1-2 初心者に優しくありません
黒いフード付きのマントに赤い髪、夜道で光る金色の瞳を見掛けたら視線を逸らせ。
<パンデモニウム・オンライン>ではミゥはそう噂されて恐れられている。実際に通行人のプレイヤーキャラはミゥの姿を目にしてはそそくさと道を譲って目を向けない様にしている。何時もの事なのでミゥは気にしない。唯一何も反応をしないのはNPCくらいだ。
尤もNPCにまで恐怖の目を向けられていては買い物も出来ない。
それでも極稀にミゥが<死神>だと分かった上で腕試しを挑んでくる初心者はいる。レベルが50を超えたくらいの者が多い。それ位になると出来る事が多くなり、各フィールドの中層にも行ける様になるからだ。浮足立って自意識が過剰になり何でも出来ると過信する。トッププレイヤーにももしかしたら勝てるのではないか。そんな無謀な行動を起こし、トッププレイヤーの中でも鼻つまみ者であるミゥになら数人で襲い掛かればいけると何故か勘違いするらしい。ミゥの実力を知らないでだ。
中堅のプレイヤー達は絶対に挑まない。割に合わないか過去に痛い目に合っているからだ。今晩もそんな勘違いをして初心者たちをトラウマ送りにして最後の一人に深々と<灼毒のナイフ>を突き刺そうとしたところで邪魔が入った。
「そこまでだ<死神>」
「…はぁ」
思わず溜息が出た。正直、殺そうと殺しまいとミゥにはどっちでも良いのだが中途半端は嫌いだ。
どうせこの死にかけのプレイヤーは両足と左腕を切断され右腕一本で壁にナイフで縫い付けられている状態なのだから殺してやるのが慈悲だろう。
だがこの正義の味方様はそれを許せないらしい。
「ご無沙汰。トッププレイヤーの燐火様にこんな所で会えるなんて思わなかった」
「戯言はよせ<死神>。<聖火の都>、その膝元で貴様の蛮行を許す訳にはいかない」
「先に手を出してきたのは相手よ。これは正当防衛」
「貴様なら戦わずして事を収められただろう」
「そしてまた命を狙われろと?冗談、厄介ごとの種はさっさと消した方が早い」
今すぐにでもナイフを突き刺してやりたいがその隙をついて確実にこのトッププレイヤーはミゥの手首を落としに来るだろう。
金髪碧眼、絵に描いた様な東欧美女である。それでいて凛々しいその顔貌は多くの同姓に仄かな恋心を抱かせる。
しかしそれ以上に彼女に畏敬の念を抱く者は多い。誰よりも正義感に富み、弱者を見捨てず常に前に出て戦う。徹底したロールプレイよりも超越した信念で前衛職最優秀とされる<聖騎士>に上り詰めた英雄。
<パンデモニウム・オンライン>の七強に数えられるトッププレイヤーの燐火は腰の剣に手をかけている。
「何時も思うんだけどそのロングソードで如何して侍の居合並みの速さで抜剣出来る訳?」
「正しき心で正しき技を磨く―只それだけだ」
呆れるまでのロールプレイング、いや彼女の場合これが本音なのだ。燐火は本当に只それだけで技を磨いて今の地位にまで上り詰めたのだ。
「はいはい。天下の<不屈のパラディン>様には敵いません」
ミゥはそう嘯いてナイフを仕舞った。ついでに男を壁に縫い付けていたナイフも抜いてやる。途端に地面に転がる男を燐火の所まで蹴っ飛ばしてやった。
お優しい騎士様はそんな男に回復魔法を掛ける。失われた両足と左腕が回復し男はガタガタと自分の肩を両腕で抱き締めた。
「あ、ありが。ありがとうございますぅ」
「もうこれで懲りただろう。腕試しで無為な戦いを行うな。自分の腕を磨きたければ闘技場に行けばいい」
男はこくこくと頷き走り去っていった。
「それじゃ」
ミゥはナイフを仕舞ってその場を立ち去ろうとすると、
