する。


 再び寝ようと立ち上がるとカーテンが少し開いているのが目に入る。少しだけ開いた隙間から日光が差し込み部屋に舞うホコリを照らし出している。


 「ケホッ」


 意識しなければ気にならないのに、こういう風に意識すると急に咳が出る。健康面から考えると掃除をしたほうが良いのだろうが、やる気が出ない。逆にホコリだらけの部屋の方が私らしくて落ち着く。


 カーテンをしっかり閉めるため窓際に行くと机の上の置き時計が目に入った。時計の針は4時を少し超えた時間を指していた。


 なんだかお腹減ったな。


 時計を見たら急に空腹を感じてきた。

 完全に0%になったスマホは充電しても使えるまでに時間がかかる。その間に朝ごはんを食べて時間を潰そう。

 そんな事を考えながら重い足取りで扉に向かった。

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