「待て<死神>。昨晩、<鉱夫>職のゴールドマンがPKされた。アレは貴様の仕業か?」
「だとしたら何?他人のプレイスタイルにケチ付ける気?」
「貴様に貴様の信条がある様に私にも譲れない物がある。これが私のプレイスタイルだ」
二人の視線が交差する。だがそれも一瞬の事だ。
この堅物の騎士には何を言っても無駄なのは分かっている。
「どうぞご勝手に。訴えるなり討伐隊でも組むなり好きにしたら?」
ミゥは手をひらひらと振って屋根の上に飛び上がった。どれだけ研鑽を積んでいても同じ位に研鑽を積んだ斥候職に俊敏性で敵う筈がない。燐火は強い瞳でミゥを睨み付ける。
「忘れるな<死神>。貴様の凶刃が無辜の人を傷つけようものなら私の<聖火の剣>に掛けて貴様を討つ」
「あっそ」
互いに相容れないプレイスタイル、ぶつかるのもそう遠くないかなとミゥは思った。
フードを深く被り直して<隠蔽>のスキルを使う。闇夜に紛れて姿が見え難くなったミゥは<聖火の都>の街を進む。
その晩、ミゥは依頼の一件を片づけた。
城ヶ崎 千代の一日はここ数年、同じ事の繰り返しだった。
朝起きて朝食を食べる。トースト一枚と作り置きのピクルス。それに牛乳が一杯。
食べたら学校に行く。教室にはぎりぎりまで行かない。ホームルームが始まる3分前に教室に入ったら大人しく席に座っている。
授業が始まったら真面目に受ける。県内でも有名な女学校だから授業中は静かだ。
昼休みになったらアンパンと牛乳で昼食を済ませて<パンデモニウム・オンライン>にログインする。ノートブックを開くのは何時も違う場所だ。概ね三人組に見付からない場所を選んでいる。昨日みたいに見付けられてしまう事もあるが概ね平気だ。
特に今日は格別安全な場所を選んだ。
そこは茶道室だ。茶道部の部員は破格の200名―だが普通の活動しているのは2、3人だ。後は幽霊部員と言うよりも一人の生徒がいる時にだけ顔を見せる。
千代も在籍だけはしているが最初以外全く出ていない。
偶に訪れるのもログインする時だけでその時には何時も身体で対価を支払う羽目になる。
この特別な部員の為にだ。
「えへへへへ」
「あの、ちょっと息がくすぐったい、かな?」
自分の胸に顔を埋めてご満悦な少女に千代は弱々しく訴えてみる。
無駄だった。更にぐりぐりと頭を押し付けてくる。
彼女の名前は秋坂 昴。ともすれば中学生にも見える彼女は有名なアイドルで裏表の少ない性格と誰にでも自然に接する明るさからファンが多い。
茶道室で静かに休みたい、そんなお願いを昴が部員にすればみんな喜んで協力をしてくれる。そんな彼女の恩恵にあずかって千代はここで<パンデモニウム・オンライン>にアクセスしている。
そんな彼女が異性よりも同姓の方が好みと言うのは多分、数少ない裏の顔かもしれない。
「最近さぁリアルもゲームも忙しくてちぃちゃんと触れ合えなくて寂しんだもん」
「う、うん。知ってる、よ」
むふーと鼻息荒く、昴は千代の膝に頭を乗せる。所謂、膝枕だ。手で千代の太ももを撫でてくる辺り、オヤジ臭い。
「ちぃちゃーん。手伝ってよー」
「ごめんね、私が一緒だと…逆に迷惑になる、よ」
依頼は多いとは言え殺し屋のミゥは<パンデモニウム・オンライン>では嫌われ者だ。攻略の最前線に加わってもチームの輪を乱すだけである。
「それに、私のスキルは対人向けばかりだから。攻略の役には立てないよ」
「でもでもぉ。ちぃちゃんってレベル120でしょー?斥候職のクラス、<暗殺者>の中ではトップだって言ってたよ」
<パンデモニウム・オンライン>では様々な職業とクラスに分かれている。
例えば前衛職は攻撃と防御の要で、攻撃系のスキルに富んだ<戦士>や味方を護る<盾持ち(タンク)>と言ったクラスがある。このクラスには下級クラスと上級クラスの二つがあり、例えば<戦士>のクラスを極めると<剣闘士>や<侍>と言う攻撃系スキルがより強力な上級クラスを使えるようになる。また複数のクラスを極める事で開示される上級クラスや特殊なクラスもある。
「<暗殺者>って聞くと、クリティカルの性能が良かったり即死攻撃が使えそうだけど、<パンデモニウム・オンライン>には即死攻撃は無いから。クリティカルも少し補正が掛かる程度。武具で補っても同じくらい程度だね」
「ふーん。じゃあ敵から感知がされなくなるって言うのは?」
「出来るよ。多分、それを使えば文字通りの斥候は出来る。けど秋坂さんが攻略している<怠惰の赦し、魔の森林>はトラップが多いでしょ。私が一人で先行して斥候をしても罠に掛かってお終いになる可能性が高いから<狩人>や<盗賊>のクラスの人の方が良いよ」
「…」
「秋坂、さん?」
「ちぃちゃんって<パンデモニウム・オンライン>の話になると饒舌だよねー」
千代は顔を赤らめてあらぬ方向を見る。そんな様子に昴はけらけらと笑う。
「ちぃちゃん、面白ーい。ね、ね!それよりどう?終わった?」
「え?あ、うん。今、丁度ね。終わったよ」
<パンデモニウム・オンライン>にログインしていてもある程度は現実世界の方でも意識は保っていられる。マルチタスクと言う手法でVRMMOに慣れた人であれば仮想世界のアバターを操作しながら現実世界でも他の事が出来る。
ただアバターの動きは精錬さが欠けるので本当にゲームに集中したい時には意識を完全に仮想世界に落とす。レム睡眠とも瞑想状態とも言える様なそんな状態だ。
逆に意識を完全に向こうへ落さなくてもこの程度の依頼だったら千代には簡単だった。
二人目の標的はメインウェポンの<エクゼキューター>で首を刎ね飛ばした。
「ちぃちゃん、えげつなーい」
「そうだね」
千代は眦を下げて、
「でもこれが私の仕事だから」
そう呟いた。
三人目の標的はもう少ししないと出て来ない。仕事の続きは家に帰ってからになる。千代は自分の教室に戻った。珍しい事に何時もの三人組は千代に構う事なく何か話に夢中になっている。
「マジで!?そんなに儲かるの!!」
「らしいよ。この前、会った人が言うにはさ。一日2時間くらいで3万くらい行くって」
「ヤバいじゃん!!ウチ、親に携帯取り上げられて困ってたんだよね!!」
「私も次、使い過ぎたら没収だよぉ」
何か割のいいバイトでも見つけて話しているみたいだ。三人とも裕福な家の生まれだと思っていたが金欠に悩んでいるらしい。千代は自分に稼がせようとするよりかは大分マシかと教科書の準備を始めた。
「そんなに楽に稼げるとかヤバくね<パンデモニウム・オンライン>!!」
噴き出さなかった自分を褒めてやりたい。千代は教科書に顔を突っ伏したままそう思った。
千代に三人組と一纏めで呼ばれている内の一人、渡利 幸恵は初めてのVRMMOへのログインに戸惑っていた。
「うげー。なんか動きにくい」
「そんなもんだよ。私も最初は歩くのも大変だった」
割のいいバイトを紹介してくれた三人組の一人、片瀬 このみは現実世界とは異なったスリムな体系をしていた。
「このみってばヤバくね?脚とか細すぎだし」
ヤバいが口癖の酒井 江梨香はこのみを指さして笑う。江梨香もVRMMOは初めてと言っていたが幸恵よりも操作は上手いみたいだ。
「うるさいなぁ。いいじゃん、ここって仮想世界なんだよ。自分の好きな恰好したいじゃん。ユッキーや♡エリリン♡だって美化しまくりでしょ」
確かに。幸恵もお腹周りはかなり誤魔化した。
それよりも、
「なんで名前でよばないの?」
「それがマナーなんだって。と言うか現実世界で身バレしたら怖いでしょ」
「それもそうか。そうすると…えー、ラブちゃんって。あんた…」
「いいじゃん!!仮想世界なんだから!!」
顔を赤くするこのみことラブをユッキーと♡エリリン♡は笑う。
「それよか早く行こうよ。もう待ってるからさ」
「分かた…あー、もう。会話も難しい」
「ユッキーって不器用だよね」
♡エリリン♡はニヤニヤ笑いながらスキップをしてみせる。
「ほら私なんかこの通り!!」
「得意げで腹立つ」
手にした杖で殴ってやろうか思ったが上手くいかない。
「ユッキーが選んだの後衛職の<魔法使い(ソーサラー)>だね。殴るより魔法使った方がよくない?」
「どう使うのかよくわかんなーい」
そこはおいおい慣れていくしかないかとユッキーは♡エリリン♡を殴るのを諦めた。
「あ、いたいた。おーい」
ラブは噴水の前で待ち合わせていた男性アバターに手を振った。
物凄い美形だ。アイドル歌手だと言われても納得してしまいそうな甘いマスクとふわっと緩く編んだ水色の髪が印象的だ。
けれどあれも相当美化して作られた姿なんだろうなとユッキーは思った。まぁ目の保養になっていいかと納得する事にした。
「ジェフリーさん、お待たせ!!」
「うん。ラブちゃんとそのお友達だよね。待ってたよ」
ラブにジェフリーと呼ばれたアバターは手を差し出してきた。
「僕の名前はジェフリー。駆け出しのギルドマスターでね。仕事を手伝ってくれる人を探していたんだ」
「ギルドマスター?」
ユッキーと♡エリリン♡はジェフリーと握手を交わしながら首を傾げた。
「あぁVRMMOは初めてなんだっけ。簡単に言うとチームのリーダーみたいなものかな。とは言っても僕を含めて5人しかいなくてね。皆、他の仕事で手一杯なんだ」
そう言ってジェフリーは肩を竦めた。
「仕事内容に関してはユッキーちゃんから聞いてるかい?」
「モンスターを倒すんですよね。でもそれだけで稼げるんですか?」
ユッキーは眉を顰めた。事前に得た情報では<パンデモニウム・オンライン>での100Gが日本円にして約1円、ユッキー達の様に始めたばかりのプレイヤーがいける初層のフィールドでは出て来るモンスターは弱いが落とすアイテムも換金性は低い。
「そうだね。普通にやっても1時間で2万Gが限界だろうね」
日本円で約200円、ユッキーと♡エリリン♡は顔を顰めた。
「でも物には相場ってのがある」
「相場?」
「あぁ。今、<叫びの果実>ってアイテムの買い取り価格が高騰していてね。これをうまく集められれば300万Gも夢じゃない」
「じゃあ本当に」
「あぁ。僕たちはその<叫びの果実>の効率のいい採取方法を知っていてね。それにはどうしても人手がいるんだ。協力してくれるかい?」
アバターとは言え格好いい男性からそう言われて首を横に振る筈がない。ユッキー達は満面の笑みで了承した。
ジェフリーに連れて来られたのは<怠惰の赦し、魔の森林>のフィールドだった。
モンスターのいるフィールドに入るとジェフリーはユッキーと♡エリリン♡にアイテムを渡してきた。
「これ良かったら使ってくれ。初期装備じゃあ心許無いからね」
ユッキーにまず渡されたのは<聖者の衣+11>と言う防具である。言われるがまま装備を変えて防御力の増加に驚いた。
「え、いいの?これ?」
ゲームに疎いユッキーだが能力値からこの装備が高価なものは分かった。
「大丈夫、似たような装備は沢山持っているからね。♡エリリン♡ちゃんにもこれを」
そう言って渡したのは巨大な剣だ。♡エリリン♡の背丈と同じ位のそれは<バルム・イマージュ+5>、両手剣の中ではトップクラスの性能を持っておりドラゴン系の敵に対して威力が上がる仕様だ。
「ヤバいって!こんな大きいのに全然、重くないし!!」
「ゲームだからね。どうせなら強い武器があった方が楽だろ?っと、♡エリリン♡ちゃん。それ振るう時は周りに気を付けてね」
剣先が当たりそうになりジェフリーは身を引いた。
「このゲーム、PK可能だからさ。当たるとダメージが入るんだよ」
「PKって?」
「プレイヤーがプレイヤーを殺す事だよ。PlayerKiller―略してPKさ」
ふーんとユッキーは身に纏った<聖者の衣>の裾を弄りながら相槌を打った。
「なんでそんな事するわけ?このゲームってモンスターとかを倒すのが目的でしょ?」
「いやーそれ以外にも色々あるけど…」
ジェフリーはそう言って苦笑すると、
「PKする奴には色々といるよ。それがプレイスタイルだったりアイテムの分配で揉めてやっちゃったり…あとはそれを仕事にしている奴」
「仕事?」
「所謂、殺し屋ってやつさ。リアルマネーがこのゲームって関わっているだろ?だから金銭トラブルとかダンジョンの攻略で有利にいる奴の足を引っ張る為にプレイヤーを殺す依頼を受ける奴―どいつも危険な連中さ」
ジェフリーは一瞬、瞳を歪めた。危険な色をしていたが一瞬の事でユッキー達は気付かなかった。
「皆も気を付けてね。特に黒いローブで赤髪の少女のプレイヤーを見たら逃げた方が良い。そいつは<パンデモニウム・オンライン>でも一番危険なプレイヤーだからね」
「マジで?」
「あぁ。あれは本当に危険だよ」
心底そのプレイヤーを怖がっている様子にユッキーは疑問を覚えた。
死亡すると言ってもゲーム内での話だ。気分は悪いかもしれないが過剰に恐れる理由が分からない。
「じゃあ行こうか」
ジェフリーは爽やかに笑って三人を促した。
<叫びの果実>はリトルツリーと言うモンスターがドロップする。丸太に手足が着いた外見のそのモンスターは意外とレベルが高い。だがジェフリーの方がレベルは高い。
「―ふっ!!」
リトルツリーの攻撃を防いでロングソードで反撃を加える。HPのゲージが赤くなった所へ♡エリリン♡とラブがとどめを与える。本来であればレベル差でダメージは殆ど与えられないがレア武装で威力が上がっている。ゲージがゼロになりリトルツリーは消える。
ドロップアイテムはクリスタルの形でポップする。それにタッチする事でアイテムボックス送られる。
「やった!!また一個ゲット!!」
「これで何個目だっけ?」
「えっと…」
ユッキー達がアイテムボックスを確認している横でジェフリーは武器を変更している。
「さ。そろそろ次に行こうか」
「はーい。でもジェフリーさん、あとどれ位このアイテム集めたらいいんですかー?」
ラブがそう尋ねるとジェフリーは、
「そうだね。目標数の半分くらいは達成したかな」
「えーまだ半分?」
「ここからが本番だよ。ほら」
そう言ってジェフリーが指さした方にあるのは大きな扉だ。
「あれって<BOSS AREA>って書いてあるよ」
「BOSSって強いんじゃないのぉ?」
そうラブと♡エリリン♡が尋ねるとジェフリーは首を横に振り、
「いや大丈夫。ここはまだ第1層だからね。皆で力を合わせればやれるよ。それに三人とも大分レベルが上がってきただろ?」
「確かに」
「今レベルってどれ位なのー?」
「うーん…21、かな?」
ユッキーがそう言うと、
「それだけあれば大丈夫さ。さぁ行こう」
そう言って笑うと三人を誘導した。
樹木で作られた扉にジェフリーが触れると扉は自動で開いた。視線で促されユッキー達はその中へと入った。
ストックがある分だけ予約投稿しています。